日本の満洲進出と豊かな黒土地帯/左翼はなぜ貧者の味方でなくなったのか:メディアや学者の粗探しで傷んでいる国家と社会
Posted at 24/11/09 PermaLink» Tweet
11月9日(土)晴れ
昨日は午前中母を病院に連れていき、帰りに西友で買い物し、蔦屋に寄って本を少し見た。帰ってきていろいろ現状把握のための書類をまとめたり。本はあまり読めていないが、ブログなどネットの記事に興味深いものがいくつか。
一つはこちらの土壌学者の藤井一至さんのインタビューだが、大変面白い。
https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/132.html
藤井さんの本では「土 地球最後のナゾ」(光文社新書)が面白く、4年前に幾つか文章を書いている。
https://note.com/kous37/n/nee8f96abd7e9
https://note.com/kous37/n/ne12ccbf1f985
土についてはそれまでそんなに関心を持ったことがなかったので、「チェルノーゼム」「ラテライト」など、地理でやった覚えのある土壌の名前が出てきてこれはこういうことだったのか、と感じいった、という程度なのだが、土は水と並んで戦争の原因になる程死命を決する存在である、というのがこのインタビューでわかりやすく説明されていた。
私は満洲というと茫漠たる広野で馬賊が走り回っていたというイメージが強いのだが、満洲の松嫩平原は地質的には黒土、つまりチェルノーゼムと同じもので、アメリカのプレーリー土と並んで世界三大黒土地帯なのだという。そういうことをちゃんと認識していなかった。現在の黒竜江省の南部から吉林省の北部に広がる地帯で、日本の満洲進出の意図の一つも、この国土地帯の確保にあったというのはちゃんと認識していなかった。
以前読んだときは日本の黒ボク土の問題、つまり火山性の土壌で栄養素に偏りがあるが、水田耕作には向いているというのが強く印象に残ったが、ウクライナの小麦輸出などが世界的な問題である現在においては世界の土壌についても考える必要はあると思った。
また、これはNHKニュースで見たのだが、異常気象のためにコーヒーの生産が減っているという話。私はスマトラのマンデリンが好きなのだが、インドネシアでコーヒーの不作が起こっている話なども取り上げられていた。このインタビューでは森林を切り開いて農業を行うことで土壌が失われてしまっている話なども取り上げられていて、なかなか難しい問題だなと思った。
こういう話も注目されていくと良いのだがと思う。
***
もう一つ、こちらの連ツイとそこで紹介されている文章がとても重要だと思った。
https://x.com/kemohure/status/1854474256547262601
なぜ左翼政党が本来の支持層である労働者のために働かなくなり、当然ながら労働者の側からも左派政党離れが進んでいるのか、という問題。これはつまり「労働者と労働組合を主体で再配分を求める労働者党から、大学の教授達を中心とした文化左翼が民主党に浸透した事で、再配分を否定して、アイデンティティ・ポリティクスを求める文化左翼党に変化した」から、というのは指摘の通りだと思う。
これはアメリカ民主党についての説明だけれども、基本的に日本の左派政党についても言えるだろう。立憲民主党が運動家に乗っ取られた感が出てきてから、国民民主党との違いが鮮明になってきているのだが、自民党の側は石破さんなどを見ているとそれについての認識があまりないように思う。
https://liberalartsblog.hatenablog.com/entry/2021/12/07/220632
これはメディアについてもそうなのだが、学者たちの動きも新しい建設的なことを提案するという本来の仕事ではなく、批判が中心の「なんとかスタディーズ」が盛んになってきて、「間違いを発見した最初の人物であると思われたいというアカデミックな衒学者の欲求、そして、群衆から頭一つ抜け出て、流行の第一人者になりたい欲求によって突き動かされている」という状態になっている。つまり、メディアも人文系学者も「粗探しをすること」ばかりに熱心になり、問題解決に取り組む従来の労働組合中心の左派運動から乖離しつつあるということなのだろう。
これはやはり現代左翼の病理というべきで、労働者や貧困問題を顧みない左翼はなぜ生まれたか、という問いの有力な回答になるだろうと思う。日本のなんとかスタディーズの人たちも「最初に問題を発見した人」としてもてはやされたいからありもしない「萌え絵加害問題」とか「でっち上げレイプ問題」とか「靴問題」とかを作り出す、ということなのだろうと思った。
こちらの文章は時間がなくてまだしっかり読めていないので、時間のある時に読んでまた論じたいと思う。
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