スカルラッティと18世紀前半のヨーロッパ/植民地・海外領土に振り回された日本やポルトガル/太い幹を作る音楽家・花を咲かせる音楽家
Posted at 24/12/17
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12月17日(火)晴れ
昨日は作業場の植木の手入れの人に入ってもらっていたのだが、一応終わった。今年はどこも木の成長がすごくて、手入れに手間がかかった印象。私の方は年賀状の印刷に取り組んで、とりあえず印刷は終わらせた。それから母に一言書いてもらうものをまとめて施設に届けて、自分の方の片付けをして帰ってきた。とりあえず年末の仕事の大物が二つ一度に片付いたのでなんとなく解放された気分になってしまって、ついネットをずっと見たりして、夜も早く寝た。
起きたら4時前だったのだが、寝たのが10時ということもあり、ここ二日ほど体調が悪いこともあって寝過ぎていたので、結構スッキリ起きた。ただ昨日はあまり何も読んだりもできなかったし、そんなにいろいろ考えたわけでもないのでブログに書くことが思いつかず、さてどうしようかなと思案していたらもう10時になる。
朝出かけた時に車の中で「古楽の楽しみ」を聞いていて、ドメニコ・スカルラッティの曲を取り上げていたのだが、スカルラッティはナポリの出身で、17世紀から18世紀にかけての人。フランスで言えばルイ14世時代からルイ15世時代。太陽王をはじめとする絶対王政時代から啓蒙専制君主の時代への移行期、貴族制の最盛期とも言えようか。当時のナポリはパリに次ぐヨーロッパ第二の都市だった、という話があったが、当時のナポリはスペインの副王領で、陰謀事件などが多発し、スペイン継承戦争さなかの1707年にはオーストリア・ハプスブルク家の支配に入り、スペインはブルボン家が相続したもののナポリはオーストリア領に移る、という政情不安の中、フィレンツェやローマに移り、そこでポーランド王妃のマリー・カジミールの知遇を得たりもしたが、ポルトガル大使と知り合うことで結局ポルトガルのブラガンサ王家に仕えることになった。
1719年にリスボンに到着した後、ジョアン5世の娘のバルバラ・デ・ブラガンサに仕え、彼女がスペイン王フェルナンド5世と結婚するとマドリッドに移った。スペインではフラメンコの音楽の影響を受けた作品なども作っているということで、へえっと思った。
スカルラッティについてはそのくらいを調べたり聞いたりしただけなのだが、ついポーランド王妃のマリー・カジミール(フランス貴族)について調べて、彼女が自分の息子がポーランド王位につくのを妨害して結局ドイツ貴族が王位についたり夫を支えてポーランドを盛んにしたりもしたが結局ポーランドの弱体化に手を貸した感じになったこととか、ブラガンサ王家が第一次世界大戦に先立つ1910年に革命で滅びてイギリスに亡命したこと、その後の激動のポルトガル現代史に想いを馳せたりした。
日本も大陸に植民地や領土を持つことによって大陸の利権やその存在に振り回されるようになって結局は第二次世界大戦に巻き込まれてしまい、戦後は身軽になって経済発展に邁進したりしたわけだが、こういうのは例えばイギリスが大陸に強い関わりを持ち続けながら百年戦争で大陸の領土を失うことによって独自の発展をしていくことを可能にしたことなどと似ているのだけれども、ポルトガルはもっと酷くて王家自身がブラジルに亡命して別に王国を建てたり植民地に振り回されっぱなしになっている。ポルトガル自身が小国であるのに地理状の発見の時代に世界中に植民地を築いたことに関係しているわけだけど、現代でも本土で目が出そうもない若者が旧植民地のマカオやアンゴラ、モザンビークなどに出かけて成功している例もよくあるらしく、日本人が満洲でやっていたようなことを今もやっているのだなと思ったことがあった。
日本はある程度の規模のある国だから大陸情勢に振り回されているうちに結局アメリカと大戦争になってしまって亡国の危機に陥ったわけだけど、ポルトガルは小国だからそこまでの劇的な変動もないうちにサラザールの独裁体制になったり死んだら自然に民主化したりしていく感じが全然違うなと思う。例えて言えば日本は質量が大きい恒星のようなものでその末期には超新星爆発みたいな派手な出来事が起こったが、ポルトガルは質量が小さい恒星のように自重で縮んで行って白色矮星になった、みたいな感じだな、と思ったり。
スカルラッティの時代は美術史的にはバロックからロココへの移行期だが、音楽史的にはまさにバロック音楽が大成していく時代なのだなと思う。バッハのように音楽の根幹を構築していくタイプの音楽家に比べてスカルラッティはどちらかというと軽い華やかな感じかなと思ったが、音楽史もベートーベン・ブラームス・マーラーといった系統のドーンという太い幹のようなものを構築していく系統とモーツァルトやショパンのようにそこに華やかな花を咲かせていく系統の音楽家がいて面白いなと思った。まあこれはどんな芸術ジャンルでもそうなのかもしれないのだが。
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