浸水被害とバイパス排水路の工事/スカルラッティのイギリスにおけるブームと彼が両手交差の曲を書かなくなった理由
Posted at 24/12/18 PermaLink» Tweet
12月18日(水)晴れ
昨日は年賀状の一言を書くだけ書いて、とりあえずまた考えることもあるかと置いてあるのだが、仕事の終わり頃にどうも調子が悪くなって、目と頭の使いすぎだなと思い、なるべくネットなども見ないようにしている。朝起きたのは4時半過ぎだったが、それから目に蒸しタオルを当てて温めたり、肘湯をして手指の疲れを取ったり。そうすると普通レベルの目や頭の違和感が出てきて、少し戻ってきたかなと思う。今日はもともと整体に行く日なので、体を調整してもらおうと思う。それなりに休みながらやっているつもりではあるのだが、なかなかちゃんと疲れが取れていないんだなと思う。特に気分転換にスマホを見るのはしばらく控えないとなと思う。
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早めに暖かくして休んで、起きたらもう新聞(地元紙)が来ていた。一面が「県、バイパス排水路整備へ」とあって、おっと思う。職場のところは天水の排水が悪く、集中的に雨が降ると水が溢れがちで、以前から自治会が市に要望していたのだが、県道も走っているので県と市とかその辺の調整が難しかったらしい。以前広範囲に浸水した時に国土交通省の大型排水ポンプを設置して強制的に諏訪湖に排水したことがあったのだが、その後は多少マシにはなったが、浸水しなくなったというよりは浸水しても比較的速やかに水が引くようになったという程度で、ありがたいと言えばありがたいがもう少しなんとかしてもらいたいと思っていた。
場所的には県道が蒲鉾型の踏切を渡るのだが、線路横に市道が走り、その横に水路があって線路下を諏訪湖の方に水路が抜けているのだがそこに隘路があるのだそうで、そこで水が堰き止められて溢れるということになっているらしい。この街はすぐ裏手に斜面が迫っていてその上にも住宅地があるのだが、昔はそこも畑や山地だったし、山に降った水も地下に染み込んでいたらしいのだが、今は道も舗装されてしまって水路に排水されない水もアスファルトを一直線に降ってきて皆同じ水路に入ってしまうようになっているようだ。それに加えて最近の気候変動で集中的に豪雨になることが増えていることもあり、浸水被害あるいは一歩手前、みたいなことが増えてしまっていた。
今回の工事の主要な点はこの隘路になっている水路の手前からバイパスの排水路を作って水が滞留しないようにするという工事のようだ。
今回の工事はすでに始まっていて、まだ調査的なものなのかもしれないが、市道を一車線通行止めにし交互通行でやっているが、本格的な工事は完全に閉鎖して来年から行うようだ。市内では結構重要な道なのでここが通行止めになると私も多少不便になるのだが、浸水被害がなくなるなら我慢しようという感じではある。今後は排水ポンプの処理能力もあげていく改修が予定されているとのことで、そちらにも期待したい。
地元の人にいろいろ話は伺ってはいたのだが、新聞ではまとめて役所的なことがわかるのでやはり便利だなと思う。地元紙はこういう生活に密着したことが一面トップになるので取っていて良かったなと思う。
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お金をくずす必要があってついでに今発売されているブルーマウンテンを買おうとセブンイレブンまで出かける。今日はヤンジャンコミックスの発売日だが、セブンにもキングダムの74巻は出ていた。他のとまとめて買うつもりなので今朝は買わなかった。5000円札でコーヒーを買って帰ったのだが、車中では「古楽の楽しみ」を聴いていた。昨日聴いて割といいなと思ったのだが、今日はさらに良いなと思う。
https://www.nhk.jp/p/kogaku/rs/NWYPY4N3WW/episode/re/R65Y7244XR/
(今回は聞き逃し配信はないようです)
面白かったのは、イギリスで熱狂的なスカルラッティのファンのグループが生まれ、アマチュアで演奏する人たちが増えて、プロを雇って難しいところを弾いてもらい、合奏パートを雇い主のジェントルマンたちが演奏する、というのが流行ったという話だった。1740年ごろというと名誉革命後のウォルポールが事実上の首相になった時代の終わり頃、イギリス議院内閣制の成立期という感じで、ハーグリーブズのジェニー紡績機が発明されて産業革命が始まった頃、というある種イギリス黄金期の始まりの時期だろう。オーストリア継承戦争も始まり、植民地でもジョージ王戦争の前夜という感じである。
スカルラッティの楽譜は1738年にロンドンで出版されたものが本人監修のものとしては唯一だという。翌年にはロージングレイブという人物が勝手に出版していて、彼はヴェネツィアでスカルラッティに会って大ファンになり、イギリスのこういうスカルラッティ・ブームを生み出した人だったのだという。
https://note.com/kagefumimaru/n/n90084abde0f9#0ec7afb1-b7b0-4c54-982b-aa0d4c7d1f1e
番組ではイギリスでバイオリンも参加して弾くように編曲されたバージョンもオンエアされたが、これがとても良く、これを編曲した人はヴィヴァルディの影響も受けているんだろうなと思った。18世紀イギリスといえばイタリア・ローマの遺跡をめぐる「グランドツアー」が貴族の子弟の間で大流行した時代でもあったし、ロージングレイブもそういう理由でイタリアに行ったのかと思ったが、調べてみると彼はアイルランド系で、ダブリンの聖パトリック大聖堂の援助で音楽技術向上のため派遣されたということで、そういう趣旨ではなかったようだ。そこで彼はスカルラッティに出会ったのだということだった。
16−17世紀のオランダで裕福な市民がアート活動の経済的担い手になったように、18世紀のイングランドでは裕福な農業経営者=ジェントルマンたちがその担い手になった、という音楽における例なのだなと思った。この時代の雰囲気はスタンリー・キューブリックの映画「バリー・リンドン」でこんな感じかと思っているのだが、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」がもう少し後の1776年、デイヴィッド・ヒュームの「人間本性論」が1739年なのでこういう上級国民的文化の繁栄の一環だったのだなと思う。
スカルラッティ自身はヴェネツィア時代の後はローマに移り、1719年にリスボンの宮廷に、1729年にはマドリッドの宮廷に仕えている。スカルラッティ後期の作品はスペイン王妃・バルバラ・デ・ブラガンサに向けて書かれたものが多いが、途中でスカルラッティの代名詞的な両手を交差してのチェンバロ演奏の曲が見られなくなっているそうで、その原因としてはどうもバルバラが太って両手交差ができなくなったかららしい、というのがちょっと笑ってしまった。宮廷音楽家の時代というのはそういうことがあるのだなと。
ヨーロッパ18世紀というのは調べれば調べるほど面白い時代なのだが、音楽の観点からも見ていくとまた面白いことが出てきそうだなと思った。スカルラッティも名前は知っているけど生涯も作品もあまり知らない人だったので、今回その辺りを知ることができて良かったと思う。またCDなども探してみたい。
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