進行管理ノート/アンモニア製造の画期的新技術と「知識集約産業としての化学工業」
Posted at 24/11/21 PermaLink» Tweet
11月21日(木)曇り
晩秋というより、初冬らしい天候になってきた。昨日は少し外作業ができるかと思っていたが雨もよいだったので結局何もやらず、進行中の案件の管理みたいなことを中心にやっていた。
自分のやっていることが多すぎてうまく管理できていないので、案件の分野別にノートを作って書くようにしていたのだが、それだと数十冊になってとてもノート自体を把握しきれない。それで少し考え方を変えて、桜井章一さんの「準備・実行・後始末」という言葉を思い出し、「状況把握・構想構築ノート」「諸事準備ノート」「進行管理ノート」「諸事後始末ノート」「整理・日常復帰ノート」という形で各案件の現在の段階に合わせてノートを作る、という感じにしてみた。
これは自分が、後始末ができてないなというのと、準備が足りないなと思うことからその辺をしっかりやろうと思って考えたのだが、いまのところ一番書いているのは「進行管理ノート」で、進行中の案件を常にいくつも抱えているからそこに書いておけばその時できなくても後で確認して取り掛かることができる、みたいになる、という感じで使っている。ページごとに案件の進行状況を書いているので、何ページも同時に埋まっていくが、いろいろ工夫しながらできるといいなと思っている。
***
アンモニアの常温常圧合成が安価でできる方法を東大の西林仁昭さんたちが開発したとのこと。この方法開発の意義は、下の方の記事がわかりやすいと思うので、ご覧いただければと思う。
https://x.com/knsmr/status/1859108014969811422
現代の産業は「知識集約産業」になる、というのはピーター・ドラッカーの予言だったが、その通りにゲノム解読による製薬業界の圧倒的な進歩やAI技術を代表例とする情報技術の発達、宇宙開発その他、世界的に「知識集約産業」をうまく発展させた国が雇用を生み出し、経済的に好調になっていると言われている訳だけど、日本はそれに乗り遅れてきたと言われてきた。
しかし、実は化学工業の分野もまた、博士を取得している人たちの従業員に占める割合が非常に高い、知識集約産業であることはあまり知られていない。
化学分野は就職先としてあまり人気がない(湾岸の石油コンビナートとか大気汚染や水質汚染の印象がつよく、イメージが悪いからだろう)けど、実は多くの博士の就職先になっている知識集約型産業なのである。私は主に素材の分野で注目していたけど、この記事を読んでテーマになっている窒素固定のことだけでなく、触媒などの開発でも日本は最先端だということがわかった。ぜひノーベル賞を取って日本の有意な人材の目を化学に向けてほしい。
この記事で紹介されているように、窒素固定=アンモニア製造は非常に莫大なエネルギーが投入されているのでそれが減少すればさまざまなメリットがある。またこれらのアンモニアの用途は大部分が窒素肥料であり、これらは「緑の革命」に貢献して、世界の作物の収量を飛躍的に増やし、多くの人口を養うことを可能にした。
それに貢献した品種が1935年に日本で開発された「小麦農林10号」で、風雨に強い特性を持ち、それが占領中にアメリカに持ち帰られ、ボーローグラによってさらに改良されてメキシコの小麦収量を3倍増させたとのこと。ボーローグはこの開発でノーベル賞を受賞しているのだが、それならば農林10号の開発者も受賞して然るべきだと思ったのだが、敗戦国だからなかなか難しかったのかもしれないなとは思う。
もう一つ、アンモニアの製造法として現在でも使われているのがハーバー・ボッシュ法だが、その開発者であるフリッツ・ハーバーはドイツ人であり、ドイツの勝利のために第一次世界大戦中には毒ガス(つまり化学兵器)の開発にも携わった。しかし窒素固定の技術の方が評価されて、彼はノーベル賞を受賞している。
しかし彼はユダヤ人であったため、ナチスの台頭後は思うように活動できなくなり、パレスチナの研究所に誘われたが、その旅の最中にスイスで亡くなった。彼の生涯を私は「栄光なき天才たち」というマンガで読んだ。
日本の化学工業は水俣病など公害の原因となったという原罪を背負ってはいるのだが、それだけに公害を防止する技術も積み重ねてきているので、将来に向けてより発展していってほしいと思う。これらは原子力技術も同じことだろう。
***
昨日は俳優の火野正平さん、今朝は大相撲の北の富士さんの訃報があった。どちらもその世界で長い間活躍された方。今年はそういう方の訃報が多い。ご冥福お祈りして合掌したい。
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