アレッポ陥落、ダマスカスでクーデタ?:シリア情勢の急展開とトルコの思惑/スギ輸出が新しい未来を切り開くか
Posted at 24/12/01 PermaLink» Tweet
12月1日(日)晴れ
シリア情勢が動いている。昨日の情報で、アレッポはほぼ陥落した感じだったが、今日はすでに反政府勢力の支配下に置かれ、アサド政権側は南部に逃走、ロシア軍機が空爆を加えている、というような状況のようだ。アレッポに攻勢をかけた主力は近隣のイドリーブに本拠を置くHTS、タハリール・アル・シャームといい、以前のヌスラ戦線らしい。ヌスラ戦線はアルカイダ系だと言われていたが、アルカイダを支持したというだけで特に関係はない、というのが今日関係の文章を読んで得た知識。トルコに支援されたグループも介入しようとしているとのこと。
今朝になって入ってきたのは、首都ダマスカスで戦闘が発生しているとのこと。これは反政府勢力との戦闘という説もあったが、政権内の治安総局長であるハッサム・ルーカ准将が指揮したクーデタであるという情報もあり、何が起こっているのか掴みにくい。アサド大統領は28日にモスクワで支援を要請したという話だが、今は家族も呼び寄せたとの話もある。一度帰国したという情報もあり、何が本当だかは分からない。クーデタの主体もアサドの弟だという話もある。中東は偽情報の本場だという専門家の指摘もあり、状況がわからないと何が本当だかよくわからないということだろう。
アサド政権の弱体化は、昨日も書いたがロシアがウクライナに手を取られてシリアに注力できなくなり、イランがイスラエルによってハマスやヒズボラなどの応援する精力を剥ぎ取られたからだ、ということのようで、そうなると国内のクルド人勢力・イスラム国の残党・ヌスラ戦線や政権内の不満分子が活発化してくる、ということは十分ありそうだと思う。今一番積極的な関与が言われているのはトルコだが、イスラエルも何もしないということもないだろうし、ロシアは権益を守ろうとするだろうし、欧米も全く手をこまねいたまま、ということもないだろうから、とりあえず続報を待つしかないだろうとは思う。
ヌスラ戦線もアルカイダ系と言われていたからそちらの方からの支援が武器や人員の供給・訓練などを支えているのかと思っていたけれども、そうでないならそういう部分を支えているのがどういう勢力であるのかは気になるところだ。トルコが作戦にゴーを出したという説もあるが、トルコが支援したのかどうか。
トルコは基本的にカタールと並んでムスリム同胞団を支援していて、エジプトの同胞団から派生したハマスも支援してきたから、イスラエルとはこの件でかなり対立を深めている。トルコの影響下で同胞団系の組織がシリアを統一するようなことがあったら、かなり大きな変化になるだろうと思う。
トルコの狙いとしては、アサド政権を排除してできればトルコの影響下のシリアの政権を樹立し安定させて、国内にいる数百万人のシリア難民を帰国させたいということはあると思う。もしそれが可能になったら、ヨーロッパにいるシリア難民もかなりの部分の帰国も可能になるだろうから、難民・移民禍に苦しむヨーロッパにも恩を売ることができる。
また同胞団系の政権ができればイスラエルに対して強い圧力をかけることができ、弱体化しつつあるイランに変わって中東の政治情勢のイニシアティブを握り、イスラエルとも強気の交渉ができるようになるだろう。元々トルコはNATO加盟国でもあり、そういう意味では中東では異質の存在でもある。エルドアン政権の初期までは西欧志向が強かったが、現在では中東に目が向いているように思われる。元々トルコはオスマントルコ時代からパレスチナを含む歴史的シリアを支配してきているわけで、これらの地域についての知見はロシアやアメリカ、イスラエルやサウジアラビアよりも持っていると言えるだろう。トルコの影響力のもとに中東が安定するということはあるのではないかという気はする。まだどうなるかわかっているわけではないが。
***
先日も書いたが、日本の木材、特にスギの輸出が復活しつつあり、その主力の輸出先は最終的にはアメリカで、イクステリア材、特に「塀」を作るのに主に使われているらしい、という話は興味深かった。
https://x.com/hori_shunsuke/status/1862710914149228645
製材は特に中国で発達しているらしく、輸出されたスギのほとんどは上海に送られているようだが、一部は原木のままアメリカに送られているものもあるらしく、直接輸出できればもっと利益が上がるのではないかという気はするが、システム上の問題もあるからなかなかそうもいかないというところのようだ。
戦後の復興期にたくさん植えられたスギは、日本各地にスギ花粉症をもたらすという状況を生んでいるわけだけど、それらが伐採されて輸出され、また違う樹種が植えられたら良いのではないか、という気はするけど、林業の産業としての衰退を考えるとなかなかそういうことも難しいのだろうなとは思う。
ただ、スギは木目が美しいし匂いもよく、腐りにくいという利点があるので、製材として復活してくれると嬉しいということはある。日本国内でも林道整備などを進めて安定した産業として復活してもらえると良いとは思うのだが。
***
毎日忙しいしいろいろ書きたいこともあるのだが、ブログに書くとなるとまとめなければいけない部分も多いのでなかなかまとまらない。一方で色々なことが世間では起きるので、そういうことも自分の記録の意味でも書いておきたいこともある。
今日は東京に帰るので早めに更新できてよかった。
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