「36」全てを与えられすべてを奪われた世界での避難場所は今も変わらないのかもしれない/マイルドヤンキー向け消費こそ日本の強み

Posted at 24/12/02

12月2日(月)晴れ

昨日10時台の特急で実家を出て帰京。1時に東京駅に着いて空いていたらと思って丸善のカフェに行ってみたが混んでいたのでやめて、石戸諭「「嫌われ者」の正体」(新潮新書、2024)を買い、来年のスケジュール帳を少し見て東西線に乗って地元の駅へ。西友でロースカツ弁当を買って帰宅。もう2時20分を過ぎていたので、遅い昼食になった。

何となく動く気がしなかったのだがとりあえず6時ごろ家を出てどこかに行こうと思って出かけたが決めきれず、結局神保町に行った。普段行くところは大体もう閉まっていて、東京堂の一階を少し見て書泉グランデでマンガを少し見、そのまま新御茶ノ水まで歩いて千代田線に乗った。まあほとんど何もしていないのだが、出かけて本の街の空気を吸うことに意味があった、という感じだろうか。帰りに三井住友銀行で通帳の記帳をし、デイリーヤマザキで朝のパンと牛乳を買って、そのあと地元のスーパーで買い物をして帰った。
夕食は買ってきたもので簡単に済ませたがぼやぼやしているうちに何だか眠くなってしまって、早めに寝た。起きたら3時過ぎ。マンガを買いに行こうとカバンの中を見たらパンと牛乳がそのままになっていて、仕方ないので牛乳は処分。マンガを買いに行ったついでに牛乳も買ってきた。こういうことをやってしまうというのはどうも困る。

***

ジャンププラスを読んでヤンマガ、スピリッツの順に読み、出張掲載されていた「36」という作品が面白かった。

https://bigcomics.jp/series/caf29fced5a6d

作品オリジナルではなく、世間に出ている歌手やバンドの歌を歌うという点で「ふつうの軽音部」と同じやり方だが、22歳の新人だということなのだけど、1話で歌われるのが中島みゆきの「愛される花 愛されぬ花」で3話がブルーハーツの「皆殺しのメロディ」という我々の世代かと思うようなセットリストで、面白かった。

そういう歌を、いなくなってしまった父の思い出とともに大事にしている少女と、野良犬のようにギターを弾きまくり、卒業するためだけに高校にも時に顔を出す少年。(最初少年だと思わなかった)

この世代の抱えている閉塞感というものと、自分たちが感じて異な棚に加は多分全然別物なのだと思うけれども、納得いかない世界の中で自分の生を精一杯生きようとしている、ということは理解できた。

彼女が置かれている世界は、彼女の好きな音楽や世界を持っていた父親がいなくなってしまった後、それをすべて処分した母親によってすべて与えられている世界。

「バカなあなたには自分がどんなに恵まれているか気が付いていないのね。あなたに必要なものは全部ここに揃っているでしょ?」

「私の言うとおりにしていれば立派な大人になれるから。」

彼女は名門の女子高に通わされ、「上等なものが揃えられ、努力できる環境まで与えているのに」。母親は彼女に反抗を一切許さず、父親をバカにし、「いつか殺してやる」とうめく彼女に「いつか?とことんグズなのね。」「殺したいなら今のうちに殺しておきなさい」という。

全てを与えられていて、すべてを奪われている。こういう母親を描けるというのはどういう経験があったのかと思うが、そのように作者には世界は見えていて、つまりそこからどうやってその世界から抜け出せるのか、その世界を超えられるのか、というのがこの話の焦点になっていくのだろう。

我々が子どもの頃に読んでいた、大人向けのマンガというものは、「暴君」というものは当然ながら父親だったのだけど、母親をこのように絵に描いたような暴君として描くのは非常に現代っぽいと思う。それを「昭和」と「令和」という言葉に回収してしまうとなんだか何か言ったような感じになってあまり適切ではない気はするのだが、「行き場のない少女がCD屋(我々の時代ならレコード屋だが)で独り音楽を聴いている」という図自体は私にとっても身に覚えのある風景なので、それはとてもレトロに感じてしまう。それは彼女が母親にスマホを与えられていないからなのだが、現代において虐待にも感じるスマホを持たない高校生だからこそ描ける世界もあるのだよなと改めて思ったりする。

とりあえず無料のところまでは読んだが、12日に単行本1巻が出るようなので、続きはそちらで読んでみたいと思う。

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ネットで見て興味深いと思った記事。

https://blog.btrax.com/jp/round1/

ボーリング場を全国展開しているROUND1が、アメリカに進出して50店舗以上を展開し、100億円規模の売り上げを上げているのだという。

この話のミソはアメリカには都市部を除き、娯楽施設、特に若者向けの娯楽施設がほとんどない、という話である。これは私もジョージア州の田舎町に行ったときに感じたが、本当に何もない。大人も含めて、娯楽というか話のタネになるのはウォルマートしかない、という街が延々と広がっているのである。そしてアメリカの飲酒規制は厳しく、21歳以上にならないとバーに入れない。ご飯を食べるためなら小学生でも居酒屋に入れる日本とは大違いである。

そして免許は16歳で取れるから、かなりどこにでも行ける。そういう環境があるからこそ、麻薬が蔓延するのだなと思う。要は面白いものがほかにないのである。

ROUND1は私はボーリングしか知らなかったが、ゲームセンターその他の総合アミューズメント施設であるとのことで、高校生や家族連れが遊べる貴重な場所としてさびれたショッピングモールに出店し、そのモール自体を活気づけてもいるということで、今ではモールの側からオファーもかなり来ているということである。

いわば「マイルドヤンキー」向けの店であるわけだが、実は日本はそういうチェーン店はそうとう充実しているのだよなと思う。

日本のアニメ文化の進出もあり、クレーンゲームが大人気で、景品もアニメグッズが人気であり、費用にしても円安の現在としては日本とは比較にならないような価格でもどんどん利用されているということで、確かにまさに商機はそこにあるというか、「マイルドヤンキーねらい」こそが日本の強みであり、その層は全世界にいると思うし、これからもどんどん世界進出できるのではないかと思った。

日本文化の輸出と言うのは言われて見たらこの辺が強みだというのはその通りだと思うし、アメリカの田舎には本当に何にもないというのも知っていたので、これはコロンブスのたまごだと思ったのだった。

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