「居場所」と「考える時間」が必要だと感じたことなど／高校生は社会のことをどう思っているのか／若い頃感じた切実さを、なぜ歳をとると思い出せなくなるのか

9月16日（月・敬老の日）晴れ

だいぶ爽やかな朝。夜中に雨が降ったが今は上がっている。草取りをしたらだいぶ濡れていた。休日なので近くの解体工事の音も聞こえず、静かで良い。

昨日の午後、しばらく散らかったままになっていた作業場をかなり気合を入れて片付けたので、だいぶ居心地がよくなった。最近実家の居間でブログを書く習慣になってしまっているのだが、こういう感じの朝は作業場の方がやりやすいなとは思った。

と言っている間に時間が経ってしまいもう午後なのだが、今日は天気が良くて日差しが強く、二階にいるのはきつい感じになってきて、今は一階の居間も結構暑い。

***

いろいろ考えていて、世の中に「居場所」が必要な人、居場所がない人、居場所に困っている人というのは思ったよりたくさんいるのかもしれない、と思ったり。

今の若者、確かに「自分を解放できる居場所」とか「ゆっくり考えられる時間」とかが足りないのかもしれないなと思うことはあるが、まあもともと若者というのはそういうものかもしれないなという気もする。高校時代や大学時代にうまくそういう「場所」や「時間」を確保できてしっかり考えてから大人になるためのステップに踏み出せるといいけどと思ったり。そして、というかだからこそ、若者が引っかかる詐欺とか、運動家のオルグなどもそういうアプローチが多い感じはする。

高校だったら部室とか、大学でもサークルの部屋とか、割と和み系の喫茶店とか、学校に近い人のアパートとか学内の寮の部屋とか、まあそういうところが溜まり場になりやすかったが、商業スペースや公共スペースは基本的に溜まり続けていれば迷惑なので、溜まり場プロジェクトみたいなNPOとかトー横みたいな場所に行政が設けたりするケースもあるけど、それは永遠のものではないし、でも縁台将棋とか公園のベンチとかがそういう役割を果たしたりもする。

まあ自分にとっては高校時代も大学時代もそういう場所はあったが、大人になってそういう場所を擬似的に作ってみても何か違う感じがするのだが、それはどういうことなのかなとちょっと考えたりしている。

あの頃はあんなに切実だった話なのだが、ずいぶん長い間忘れてしまっていたなあと書きながら思ったのだった。

***

NHKがやってた「高校生の意識調査」みたいなのを読んでて、夫婦別姓とかを聞いていたりはするが、「世の中のために役に立つ仕事をしたいか」とか「どうしたら日本は良くなると思うか」みたいな質問はないんだなと思った。キャリア形成についてどう思うかみたいなのはあるのだけど。

あのアンケートの結果を読んでると「今の子供は幼稚なんじゃないか」という気がしてしまうのは、そういう「社会に対するスタンス」みたいなものがアンケートされてないからじゃないかと思った。妙に意識高い連中の割合が浮かび上がるだけかもしれないし、要はそういう「政治的な」質問をして思想調査と思われては困る、みたいなこともあるのかもしれないのだが、「高校生は未来に希望を持ってない」だけではやはり調査としてつまらないわけで、もう少し突っ込んでもらえるといいのになと思ったのだった。フランスとかならやりそうな気はするのだが。

***

昨日から妹が来ていていろいろ話をしているうちにいろいろなことを考えたり、そう言えばこういうことがあったなみたいなことを思い出したりしたのでこんなことを書いてみた。歳をとってくると、若い頃に切実だったこととか大事だったこと、うまく言えなくて人や自分を傷つけたことなど、どんどん忘れていってしまう、というのはその時々で切実なことが変わってくるからなんだよなあと思う。

「子供の声を聞く」「若い人の声を聞く」ということの困難さというのは、大人は子供だった経験があるから子供のことは理解できるような気がしているのだけど、「多くのことは忘れている」ということさえも忘れてしまうからなのだよなと思ったり。

私などは10代に触れる仕事をしているからそういうことはわかっている気になりがちなのだけど、少し思い出しただけでもう全然わかってないよなと自分で思ってしまう。いろいろなことに共感できる心のみずみずしさも失いたくないなと思う一方で、鈍感力がついてきたことでこの世の辛さに耐えられる部分もあるわけで、まあ人間というものが完全に近づくということ自体の困難さをまた改めて感じるよなと思う。