「ルリドラゴン」のフェティシズムと絵の巧さ
Posted at 24/08/30 PermaLink» Tweet
9月30日(金)曇り
各地で台風の影響が出ているようなのだが、当地では今のところ大きな被害は出ていない。先週の土曜日にゲリラ豪雨があって浸水しかけたが、多分あれは積乱雲のせいで台風ではなかったと思う。今の気温は21.2度、長袖シャツの上にベストを着ている。
昨日は「次にくるマンガ大賞」で1位になった「ふつうの軽音部」について書いたが、今日は2位になった「ルリドラゴン」のことなど。
「ルリドラゴン」はジャンプ本誌に連載されていたのだが、長期間休載があり、復活してからは短期間本誌連載の後、ジャンププラスに移動した。随分前に第1巻は出ていたのだが、9月4日に第2巻が出る。
ジャンプで連載が始まったときはあまりにゆるい女子高生の日常に「実はドラゴンとハーフだった」というシュールな設定がミックスされ、これがジャンプで連載されるのか、一種の革命だなと思ったものだった。しかし1巻分が終わったくらいで連載が中断してしまい、「革命いまだならず」だなと思った。ジャンププラスはより幅の広い作品が掲載されているので彩りの一つという感じになってしまったが、まあ落ち着くところに落ち着いたのかもしれない。
元々はジャンプGIGAに掲載され、ボイスコミックがYouTubeで200万回再生された作品だから、というある種の特別扱いもあったのだろうなと思うが、確かに面白いことは確かだ。
https://www.youtube.com/watch?v=EHfYcGrdU2U
まあある意味ほのぼの不思議ちゃん系ファンタジーコミックであるのだけど、それだけに止まらないのは描写の確かさ、特にフェティシズムの域に達したと思われる精妙な描写だと思う。
実際ネットでもこの作品は「口フェチ」だという意見が多くあるようで、言われてみたらなるほどと思った。
https://x.com/d_davinci/status/1828761039477059726
しかし作者さん本人はそれを否定していて、口が開いた絵をたくさん書いているのはワンピースやヒロアカの影響だ、と主張しているのが面白いのだが、最近のマンガは口の中を描く作品が増えたとはいえ、丁寧に描いているなという印象はある。
ただ実際、丁寧なのは口だけではないというところがポイントなのだと思う。作者さんは自分のフェチは「女の子の部屋着」と言っていて、好きな性癖発表ルリドラゴンになっていて笑うのだが、衣類の描写は本当にすごい。あまり注目されてないようなのだけど、スカートのチェックの図柄の描写で体の膨らみを表現するとか、ふつうだったら輪郭だけ取ってスクリーントーン貼って済ませるよなあと思うようなところを、ちゃんと描写で立体で表現している。これだけ丁寧に描くならすごい負担は大きいだろうなあと思う。アシスタントさんに任せられそうなところがない。まあいえば、五十嵐大介さん的なところがある。
https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=309715589
その祖先はベラスケスだろう。彼も衣類の描写には偏執狂的に丁寧で、人物そのものよりも衣類の厚みに圧倒されるところがある、もちろん人物自体も比類なく上手いが。ピカソは自分は8歳の時にラファエロのように描けた、と回想しているが、ある意味ベラスケスのようには描けなかったかもしれないし、少なくともその方向は目指していないなと思う。
https://shonenjumpplus.com/episode/17106371892806257915
現在の展開はルリが学校生活で奮闘中、という感じで、クラスではみんな理解してくれる優しい世界なのだが、苦手の人とも仲良くしようとして、体育祭実行委員まで買って出て、でも上級生の中には心ないことを言う人もいる、みたいなちょっと苦い感じも出てきているけど、それをどう乗り越えていくのか、楽しみだなと思う。
今日は母を病院に連れていくので、このくらいで。
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