八潮市の道路陥没と急激な都市化に追いつかない老朽インフラの更新/先進国化する小国ルワンダと資源大国DRコンゴ:帝国主義時代の日中関係との相似
Posted at 25/01/30 PermaLink» Tweet
1月30日(木)晴れ
昨日は仕事は割と充実していたのだが、夜帰る時に職場にガラケーとiPhoneの両方を忘れてしまい、夕食を取った後スマホがないとやることがかなり減るので風呂に入って早めに寝た。昨日は午前中に松本に生態に出かけて体が整ったということもあり、夜はよく寝られた。
松本は結構風が強くて小雪混じりだったからスーパーで買い物しようかとも思ったけれどもマツキヨでボックスティッシュだけ買ってまっすぐ帰り、地元の駅前のスーパーでお昼の買い物をして帰った。
以前は松本に出た時には市街地まで行って丸善などによく言っていたのだが、今は塩尻からの方が行きやすくなったので市街地に出なくなってしまっている。またそのうち付近の様子がわかってきたらいろいろ行ってみるようになるとも思うのだが。
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埼玉県八潮市の下水道館破損による陥没事故の話、かなり深刻な話になってきている。まずは取り残された運転手さんの救出が第一だが、陥没はさらに広がりつつあるのだという。下水管に流れ込む流量を制限するために下水を流すのを控えるように通知が出たり、下水を消毒した上で河川に流す緊急措置がとられるという話もあるが、その対象は中川とか古利根川、江戸川などになるのだろうか。いずれにしても埼玉県だけでなく下流の東京都足立区や葛飾区、江戸川区などにも影響が出てくる可能性がある。
問題点はいくつかあるけれども一つは下水道館の老朽化、つまり老朽インフラの問題。これは橋梁などもそうだが日本中で高度成長期に作られたインフラが50年近く経ってしまって限界を迎えつつあるというのが一つ。「コンクリートから人へ」などと絵空事を言っていても、いかに我々がコンクリートのインフラに頼って生活しているかということがよくわかるという点で、大きな教訓にはなっているだろう。国も抜本的な予算を老朽インフラの更新に付けて、このような事故が起こらないようにしていかないといけないだろう。
二つ目は地質的な問題。埼玉県東部は元々は利根川の流域だったわけだが、徳川家康の利根川付け替え工事によって利根川が東遷した後、中小河川が複雑に水のやりとりをするような構造になっている。元々縄文海進の時代には海底だったところにできた沖積平野であり、地盤も水を多く含んでいてコンクリートの構造物が痛みやすいということもあるだろう。また埼玉北東部から千葉北西部、茨城県南西部のこのあたりはいわゆる「地震の巣」であり地震が多いこともこうした構造物に負荷をかけているということもある。
三つ目は市街化の問題。八潮市は以前は鉄道駅のない地域で人口も一定水準で推移していたのが、つくばエクスプレスの開通と八潮駅の開業によって飛躍的に人口が増えつつあるということもあるだろう。埼玉県東部は公共交通が貧弱であるために開発が遅れていたという事情もあるのでそれはそれで良いのだが、そういう爆発的に増えた人口や都市化を支えるのが上記の老朽インフラだった、というのが1番の問題だということなのだろう。もちろん新しい都市には新しい下水道が通されるにしても、従来の下水道網が根幹にあるわけだからそこに負担が集中して今回のようなことが起こったのではないかという気がする。
埼玉県も都市化とそれに追いつかないいろいろ問題があり、都道府県の人口では東京・神奈川・大阪・愛知に次いで5位なのに、人口あたりの医師数は全国最低で、しかも国公立の医学部がない(防衛医大、埼玉医大のみ)などインフラ面での問題は多々ある。大阪には大阪の問題があって地域政党の維新が支持を伸ばしたが、埼玉にもそういう政党が出てきてもいいのではないかという気もする。
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ルワンダの支援を受けているといわれるコンゴ民主共和国(以下DRコンゴ)の反政府組織・M-23が東部の中心都市の一つ・ゴマを占拠した問題、その背景を調べていてかなり複雑なものがあることを理解してきた。
ゴマのある北ギブ州ではM-23が2023年以来相当な地域を実効支配してきた、ということがまずある。2024年12月にアンゴラの仲介でルワンダとDRコンゴが話し合ったが決裂したという。今回の事態ではルワンダに対し中国や国連、EUが撤兵を求め、AU(アフリカ連合)はDRコンゴの領土の一体性の尊重を求めているとのこと。
北キブ州では120の反政府勢力が活動しているという春秋戦国状態で、DRコンゴは国軍のチリムワミ少将が州知事として軍政を敷いていた。彼は中央政権の意思に反して、M-23に対抗するためにルワンダの反政府武装組織FDLR(DRコンゴ政府が掃討対象にしていた)と手を結んだのだという。このFDLRはルワンダのフツ族反政府組織で、ルワンダ虐殺に関わったものも多く、ルワンダ国内にいられないためにきたギブ州に拠点を持っているのだという。そのため、2025年の1月23日にチリムワミがM-23に殺されるという状況になっている。
こうした背景もあり、ルワンダ政府はDRコンゴ政府がFDLRを支援していると見て非難しているのだという。コンゴ東部国境はルワンダやウガンダなどと同じくツチ・フツ両勢力があって東側の3カ国を追い出された勢力が地元勢力とも絡んで内戦状態が続いているということでいいのだろうか。
コンゴが帝国主義的に分割される前にはコンゴ王国があったが、それが三分割され、現在はアンゴラ領になっているポルトガル領コンゴ、DRコンゴになっているベルギー領コンゴ、コンゴ共和国になっているフランス領コンゴになった。これはビスマルク主導のアフリカ分割のためのベルリン会議の決定。
ドイツ領になった東アフリカは大きく三つに分かれ、タンガニーカ地域はイスラム王国であるオマーン=ザンジバルの統治組織を受け継ぎ、ルワンダやブルンジに関しては王国を間接統治していたとのこと。
このルワンダとブルンジがなぜベルギー領になったのかというと、もともとドイツ領東アフリカの一部だったのが第一次世界大戦後にベルギーとイギリスによって分割されたから、ということは認識していなかった。ルワンダを最初に植民地化したのはドイツで、それがベルギー支配下に移り、1962年に独立したと。
ツチ族とフツ族も元々は同じ民族集団であったのを植民地支配時に少数派のツチ族を優遇してフツ族を支配したという背景があり、その際にツチ族はハム系で違う民族だという「神話」を形成したのだという。この辺りも今回この紛争を調べていて認識したこと。
そうした植民地支配、民族対立構造の形成、小さく凝集力のあるルワンダ国家、広大で多様であり統一が取れていないDRコンゴ、と言った状況が今回の事態の背景だといえよう。
ルワンダとM-23の関係はロシアとウクライナ東部・ドンバスでキー雨政府と対立を続けていた親露派組織との関係と見ることもできるし、またルワンダとDRコンゴの関係は、地域内で先駆けて近代化を成し遂げた日本と清帝国・中華民国時代の中国との関係にも似ている。
今日も統計地図を見て驚いたが、中国の1980年の時点(つまり改革開放前)での一人当たりGDPはアフリカ諸国よりも低かったのである。今となってはアフリカ国際関係の主要プレイヤーになっている中国だが、わずかここ40年での発展には改めて驚かされる。これはルワンダもそうなのだが。
領土が大きく人口も多く増加しつつあり、また資源の埋蔵量も大きいだけに、DRコンゴの将来性は有望ではあるのだが、中央権力がいまだ弱体で総身に統治が周り兼ねているところが大きな問題なのだろう。逆に言えば周辺諸国だけでなくヨーロッパや中国、ロシアなどがいっちょかみしたくなるのもよくわかる。19世紀から20世紀にかけての中国が世界からどのように扱われていたかを考えれば、まあ同じことが繰り返されているのだよな、という感じではある。
歴史の正義か否かとかそういうことは別に、そうした歴史からこの二国間関係を解決に導く知恵が見つかると良いなと思う。
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