表現が叩かれている:「セクシー田中さん」と「コロンブス」:わかりやすく見える表象に簡単に引っかかって一目見ただけで批判する思考停止
Posted at 24/06/15 PermaLink» Tweet
6月15日(土)晴れ
今朝の最低気温は17.9度。かなり暑くて寝苦しい感じだった。これから夏になるのにどうしたものかと思うが、つい先日までストーブをつけていたのにこうなってしまうのは、梅雨入りが遅れているからだろうか。それでも来週には梅雨入りするらしいが、初夏の暑さが続く6月というのは水無月という言葉を思い出す。
日本の歴史的気候を見てみると、奈良時代から平安時代くらいは気温が高く、日照りの害なども頻発したが、鎌倉時代以降は気温が下がって冷害が多くなったという変化があるので、この言葉出てきた時は雨が降らず旱害が起こっていた時期なのではないかと思ったりする。暑い季節に水は必要だ。
今年は梅雨入りが記録的に遅れているらしく水不足が懸念されるが、しかし被害が出るような豪雨になってもらっても困るので、ほどほどに穏やかな梅雨になってもらいたいとは思う。
***
タイムラインを見るとMrs. Green Appleの「コロンブス」のMVを批判する人たちとそれを批判する人たちで溢れかえっていて、他の話題がなかなか出て来ず何を書こうか迷ってしまうのだが、この問題はかなり大きな問題だとは思うのだけど昨日書いた内容からさらに掘り下げるには実際にMVを見てみないとなんとも言えない部分があり、論が展開しにくい感じになっている。
「コロンブス」の歌詞を読むと、音楽というものは日常生活を明るくするけれども、人生を変えるようなものじゃない。でも日常が明るくなれば人生も変わるかもしれない、というようなことを歴史になぞらえて、コロンブスが新大陸を発見したようなすごいことではないだろうけど音楽の意味というのは実際はとても大きいんじゃないか、と言っているのかなと思った。
公式が発表している「謝罪文」を読むと、歴史の各所にいる人たちをみんな集めてパーティーをしたい、という発想で作られたというのだけど、まあそれはわかる。悪意を持って見ればコロンブスが原住民を騙して殺戮したことを肯定していると見えるのかもしれないが、そこまで読むのは読み過ぎだろう。逆にいまだに変わってないヨーロッパ人の上から目線を批判しているんだ、という見方もあり、そのほうがまだわかるけど、いずれにしても多様な読み方ができる作品であることは間違い無いだろうなと思う。
ヤバいなと思うのは、「セクシー田中さん」の件で「原作者の意図を完全に活かすべき!」と悲憤慷慨していたような人たちが「このMVは一目見てダメ」と言っている感じのところで、この多様な読み方ができる作品のどこにその本質があるのか、一目でわかるはずはないのに、「コロンブス」や「猿」という「わかりやすい気がする」表象にまんまと引っかかって「一目見ただけで批判するという思考停止」に陥っているところなのではないかと思う。
これは皆ポリコレ問題を「踏んだらヤバい地雷がどこにあるかを知っていれば自由に表現できる。俺は地雷を知っている」と思っているから地雷マークに見えるところを「地雷だ!地雷だ!」とキャッキャしているに過ぎない。本当のポリコレ問題というのはそうした児戯に陥る人たちを生み出すことによって日本人を思想的に盲従させようというポリコレ植民地化の方が問題なのだと思う。ということは昨日書いたか。
日本はもともとハイコンテクストな作品を好むある種の知的にハイブロウなところがあるのに、そんなところで思考停止していては勿体無いではないかと思う。
音楽やMVの分野というのは日常的にポリコレの表現弾圧と戦っている漫画アニメなどと違い、戦い方が未熟だという感じはするのだが、より多くの人たちが気軽に視聴するものであるという点において、むしろこちらの方が主戦場なのではないか、ということを今回の件で思った。
そういうものを論じるにはやはり私は鑑賞している絶対量が足りないこともまた確かなので、「ふつうの軽音部」にはまっている今だからこそそういう分野にも食指を伸ばして理解を深めリテラシーを上げていくべき時かなと思ったりはしたのだった。
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