「ジャーナリズムの自殺」という言葉が思い浮かぶフジテレビ・文春騒動/DRコンゴとルワンダの紛争の背景にある中国とロシアと国際社会/若者の記者離れを抑制するためには/涙と目の健康

Posted at 25/01/29

1月29日(水)曇り

雲が結構出ているせいか、そんなに寒くない。今のところの最低気温はマイナス1.6度、1月下旬としては暖かいと言っていいくらいだ。その代わり最高気温の予想も2度で、寒い。午後には雪の予報も出ている。先ほど車で出かけてコンビニにマガジンとサンデーを買いに行ったが、少し雪がちらついていた。

昨日は仕事中に頭が痛くなって困ったが、いろいろ検討した結果多分目の疲れが原因だろうということになり、帰ってから目を温めたりする。夕食は問題なくパクパク食べられたので元々の原因は消化器的なものではないなと思う。早めに寝て、起きる時に掌で目をじっくり温めているうちに目が涙で湿潤してきた。というか最近、涙の分泌量が少なすぎたんではないかという気がする。気分転換にスマホゲームとかをやってしまうと目を休める時がないのだよな。しばらくゲームは控え目にしようと思う。

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一昨日の夜はフジテレビのロングラン記者会見で荒れていたが、その影でこっそり週刊文春が訂正記事を出していたらしく、昨日の夜は文春叩きでタイムラインが賑わっていた。文春の訂正記事は記者会見の前くらいにしれっと出ていたらしいので、その辺をちゃんとチェックしていなかった記者が多かったようで、それもまた批判されている。

フジテレビの権力構造には関心はあるがこの問題そのものについてはそんなに関心はないのだけど、もしこれで潮目が変わってフジテレビが現在の状態で生き残れたらフジテレビはかなりしぶとかったという評価になるだろう。ジャニーズ事務所が攻撃された際には脆くも落城という感じになったが、あれは文春というよりもBBCという黒船の来襲による影響が大きかったとは言え、やはりカリスマ的指導者であったジャニー喜多川氏がすでに亡くなっていたことが組織防衛的には弱かったのだろうなと思う。

今回のフジテレビの問題は文春砲が原因で中居氏だけでなくフジテレビ幹部の関与があったのではないかと騒がれ、これはジャニーズの問題と同様、記事が出る以前からたびたび囁かれてきた問題ではあったので、ジャニーズの時と同じ調子で攻撃した人が多かったということなのだろう。現在は文春に抗議の電話が殺到しているようだが、まあそうだろうなあとは思う。

フジテレビの会見で話題になったことの一つは東京新聞の望月氏をはじめとする記者の暴虐ぶりであったことで、ジャーナリズム教育に携わる方がまた苦言を呈していたが、近年の若者は新聞記者には憧れよりも忌避感の方が強いのだそうで、今回の会見でそれがまた深まったということを懸念されていた。

これはまあそうだろうとは思うが、もともと私の中の新聞記者のイメージも「羽織ゴロ」的なイメージはかなり強いので何を今更とも思うのだが、ジャーナリズムが「正義の味方」を気取っていた時代の人たちにとっては由々しき問題だと見ているのだろうと思う。

日本はもともとジャーナリズムの起こりが自由民権運動にあって、政府批判がジャーナリズムの本旨みたいになってしまっているけれども、私は欧米基準のようにまず「事実を正確に伝えるニュートラルな存在」であるべきだと思うから、そういうものを志望する人たちにジャーナリストになってもらいたいとは思う。

ただ、このような体たらくを見せられていると志望者が減ることは確かだと思う。ジャーナリズムの自殺にならないように記者たちにも自覚を求めたいところではある。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250127/k10014705141000.html

コンゴ民主共和国(以後DRコンゴ、Democratic Republic of the Congo、正式名称にはtheが入るようだ)の東部、ルワンダ国境の街であり国境をなすキブ湖畔にある都市・ゴマで、反政府勢力であるM-23が街を占拠したと宣言したという。

このM-23はルワンダの支援を受けているようで、DRコンゴの首都・キンシャサでは反ルワンダ暴動が起こっていて、ルワンダ大使館だけでなく西側諸国の大使館も襲撃されているようだ。駐キンシャサ日本大使も邦人に危険勧告と大使館襲撃避難の声明を出しているが、DRコンゴよりの人々から批判されるという状況になっている。

背景には近年のルワンダによるDR今後東部の資源略取があるという。ルワンダは現在カガメ大統領の権威主義的独裁政権下で急速な経済発展を成し遂げていて、ここ20年の平均成長率は7%を記録し、「中東のシンガポール」だとか「アフリカの奇跡」と呼ばれ国際的にも高い評価を受けているという。

https://gendai.media/articles/-/64666

その背景には中国の積極的な投資があり、また先に述べたようにDRコンゴ東部での資源搾取が行われているとみなされている。つまりはM-23はそのための先兵だ、という位置付けがある、少なくともDRコンゴではそう思われているのだろう。

https://www.tufs.ac.jp/asc/information/post-997.html

DRコンゴのチセケディ大統領は国際社会を批判していて、つまりはDRコンゴから鉱物を搾取するルワンダに対し経済制裁などの措置を西側諸国が行わないことに不満を持っている、ということのようだ。

実際チセケディのインタビューによるとEUはルワンダと鉱物取引協定を結ぶ予定なのだそうで、これはDRコンゴ側には我慢できないことであるのは確かだろう。インタビューによればDRコンゴはロシアのウクライナ侵攻を非難しているそうだが、その後のロシアに対する西側の対応と、ルワンダに対する対応の違いに強く不満を持っていて、そうした国民的な不満が今回のM-23のゴマ占拠によって爆発しているのが現状だということのようだ。

前任のカビラ大統領は中国に留学した経験があるなど親中国派だったようで、チセケディも政権初期にはルワンダと善隣政策をとっていたが、カビラの影響力排除に成功したこともあり、ルワンダ批判を強めるようになっている、という状況のようだ。ロシア寄りのスタンスを強めているのも、ルワンダに影響の強い中国でなく、不公正な外交政策を取る西側、特にEU諸国でもない勢力として、ロシアを重視するスタンスになっているということなのだろう。先の小川大使の声明を非難しているのが親ロシアのジャーナリストであるのもそうした背景を想像させるものがある。

DRコンゴといえば国名をザイールにしていた当時のモブツ独裁政権の印象がいまだに強い。またルワンダが「アフリカのシンガポール」と言われるほどの発展をしていたというのは詳細は知らなかった。この記事が出たのも、記者が中国専門の安田峰俊氏であることが大きいだろう。中国を理解するためにはアフリカとの関係を知れ、という安田氏の主張はこの記事を読むと深く頷ける部分があった。(特にそろばんが盛んだというのは興味深かった。写真を見る限りでは日本式の4玉だが中国式の丸い玉に見える。)

DRコンゴもルワンダも元はベルギーの植民地であり、その当時に醸成されたツチとフツの対立がルワンダ虐殺をもたらし、またそれがDRコンゴ東部にも影響しているということなのだろう。大地溝帯の大湖沼地帯の高原国家であるルワンダと、コンゴ川流域から湖沼地帯、アフリカ南部に近いカタンガまで広大で多様な領域を持って統治もなかなか行き届かないDRコンゴとでは、小国の方がむしろ強化できるというパラドックスがあって興味深いのだけど、地域の公正な発展というものがどう実現されるのかは中国やロシア・EUなどのプレイヤーのそれぞれの思惑もあってなかなか難しい感じである。

今回の事態がトランプ政権成立の余波なのかどうかは今のところわからないが、ルワンダのカガメ大統領の判断に全く影響がないとはいえない気がする。

いずれにしても、アフリカにおいてもスマートフォンは情報革命だったと思うし、ひと時代前とは全然様変わりしている部分は大きいと思う。アフリカ情勢は今後も見ていきたい。また日本が関わっていく余地や可能性はかなりあるとは思うが、人道援助のみでやろうとするのはアフガニスタンで中村医師が殺されたように、なかなか難しいところはある気がする。

日本も安倍政権とそれを受け継いだ菅・岸田外交から焦点のよくわからない石破政権に変わってしまうなど、外交方針にブレがある国なのでなかなか継続的な世界戦略を持つことは難しいなと思わざるを得ないのだが、なるべく早く安倍外交路線に復帰して日本としての世界戦略もきちんと練っていってもらいたいものだなとは思う。

もう一つ思ったのは安田さんのルワンダ取材についてで、こういう記事がもっとフィーチャーされていくことで記者の仕事が面白いんだ、ということが若い人にアピールできると良いなということである。私は切り口が中国ではないのでこんなところで安田さんの仕事に遭遇するということ自体が面白かったのだが、世界を知ろうとすることで思いがけないところに出会いがあるというのもこういうものに関心を持つことの醍醐味の一つであるなあとは思った。

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