「歴史学はこう考える」と史料批判の起源/「レコンキスタ」と南フランスのロマンス文芸の起源

Posted at 24/10/10

10月10日(木)晴れ

昨夜からだいぶ冷え込んでいて、よく晴れているので放射冷却現象だと思うのだが、ここに来てようやくはっきりと秋が来た、という感じなのだろうと思う。今朝の最低気温は9度台で、一気に一桁まで下がってきた。

昨日は午前中松本の生態に出かけて体を見てもらい、なんとなくうとうとしてしまったがそんなに悪くないということだったのでよかった。頭が忙しいというのはそうだろうなと思ったし目を休めるのももっとしっかりやったほうがいいということではあったのだが。

帰りに松本のスーパーに寄ったら休業日だったので高速で岡谷に出たのだが、岡谷ジャンクションの手前で工事渋滞があるとのことで、これは引っ掛かるかわからなかったが塩尻で降りて国道を通って帰った。木曜日に庭師が入るのでそのお茶の用意のためにお菓子と、また自分の昼食も買って帰宅。

空いている時間は「魔法使いの嫁」を19巻から読み直していた。登場人物が増えていて、相関図を作ったほうがいいなと思ったり。

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「歴史学はこう考える」。少しずつ読んでいるが、昨日は74ページまで。第2章は史料の読み方、史料批判について。それについて丁寧に一つ一つ説明しているという感じで、当たり前と言えば当たり前のことが書かれているが、特にこれから歴史を(大学ないし大学院で本格的に)学ぶ人にとっては大事なことだと言えるので、そういう意味では良い参考書だと思った。

それに関連して一昨日に読んだ「古文書学」のジャン・マビヨン(1632-1707)について調べたのだが、このベネディクト会修道士はよく知らなかったけれども思ったよりすごい人で、フランス中を古文書を読んだり写本したりして歩いただけでなく、ドイツやイタリアにも行っている。聖人伝も事実として認められることだけを厳密に選び出して書くというやり方を確立し、それ自体が「キリスト教徒は真理を大事にすることが重要であり、真理とは言えない話や作り話をもって語ることはむしろ修道会の不名誉につながる」という彼の思想の反映であった、ということは見逃せないと思う。

一方で古文書について新しいものほど信頼性が高く、古い文書は偽書であると主張したハーベンブレックという人が現れたため、マビヨンは反論のために「古文書学」を著した。

「彼は文書の作成年代と文書の真偽は全く関係なく、古い時代の文書(それが本物であっても偽物であっても)も文書を書いた紙の素材や保存条件によっては今日まで伝わり得ることを指摘した。その上で真偽を確かめる方法として書式や文面などが当時の文書のそれに適ったものであるか否かという文書が持つ内的性格の調査が欠かせない事を指摘し、ハーペンブレックの判断に対してその誤謬を指摘して、彼が偽文書とした文書が真正の文書であるとする証拠を提示した。」(引用はWikipediaより)

この書により彼は「歴史考証学の父」と言われているそうで、その科学的な古文書読解の方法は史料批判の先駆者として高く評価されているわけで、彼は死後サン・ジェルマン・デ・プレ教会に埋葬されたが、その隣の埋葬者はルネ・デカルト(1596-1650)だそうである。

「史料批判」という技術の歴史についてはあまりよく知らなかったので、勉強になった。

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「レコンキスタ」は第4章114ページまで。興味深かったのはバルバストロというイスラム側のタリーファ、フード朝サラゴサが支配する街をキリスト教徒側が包囲し占領した事件が1064年に起きたのだが、これはアラゴン王サンチョ・ラミレスだけでなくフランスのアキテーヌ公ギョーム8世が主力になって行われ、教皇アレクサンデル2世によって赦しを与えられた十字軍の形で行われたことだという。

この征服によって南仏アキテーヌにアンダルスのイスラム文化がもたらされ、12世紀のアキテーヌの宮廷文化が育まれた、という主張が科学史家の伊藤俊太郎が指摘しているということで、この辺りも調べてみたらギョーム8世の息子のギョーム9世が「最初のトルバドゥール(吟遊詩人)」と言われた人であり、彼の孫が最後のアキテーヌ(女)公・アリエノール・ダキテーヌであった、ということを知った。

吟遊詩人のロマンスというのも元はイスラム起源だという主張があるようで、この辺りも詳しくないので良くは知らないが、今では享楽的なことが嫌っている雰囲気のあるイスラム文化からキリスト教世界に享楽的な文化がもたらされた、というのはありそうな話で、(後ウマイヤ朝の王女で詩人のワッラーダの話などを思い出す)アラビアン・ナイトなどを通じ、イスラム世界がキリスト教世界からどのように見られていたかという例の一つにも思われる。イスラム原理主義の勃興以降、その辺りはだいぶ変わったということだろうとは思うのだが。いろいろと興味深かった。


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