「ふつうの軽音部」:藤井彩目という「青春の重さ」を体現したキャラについて考える/andymori「16」/「旅の重さ」と「今日までそして明日から」
Posted at 24/12/26
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12月26日(木)雨のち曇り
昨日寝る前に「ふつうの軽音部」の、特に藤井彩目がバンドに加わる直前の24話「その先に向かう」を中心に読んでいて、私はやはりこの話が今までの中でも特に良かったかなと思って、ジャンプ+の話ごとのアクセス数を見ると、鳩野がa flood of circleの「理由なき反抗」を歌ってそれに動かされて彩目がバンドに加わることになる25話が104万アクセスを超えていて、24話は99万超えなのだが、前後の話に比べるとアクセスが多く、読み返している人が多いのだろうなと思う。
https://youtu.be/Fae9h-FQLT4?si=2a8zl59A5OyrY5Jh
ジャンプ+は初回無料だが二回目からはコイン等有料になっている(ポイントを集めて頑張って無料で読むという手もあるが)ので今は単行本を読み返しているのだけど、ここは第3巻にあたる。まあ、この巻はやはりこの辺りのエピソードが中心だということだろうか、当初からのバンドメンバーである厘よりも先に彩目が表紙になっている。
細かいことを言うと、23話の途中までが原作者のクワハリさんが自分の絵でジャンプルーキーで連載していた部分にあたり、23話の終わりから24話にかけてはルーキー版(こちらはファンの間では「旧約」と呼ばれていた・厘が鳩野を神様扱いするので、まあ洒落である)を読んでいた読者にとっても初めて読む回だったから、当初から注目が(少なくとも自分の中では)集まっていた。
鳩野に「永井公園で弾き語りをするから聞きにきてくれ」と言われた彩目が「行かない」と言っていたのに(因縁のある)大道に説得され、厘からLINEが来て、「行くわけないやろ」と思いながら結局公園へ行く。
小学生時代の桃への憧れのことや、高校に入って同じ軽音部に入ったから一緒にバンドを組みたいと思いながら、桃が可愛い大道や乃木とバンドを組みそうなのをみて、中学時代に旧友から言われた陰口「彩目って自分のこと一軍女子やと思ってる雰囲気ない?」「それな〜普通にブスやのにどこからその自信来るんやろ」と言うトラウマになっている言葉を思い出して声をかけられなかったことを思い出し、涙を流す。
結局彩目は鳩野の弾き語りを聞きにいくわけだけど、この道中の彩目の心理描写が素晴らしくて、このマンガの良さを確信した回だった。
今朝、目が覚めてトイレに行って時計を見たら3時40分だったのでもう少し寝ようとベッドに戻ったのだが、彩目のことを考え始めた。彩目というのは本当に「青春の重さ」を体現したキャラだなと思うのだが、その重さを自分も一緒に背負っているような気持ちになってきてしまったのだ。寝起きというのは気持ちは多分自由なのだけど、なんだか主観的にしか考えられないし、行動できるわけではないから思考があまり良い方向に進まないことが多い。もちろんプラスの方向に発想がどんどん展開して思いついたことをとにかくノートに取らなきゃ、と思うこともあるのだけど、最近どちらかというとそういうじめっとした感じになることが多く、自分のことながら本当にキャラに思い入れしてしまっているなと思った。
実際に起きて手を洗ったり昨夜の洗い物をしたりお茶を飲んだりしているうちに客観的に自分の気持ちについても見られるようになってくるしそれを支援する発想も出てくるので、寝起きでぐずぐずして思考が変な方向に行きそうになったらさっさと起きるようにしている。まあ起きればやることはいくらでもあるから思考は普通は客観的になる。体調があまり良くない時はすぐに切り替えられないこともあるけれども。
https://shonenjumpplus.com/episode/17106567261852340784
こんなふうにいろいろ考えてしまうのは、先日も書いたが50話「空を行く」でandymoriの「16」をバンドメンバーに誕生日パーティーをしてもらって鳩野が上機嫌で歌う場面を読んで、DLして聞いてみたが「16」がとても良い曲でもあり、何度も繰り返して聴くことで歌詞の内容についてすごく考えてしまい、先日書いたように「どこにも行けない彼女たち 駅の改札を出たり入ったり」あたりからの解釈についてちょっと辛い方向に考えてしまったのがきっかけだったかなと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=kS68jT2GY-w
この作品では鳩野の言葉や鳩野の歌う曲たちのフレーズに合わせて「はーとぶれいく」の三人、厘、桃、彩目の表情や反応が描かれることがよくあり、この展開が私はすごく好きなのだが、この「16」の歌詞に合わせても乃木舞伽と仲違いしていることを思って暗い顔をしている桃や何を考えているかわからない顔でアイスキャンディーを加えてベッドで横になっている彩目、この作品の中で初めて一人でベースの練習をしている厘が描写されていて、本当にこの子たちもある意味「どこにも行けない」のだよなあと思ったりした。
「16」のラストは「16のリズムで空を行く 明日もずっと空をいくのさ」というフレーズで終わるのだが、私が口ずさむと、つい「明日もきっと空を行くのさ」と歌ってしまう。「空を行く=歌い続ける」ことは、私が歌うと「きっと」、つまり願望や期待になってしまうのだが、andymoriの小山田さんや鳩野自身にとっては「ずっと」、もう決まったこと、確信も通り越してそうなることになっていることなんだなと思ったりして、新たに考えさせられるところもあった。
https://www.youtube.com/watch?v=sBWcx07ds_w
「青春の重さ」みたいなことはもういい歳になってしまった今の自分が今さ何度も思い出しながら考えるようなことかなというところもあるのだけど、ある種自分にとってのテーマみたいになっているところもあるんだろうなと思う。最初にこれについて考えたのは中学3年生の時にテレビで高橋洋子主演の「旅の重さ」をみた時で、今ちょっとググってみて主題曲が吉田拓郎の「今日までそして明日から」だったことも思い出して、この映画が印象に残っているのもやはり音楽の力が大きかったのだなと改めて思った。
https://www.youtube.com/watch?v=EOZK_WteUBY
今予告編やエンドロールを見てみると、自分の中の印象とかなり違っていて驚くのだが、パソコンのようなパーソナルなメディアで見るのとテレビで見るのとではまた印象が違うのだろうなとは思う。
人間のテーマというのは思いがけず天から降ってきたりするものなのだよなあとは思うのだけど、人間の側にもそれを受け入れる器みたいなものがあって、破れ鍋に綴じ蓋みたいなものなんだろなとも思う。いい歳をしてアレではあるのだが、「青春の重さ」みたいなテーマというのとは、これからも向き合っていくのだろうなとも思う。
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