何人もの自分が思うこと/「絢爛たるグランドセーヌ」コロナの記憶を残すことの意味/「ふつうの軽音部」42話が良い/陰謀論と資本主義のどん詰まり:全てを変えたい願望の侮れなさ
Posted at 24/10/20 PermaLink» Tweet
10月20日(日)晴れ
最近なかなかブログを書けなくて、5時前に起きているのにもう10時になるのだが、それはなんというか自分の中に何人もの自分がいて、それぞれに思うことがあって、そのどれを書こうか検討してるうちに、さらに他の状況が起こって混乱する、みたいなことが繰り返されているからなのだよなと思う。
割と早めにこれで行くか、と落とし込めるとそのことを集中して書くのだけど、朝起きた時は昨日の状況とか考えたこと、読んだもの見たもの引っかかったこと、そういうのが寝起きの自分の中から湧き出してきて、何か一つに絞れないうちに混迷を深めて行く、みたいなことが最近は起こっている。
逆にいうと、これで行くぞという大きなものが自分の中にあればそれで行くのだけど、そういうものがないから中小のアイディアの戦国時代、みたいになってしまうのだよなと思う。書くことが決まっていると迷わないで済むのは良いのだけど、その間にもいろいろな自分の感じたことは溜まって行くわけで、やはりそれらも時々は整理したいという気持ちにはなるのだが、それが文章に結実しないうちに薄れ消え去って行くということもあり、なかなか相手が難しい。
昨日買ったのは「チャンピオンRED」だけなのだが、「絢爛たるグランドセーヌ」の第135話「明暗」を読んだ。月刊誌連載だからこの作品ももう11年以上続いているのだなと思うと驚く。
前半部分はアビゲイル・ニコルズ直々の「眠れる森の美女」1幕のオーロラの独舞(ヴァリエーション)の指導。今は「もうすぐ16歳」というところだから日本で言えば高一の学年ということか。王女のデビュタント、すなわち「社交会へのお披露目」の踊りということは、アビー自身が奏(かなで)の存在を天下にアピールしたい、という意欲の現れなのだろうなと思わせる。
後半はキーラのコンテの振り付け。いきなりヴェルディの「怒りの日」か。今YouTubeで聞いてるけどこれか!という感じの曲。そして作品の題名が「シエナ1348」、つまり当時のヨーロッパの人口の3分の1が死んだと言われる黒死病が大流行した都市・年で、つまりはコロナのパンデミックに対する鬱憤のようなものを表現しようとした作品。それに対しダンサーの一人、アンバーは「今やること?お客さんはもっと明るいものを見たいんじゃないの?」と疑問を投げかける。
この辺り、もうみんな忘れたような感じになっているコロナの時期の苦い記憶を、ちゃんと作品として残しておこうとするCuvieさんの心意気がすごく感じられて、私はとても好きだなと思う。
***
今朝読んだジャンププラスの「ふつうの軽音部」42話「輝く日々が曇る」もとても良かったのだが、なかなかひとことでは書ききれない部分があり、言葉がまとまってから書こうと思うのだが、まあそうやってまとまらないままバラバラになっていった思考というものは海の水のようにたくさんあって、自分が今考えている言葉になっている思考も生まれてからずっと溜まってきた大きな海の中の一滴にすぎないような感じもしてしまうなと思う。
一つだけ書いておくと、41話「輝く日々を想う」42話「輝く日々が曇る」に続いて43話は「輝く日々を走る」になっていて、このシリーズは主人公はとっちたちの話ではなく、たまき先輩を中心とする3年生の話なのだが、十分面白いというよりかなり突き刺さる話であって、最近2位以下になることが多かったジャンプラのアクセス数でも今回は今のところ1位で、コメント数もいつもながらかなり多い。だいぶ盛り上がったところでサブストーリーを挟んでくるのはある意味冒険だよなあと思うのだけど、それが成功しているのはすごいし、そしてこれがこれからのメインストーリーにどう関わってくるのか、さらに期待が膨らむ感じになっているなと思った。
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https://shueisha.online/articles/-/251830
あともう一つ、備忘のためにも書いておこうと思うのだが、粟田英彦さんの陰謀論に関するインタビュー。最初何を言っているのかと思っていたが、太田竜が出てきてなるほど・・・という感じになった。共産主義が崩壊するどん詰まりの20世紀において、資本主義を批判しうるものとして生き残っているのは陰謀論だけだと。そう考えてみると確かに左右とも陰謀論が出てきているのと、特に左翼が余裕なく他者攻撃に走るようになっていることもある程度納得できる感じはある。陰謀論というのはある種の神経症というか、空想が暴走した産物だとは思うのだが、それがある程度社会で持て囃されるようになるにはそれ相応の背景があるということ自体は妥当だなとは思った。19世紀末のイギリスのオカルトの流行とか、幕末の「ええじゃないか」みたいなものはあるのだろう。
科学と民主主義の方向は定まった、と考えたのが20世紀末のフランシス・フクヤマ「歴史の終わり」だったわけだが、民族主義やアイデンティティ・ウォーズの高まりによってそれも怪しくなってきている。この資本主義と超リベラリズムの進展へのふさわしい処方箋は健全な保守主義だというのが私の考えではあるのだけど、よりラジカルな批判が必要だと考える人たちはいて、そのどん詰まりの妄想が陰謀論を招いているというのはある意味世界の見取り図としてはわかりやすいなと思った。
左翼の人たちを見ていると、安倍元首相の暗殺や今回の自民党本部へのテロ攻撃に対しても称賛している人たちが少なからずいるわけで、彼らは結局は暴力革命論を否定しきれなかった人たちなのだなと思うのだけど、陰謀論者と同じくらいは妄想的な革命願望がまだ昇華しきれていないのだろうなとは思う。
保守は基本的にある意味微温的な、というか常識的な思想なので、世の中を根本的にどうにかしたい、という人間世界の病のようなものへの処方箋にはなりにくいところがあるのだなと思う。とは言え陰謀論も妄想革命論も著しく妥当性を欠くと思われるので、別の意味でのラジカルな何かが保守の側にも必要なのかもしれないと思う。案外イスラエルの暴力を支持する欧米の保守の思いも、そういう暴力の昇華を期待する視線があるのかもしれないと思うが、アジアや第三世界を犠牲に自分たちの平和を保ってきた欧米が今まで反省の念を述べていたのがなんだったのかという気は改めてしてしまう。
日本をこの先主導して行く思想が何なのか、あるいは何であるべきなのかはまだよくわからないけれども、極東の島国の平和はなるべく守られて行くと良いなとは思っている。
まあこうして書いてみるとそれなりにいろいろあるわけで、あまり迷わずに備忘のためということを書いていけばいいのかなとは思った。
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