梅雨時のリアル/「企画書からはじめるマンガ原作のつくり方」:マンガの面白さというのはどういうことなのか
Posted at 24/06/28 PermaLink» Tweet
6月28日(金)雨
雨が降っている。予報はほぼ一日雨。梅雨らしい天気、天気図を見ても梅雨前線が列島南岸にかかっている。九州は大雨のようだ。こちらでは窓を開けているけれども、外では雨音、ウグイスの鳴く声、お寺の鐘が聞こえて季節の観念とはずれるが、これが当地の梅雨時のリアルなのだよな、と思う。
起きたのは5時前だったのだがいろいろやっていたらすぐ6時を過ぎてしまう。やることの段取りがうまくつかないうちに時間が経つのは困るのだが、結局朝最初にする仕事はnote・ブログを書くことと決めているので、題材を考えるためにネットを見たりしていると時間がかかるということなのだよな。その間にしておこうと思っていたいろいろなことを思い出してきたりする。人が生きるということは多面的なことなので、ある曲面に集中しているとフェーズの違うことを思い出さないことが多く、それで失敗もするのだが、朝のうちというのは比較的ニュートラルなのでいろいろなことを思い出して余計な心配を始めたり、それで思考ややることが渋滞を始めたりする。書くことの題材の範囲はなるべく広く取りたいから無意識に無意識を掘り始めてしまうのだが、考えたくないことをなるべくシャットアウトして幅広く嗜好を掘り起こすというのはなかなか難しいものだなと思う。
昨日はアマゾンで注文していたすがやみつる「企画書から始めるマンガ原作のつくり方」(すがやみつるブックス、2023)が届いたので読んでいた。マンガの描き方の本というのは割と読んでいるのだが、マンガ原作の本を読むのは初めてなのだけど、いろいろ参考になる。これは田中空「タテの国」と同じようなAmazonの製本サービスを利用した書籍なのだろうか。戯曲・シナリオランキングでもかなり上位に来ているし、評判はかなり良いようだ。
第1章は著者のすがやさんの略歴、表に出ている仕事以外にもゴーストライターでいろいろやられているということがわかり、へえっと思うし、高卒で最初に入ったのが編集プロダクションで、次に石森プロに入っているという経歴もなるほどと思った。最初から出版編集の世界でずっとやられている方なのだなということがわかった。
第2章がマンガ原作の歴史。これは知っているようで知らな買ったが、今のような形態のマンガ原作というものが始まったのは週刊誌が発行されるようになったことがきっかけだというのはへえっと思った。月刊誌なら作画をする漫画家がそのままストーリーも考えるのが普通だったが、週刊のペースになると物語も作り作画もするというのが間に合わなくなったので分業制になったということなのだという。
つまり、それまでももともとある小説などを原作にしてマンガを描くということはあったわけだけど、現代的な意味でのマンガ原作というのはマンガ制作の分業の必要性から生まれたものだ、というのはなるほどなあと思った。マンガの資本主義化の進展の中で生まれたものといえばいいだろうか。
その歴史の中で原作者の地位を確立したのが梶原一騎であり小池一夫であるというのはなるほどと思うのだけど、さいとう・たかをが最初から分業制で事業化を進めた一人だというのは知っていたけれども、この業界を仕事の進め方という面から捉えると、今まで見えてなかった面が見えるのだなと思った。手塚治虫のようにやりたいことをどんどん拡大していくタイプというのもあるけれども、それだけではないのだと。そう考えると大学にマンガを専門に扱う講座があるのも理解できるというか、すでに研究対象として十分に魅力的な存在でもあるのだなと思った。
第3章はまだ読みかけだが、「<おもしろい>とは何か」という話が面白かった。マンガはまず「何」を扱うかというのが企画の段階で重視される、というのもなるほどと思ったが、なんというか「面白い作品がいろいろあるからそれを集めて雑誌を作ろう」ではなく、編集者なり作者なりがどういう面白い「企画」があるかをまず考えて、それがいろいろな「何か」と結びついて面白さが形になっていく、といえばいいのかそのプロセス自体が自分の考えていたのとちょっと違って、でもなるほどと思うところが多かった。
読者にとってはマンガというのは自分が面白いと思ったものを読むわけだけど、逆にいえば雑誌に載ってる作品は全て、「これは面白いはずだ」という企画によって作られているものだから、それが読み手とどう感応するか、という問題なのだなと改めて思う。私は読むと決めているマンガ以外はあまり読まないのだけど、それは時間が限られているからで、読まないマンガでも時々見ると急に面白さを感じて読み始める時もある。逆に「なんか面白そうな感じはするんだけど響かない」みたいな理由で読まない、世間的には売れているマンガも結構あって、それは自分のセンスがそういうものに反応が悪いからだからちょっと罪悪感があったりするのだけど、もともと面白いと認める人がいて掲載される作品なのだから面白い部分はあるはずで、それが感じられそうで感じられないのもどかしい、ということがあるんだよなあと思った。
まだ読みかけだし今日は母を病院に連れていくので時間がないのでここまでにしておくけれども、「マンガの面白さとはどういうことなのか」「面白いと感じる心の現象はどうやって起こるのか」みたいなことを考えるきっかけになりそうだなと思った。
前にも書いたがかなり評判の良い本なので、またじっくり読んで感想や思ったことを書きたいと思う。
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