第50回衆院総選挙:自公過半数割れと物価高の直撃/連立協議と自民執行部批判/悪材料出尽くしか日経平均上昇//都立現代美術館「高橋龍太郎コレクション展」に見る時代精神の移ろいと東日本大震災
Posted at 24/10/28 PermaLink» Tweet
10月28日(月)雨
昨日は10時過ぎの特急で帰京。前日にえきねっとで見て割合空いていたのでその電車にしたのだが結局ほぼ満席になっていて、これならもっと早い時間でもよかったなと思うなど。電車の中では疲れが出ていて最初は「ふつうの軽音部」のリストを聴いていたのだが、後半は大体寝ていたかなと思う。新宿で乗り換えて東京駅に出て、駅弁を買ってから丸善でちょっと本を見て、地下鉄に乗って地元の駅で降りて歩くのも面倒だったのでバスに乗って帰った。
家で遅いお昼を食べた後少しいろいろやってから出かける。まずは近くの小学校へ行って投票を済ませ、そのまま歩いて東京都現代美術館に向かう。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TRC/
「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」と常設展(現代美術館コレクション展)を見た。
一人の人がこれだけのコレクションをしたということ自体にまず驚いた。全共闘世代の精神科医の方らしいが、館内で見たビデオによれば最初集め始めたのは会田誠・山口晃あたりからだったらしいが、全共闘時代に第一人者だった赤瀬川源平や合田佐和子、あるいは草間弥生や横尾忠則・宇野亜吉良といったあの時代のビッグネームの人たちから、私の知っている人では大岩オスカールなどの私と同世代感のある人、また東日本大震災以降の新しい作家たちなどのものまで幅広く、今回は115人の作家の作品が出品されていて、見終った時にはおなか一杯という感じがした。
ビッグネームの作品をいろいろ見られたことはそれはそれで眼福だったのだが、最近の作家たちの何というか形が定まらないなにか、みたいなものが、これは高橋さん本人も言っていたが、「大きな物語がない、正解が分からない時代の中で何かを作り出す苦しみ」みたいなものが反映されていて見ていると勇気づけられる、と言っていたのがなるほどと思うところがあった。
私は日本の現代美術の流れを自分がよく知っているわけではないので、今回も見ること自体が勉強みたいなところはあったのだけど、確かに何を批判し批評すべきかが明確だった全共闘世代の作品に比べて、現代の作家たちはそれぞれが自分の形を見出すのに苦闘しているというか、かたちがないものをそのまま出すこと自体に意味がある、みたいな感じになっているところもあるのかなと思った。
私が好きだったのはたくさんのスピーカーがかたまりみたいにされていてそれぞれに音を出している作品で、音が出る手の作品は今まであまりいいと思ったことがなかったのだけど、今回はちょっと気になった。写真は撮影可だったので写真そのものは取ったのだがキャプションを撮影するのを忘れていたので誰のとは言えないのだが。
誰か一人の作品群というよりこういうコレクターの蒐集物の概観みたいなものの方がある種の時代性・時代精神のようなものが見えるなと思った。少なくとも最初の頃はセカンダリ市場で買っていたと言っていたからある程度は評価の定まったものから買い始めたということなのだろう。その分お金もかかるはずだが。プライマリ市場でまだ評価の定まらない作品もおそらく買っていると思うのだけど、それは本当に目利きが問われるから、面白いとは思う。私も美術作品は何点か持っているけれども、ほぼプライマリで出たもののみである。
そのあとコレクション展も見たが、印象に残ったのはいつも見ているものだったかなと思った。
***
現代美術館を出て、小さい昔からのモールのサミットで買い物し、駅まで行って通帳を記帳して帰宅。帰ってシャンソンのCDを聴きながら夕食を食べ、8時前から第50回衆院総選挙の開票速報を見た。
今回は自民党・公明党が過半数を切る結果になった。これは石破首相をはじめ執行部の責任問題にはなるだろう。
「不記載問題」で比例重複が出来なかったり公認されなかったり離党した議員46人のうち当選者は18人、落選者が26人とのこと。それなりに厳しい結果だったとは思うが、萩生田・西村・松野・世耕といった「本当に実力のある人たち」は何とか生き残ったという印象。丸川・下村といった人たちは落選していて、地力の差が出たのかなと思った。
清和会=旧安倍派に属した議員たちがどれくらい当選したのかはわからないが、そのあたりが今後の自民党再建の中核になっていくのではないか。岸田さんの勢力が一強になったという指摘もあるが、やはり石破さんを支持した責任はあるように思うし、だからこそ萩生田さんの選挙応援にも来てそのあたりの配慮を示したのではないかと思った。
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/
自民党56減、公明党8減、立憲50増、維新8減、共産2減、国民21(4倍)増、れいわ6増、社民変わらず参政2増、保守3議席獲得、無所属が12議席。
自公はともかく維新はパワハラ問題で議席を減らし、共産党も議席減。一方でれいわ・参政・保守という今までのまともな考えでは投票しそうもないところが合計11議席を獲得していて、何というか不気味な流れを感じる。私の古くからの左翼支持の友人たちも共産や社民よりれいわを推す人が増えていて、何がいいのか私にはさっぱりわからないが、左派ポピュリズムが強化されているということはあるのだろうと思う。
一方で今回の結果、マスコミは盛んに「裏金問題」で全部を斬ろうとしているけれども、確かに岸田さんや石破さんがマスコミに迎合してそれを争点としてしまった自民党の選挙運営のまずさは強く感じるにしても、なぜ負けたのかと考えてみると、実際には「物価高」が大きいのではないかというツイッターでの声があって、確かに最も大きいのは現実的にはそれかもしれないな、と思った。
国民民主が4倍増を果たしたのは「手取りを増やす!」という訴えが有権者に届いたからだと思うが、一方で有権者の多くの部分を占める年金世代は物価高の方が生活を直撃するわけで、経済を好調にさせるためのインフレ政策よりは「物価上昇率0」の立憲のデフレ政策の主張が届いたということはあるかもしれないと思う。
これだけデフレが続いたからそろそろ多少インフレでも許容できるのではとと私は思ってたけどそう思わない人の方が多かったということなのだろう。それが「庶民感覚」ということか。考えてみると70年代後半の与野党伯仲・自民党戦国時代も石油ショックに始まる狂乱物価とかが大きかったんだなと改めて思ったり。物価高より不況の方が辛いと思うけれども、収入が増えない中での物価高はやはり生理的に拒否反応があり、岸田首相の増税イメージによる不人気も実際には物価高のせいという部分が大きそうだなと思った。
で、とりあえずは過半数を取った政党がないわけだから必然的に連立工作が行われることになるわけだけど、立憲が過半数を構築するためには今の雑多な野党を取り込まないといけないわけで、事実上難しいだろうと思う。そうなると自公中心ということになるが、維新の38議席を取り込めば253議席になり、前川グループなどが離脱する可能性はあるけど過半数は確保できるので、とりあえずその辺がポイントになるかと思う。また国民民主は単独で取り込んでも足りないが、28を加えると281になり、安定多数を超えるので、そこまで連立協議に入れる選択肢はあると思う。
ただ維新も国民も自民を批判して議席を得ている面はあるから、連立することで支持者の勢いが失われる面はなくはないかもしれない。しかしいずれも唱えている政策を実行するには連立入りするしかないので、そのへん妥協は可能だろうと思う。
その場合の問題は、石破首相では受け入れられない、という反応があるかもしれないということ。だいたい自民党内部から執行部の責任を問う声が出ることは必至なので、党首交代もあると思うが、その場合はどうやって選出するかの問題もある。代打は高市さんでなければ林さんなどの老練で知名度のある人になると思うが、貧乏くじであることは確かなのでどうなるかとは思う。ただこれを乗り切れば自民党の窮地を救った人として安定した権力基盤を構築できるとは思うのだが。
もう一つ、国民民主が自民と連立することに連合がどう反応するかということだが、私見ではある程度許容するのではないかと思う。自民党と連合の関係は改善されつつあるし、立憲左派が共産党と共闘したことには連合内部で強い批判があるから、政策の打ち出し方次第では許容するような気はする。
これは2009年民主党政権の最終的分裂ということでもあるので、注目したいところだとも思う。
もう一つは先にも書いたが、長い間自民党最大派閥であり続けた清和会・旧安倍派の壊滅がどの程度のものになったかということ。当選議員数がどうなっているのかまだ情報が出てきてないが先に書いたように主要なメンツは生き残っているので、そのあたりを中核にまた勢力を伸ばすことは十分あるし、高市政権が成立したらなおさらだろう。このあたりが今後どう捲土重来を期していくかが一つの見どころになってきそうだと思う。
今日の日経平均を見ると上昇していて、ある意味悪材料出尽くしということなのだろう。見通しとして自民を中心とした政権が維持できそうだと市場は判断しているのだろう。まだこの先決まったわけではないので、注視していきたいと思う。
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