神奈川の地震はなぜ南海トラフと関係ないのか/米イスラエルの特別の関係を始めたのはケネディだった/なぜ黒人とユダヤ人がアメリカにとって「特別」なのか
Posted at 24/08/10 PermaLink» Tweet
8月10日(土)晴れ
昨日は午前中母を病院に連れて行き、いろいろやった感じ。夕方結構揺れる地震があって南海トラフかと思ったが確かめると神奈川西部で、あまり関係ないらしい。
南海トラフ地震というのはフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む、だいたい中央構造線より南側のあたりで起こると想定されているプレート境界型地震だが、過去にも巨大地震が何度か起こっていて、一度起こると短期間に2度続けて起こる傾向があるということで「注意」が発表されているわけである。昨日の地震はフィリピン海プレートがユーラシアプレートでなく北米プレートの方に突っ込む形のところで起こっているわけで、地震発生メカニズムが違うから別の地震だろうという考えのようだ。日本列島は西日本がユーラシアプレート、フォッサマグナのあたりから東側が北米プレートという大陸プレートに乗っていて、その下に海洋プレートであるフィリピン海プレートが潜り込むが、それに乗っているのが伊豆半島なので、伊豆半島の東と西であれば違う地震だと考えられるということだろう。
東日本大震災はフィリピン海プレートの北東側の太平洋プレートが北米プレートに沈み込むところで起こった巨大地震なわけで、プレート境界型の地震の恐ろしさは多くの国民が経験している。日本では沖縄および南西諸島が沖縄プレートに乗っているのだが、これはユーラシアプレートの一部とも考えられているようだ。
プレートのような巨大な岩石塊がいつ動くのかというのは数世紀という地球の歴史に比べればほんの一瞬の間で言えば特定はできなくはないのだろうけど、人間の生きている時間のうちのいつ動くのかというのはなかなか難しいだろうなと思う。気象に関してはだいぶ解明は進んでいると思うが、それでも線状降水帯にように予測の難しいものはある。地震に関しても気の長い話ではあるが研究が進むと良いとは思う。
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長崎市の平和式典が行われたが、その背景を調べてみると、長崎市は6月の時点でイスラエル大使館に「現状では招待状の送付は難しい」というような文書を送付しているらしく、さまざまな情報から、こうした試みには朝日新聞と創価学会が動いていたという情報があり、つまりは「停戦してくれれば招待する」というある種の平和努力としてそれが行われたのではないか、と解釈できるなと思った。朝日新聞や創価学会のように「平和」を重視する勢力からしたらもし万分の一でもそれが可能になったら大きなプラスになるという意思があったのだろうか。結局そういうことは起こらなかったのでイスラエルは招待せず、G7各国も大使を派遣しないということになったが、その辺りのところはどう考えているのか、どこまで考えていたのかは判断が難しい。
このことは「国益を損ねた」という否定的な意見がある一方で「イスラエルや西側諸国の偽善を明らかにした」と歓迎する意見もあり、後者が国際世論に結びつくようなことがあれば多少は影響力を持つと思うし、もし実際に創価学会が動いたのであれば岸田政権としてもそういう観点からこの動きを潰すことは考えなかったのかなとは思った。いずれにしても実際のところは関係者は言わないとは思うのでなんとも言えないが、外交というもののあやはいろいろあるなと思う。
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2022年のロシアの侵攻以来、ウクライナは基本的に国内で防戦に回ってきたわけだが、6日からクルスク方面に国境を超えて進軍を始め、すでにかなりの地域を占領しているらしい。この辺りは以前プリゴジンが進軍したコースなのでモスクワの内側に500キロほどに迫るところにウクライナ軍は進出していて、アメリカもこの動きを支持しているということなので、作戦意図はよくわからないがそれなりに成算があっての試みなのだろうと思う。ひょっとすると局面を180度展開させる可能性もあり、注目して行きたいと思う。
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アメリカはいつからイスラエルにあのように肩入れをするようになったのかということだが、トルーマンがイスラエルの建国宣言の11分後に国家承認を行なった、ということは昨日書いたけれども、その後のアメリカの政策はイスラエル支持一辺倒ではなかった。元々マーシャル(マーシャルプランの)などはイスラエルの国家承認に反対していて、ほぼトルーマンが独断で決めた感じがあるようだ。当然ながら第一次中東戦争が起こり、イスラエルは最初で最大の危機を乗り切ることができた。その中でアメリカは英仏と国連の枠組みで休戦協定を守らせるという枠組みを作り、一方でアラブ諸国の独立を支援してソ連の影響に対抗するようにし、アラブよりとも言える姿勢をとった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Israel–United_States_relations
アイゼンハワーの時代にはイスラエルの国家財政はドイツの戦争賠償金によって賄われていたが、これは当時のイスラエルのGDPの86%に匹敵する額で、これによってイスラエルは国内開発を行なった。この当時の主なイスラエルの援助国はフランスで、当時問題になっていたナセル大統領によるスエズ運河のエジプト国有化に対し、イスラエルと英仏は干渉戦争に乗り出した。アメリカはこの時ソ連とともにエジプトの側に立ち、「最後の帝国主義戦争」を終わらせ、ナセルをアメリカ側に惹きつける政策をとっていた。この時、アメリカはまだイスラエルと「特別な関係」があったとは言えないわけである。
だからアメリカとイスラエルが親密な関係になっていく大きなきっかけはケネディ時代であったわけである。ケネディはイスラエルへの武器禁輸を終わらせ、イスラエルと同盟関係を築いた。イスラエル・ヨルダン・エジプトにいるパレスチナ人の地位が問題になった時、アメリカは反イスラエル的な全ての国連安保理決議に拒否権を使うようになったわけである。ケネディは防空システムの嚆矢であるホーク対空ミサイルを1962年にイスラエルに売却していて、「イスラエルを中東におけるアメリカの空母にする」という政策はこの時に始まったことになる。
もちろんそうしたアメリカの利益の問題だけでなく、極端なイスラエルよりの姿勢について、ザカリー・ウォレスは「こうした新しい政策はケネディ大統領のユダヤ国家への尊敬の念から生まれた」と表現していて、それが公式見解になった、ということだろう。
要はこの時代はイスラエルに対して、アメリカは政権が変わるごとにイスラエル政策を変化させていたわけで、その背後には強力なイスラエルや在米ユダヤ人のロビー活動があったことは想像に難くない。そしてその積み上げが現代の米イスラエル関係になっているわけである。
ケネディがなぜイスラエルに肩入れしたかだが、もちろんユダヤ系の財閥の資金援助ということもあるだろうけれども、黒人の公民権運動に積極姿勢をとっていたのと同様、マイノリティの地位向上という現代のアメリカ民主党の基本方向をこの時に定めたという意味もあるのだろうと思う。民主党は南部の白人たち、すなわち「黒人を解放したリンカーンの共和党」に反対する人々によって支持されていたわけだから、ある意味選挙基盤にとってはマイナスになるわけである。これはケネディ政権の「ベスト&ブライティスト」による、つまりは日本国憲法を作らせたニューディーラー左派によるリベラルな理想主義がケネディ政権を支配していたことと無関係ではないだろう。
しかしそれゆえに中東のムスリム諸国をソ連寄りに変えてしまったことは否めず、現代に続く問題もこの時に始まっていると考えていいだろう。
これを書きながらもう一つ思ったのは、「なぜ黒人とイスラエルがアメリカにとって特別か」ということである。アメリカはおそらく現代でもまだ、マイノリティにとって優しい国では必ずしもないのだと思う。しかし黒人に対する差別については些細なものでも激しく糾弾されるようになっていて、ここには行き過ぎの感もなくはないけれども、それでもそうなったのは、「アメリカの黒人が自らの権利のために100年以上戦ってきた」という歴史があるから、それゆえにそのことに対する、「アメリカの自由の理想を実現するために戦ってきた歴史に対する敬意」がアメリカ人とアメリカ国家にはある、それゆえの「特別」だということなのだと思った。
イスラエル支持もまた、アメリカ国内のユダヤ人たちが、彼らは強烈な意思表示やデモンストレーションという形ではなく、ロビー活動や権利の訴えなどの形ではあったが、そうした努力を営営と積み重ねてきたがゆえに示されている支持なのだと思う。68年当時の雰囲気を描いたウッディ・アレンの「アニー・ホール」を見ても、アメリカ人の中にある根強い反ユダヤ感情はまだ消えていないし、おそらくは今現在でもあからさまに表明されることは少なくなったとはいえ、元々宗教心の強い国柄ということもあり、まだまだ実際にはあるだろう。それは黒人に対しても同様なのだけど。
だから、日本人あるいは日系人、または中国人などのアジア人は、アメリカの「自由の歴史」に対する貢献度がまだ低いと考えられているのだろうと思う。アメリカの日系人たちは「祖国アメリカへ」の忠誠を証明するためにヨーロッパ戦線で戦い、またルーズベルトにより強制収容所に収容されたことに謝罪も行われるなど、地位向上に努めてきてはいるが、日本が第二次大戦の敵国であったこともあり、戦前から続く日系人には反日的な主張をする人も多く、こうしたところが現在の日本および日本人の利害とは衝突する面もあるので、なかなか統一的に「日本系アメリカ人」の地位を「特別」なものにまで向上させるところまでは行ってないのかなという感じはする。
まあそんなことが日本にとって必要なのかどうかはまた別の問題なのだが、「アメリカ」から見てどう見えるのか、ということについてはそういうことなのではないかと思うのだった。
ケネディ以後の関係についてもまた掘り下げたいと思うが、今日のところはここまでで。
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