天皇ご一家のインスタグラムに見る廉直・誠実の理想を体現する日本の近代君主像/ミセスのコロンブスは海賊王ゴールドロジャーではないか:欧米ポリコレ帝国主義の植民地に成り下がりつつある日本の現状
Posted at 24/06/14 PermaLink» Tweet
6月14日(金)晴れ
昨日はいろいろ体調を整えながらやっていた感じだが、どうも最近夜あまり上手く寝られない感じになってて昼間に眠いことが多く、ちょっとゴタゴタする。夜京都にいる友人と話をして近況を聞いたが、昨日はどちらかというとこちらが情報提供した感じになった。今朝は4時過ぎに起きたが、少しネットを見て5時に出かけてゴミを捨てに行ったり雑誌を買いに行ったり。セブンで週刊漫画Timesとカフェラテを買い、車を走らせてお城の近くのファミマでスペリオールと水を買ったのだが、ちらっと見た文藝春秋7月号が面白そうな話がいくつも出ていたので高いなと思いながら買った。駅に行って少し仕事をし、職場に出てゴミを処理して帰ってきてこれを書いている。
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宮内庁のインスタグラムで天皇陛下ご一家の写真が公開され、話題を呼んでいる。諸外国の王室が豪華絢爛な宮廷衣装の写真などを公開しているのに比べ、ご一家の那須御用邸・御料牧場の写真などは大変飾り気のないご一家の日常がスナップされている感じで、興味深い。カメラマンについては特記はされていないが、愛子内親王の写真は両陛下どちらかが撮られたのではないか、と感じさせるものもあり、また両陛下の写真も内親王殿下が撮影されたのかも、と思わせるような雰囲気が滲み出ていた。
これは日本の皇室のあり方、昭和天皇の時代は昭和天皇の、上皇陛下の時代は上皇陛下の個性がより強く現れていたと思うが、天皇陛下はほぼ私と同世代ということもあり、同じように歳をとってこられた感じがする。昭和天皇はやはり立憲君主としての振る舞いがはっきりとあり、日本の戦前戦中戦後を背負ってこられた感じがあるが、上皇陛下は新憲法下で教育を受けた世代の天皇として積極的に国民の目線に立ち、また慰霊などのある意味宗教的な役割にも積極的に取り組まれてきたと感じる。
今上陛下は昭和天皇や上皇陛下に比べ、生まれた時から戦後の世代であり、お振る舞いの様子もより自然体というか、無理をなさっていない、また周囲にも無理をかけない感じがあって主張のある方というよりは包容力のある方という感じがある。皇后陛下のご健康に関して特にマスコミの取材などに関してはご苦労なさったと思うのだが、それを乗り越えて今日があるだけに多くの国民の共感を呼ぶところもあるのではないかと思う。
こうした現在の皇室の「廉直」「誠実」なあり方というのはやはり日本独自の近代というものが反映された面があるのだと思う。
江戸時代の朝廷、宮廷はやはり古くからの伝統に縛られ、貴族社会の中での特別な位置を占めている感じで国民との接点は非常に間接的なものではあったけれども、それでも閑院宮系統から光格天皇が立たれた後は諡号を復活し院政を行わず、政情にもそれなりに特に孝明天皇は関わるようになって、近代君主に近づきつつあったと思うのだが、やはり幼帝であった明治天皇をいかに教育するかというのが明治維新政府の大きな課題となって、教育係に旧幕臣の山岡鉄舟が起用され、帝王教育が行われたこと、また女官に囲まれた宮中生活から侍従が扈従する形に変えられたことなど、「明治天皇の教育」がより大きな皇室改革になって、現代に至る近代皇室のあり方が規定されていったと考えていいだろうと思う。
明治天皇の治世下に日本は近代国家として列強に伍すことができる国家に成長し、それを記念するために明治天皇を主神として祀った明治神宮が創建されたわけだけど、緻密に設計され、100年単位で成長を続ける神宮内苑の森と、練兵場から出発し庶民の憩いの場としても整備されていった神宮外苑では成立の契機もその意味も違うわけで、戦後国家から切り離され、宗教法人となった明治神宮がその莫大な環境遺産を守っていくために神宮外苑の、特に神宮球場の収入が大きいことはよく知られている。その財務システムを維持するために外苑の整備・再開発計画が行われているわけだが、それに異を唱える人たちが現れて問題は紛糾しているわけだけど、明治天皇の御偉業を讃え近代日本国家の首都に息づいているリン学者の叡智の結晶でもある神宮内苑の森を守るという原点に戻れば、やるべきことは自ずと見えてくるように思う。
今上天皇陛下は明治天皇・大正天皇とも違い、また激動の時代を生きられた昭和天皇とも違うし、ある意味戦後日本の方向性を体現された上皇陛下とも違って、自然体で国民と共にあられることを目指しているように思う。それは日本の古代や中世、近世の天皇のあり方とは違い、近代からのあゆみの一つの過程でもあるのだろうと思うのだが、そのようなお姿をインスタグラムで拝見できることは、大変ありがたいことだなと思う。国体の現在がここにあるのだろうと思ったりする。
王家の徳が「廉直」「誠実」にあるというのは明治以降の「日本的近代化」の一つの達成だよなあと思う。日本人は「裏表のなさ」に価値を見出す文化なので、「清き明き心」そのものみたいなご一家の写真は皇室への尊崇の念をますます高めると思う。
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Mrs. Green Appleというバンドのミュージックビデオが問題になり、公開停止に追い込まれたらしい。私はこのバンドはよく知らないしビデオも静止画で少し見ただけなのでなんとも言えないが、日本人のコロンブス像というのは「新大陸の発見者・征服者」としての猛々しいそれではなく、またアメリカ大陸植民地化の端緒を開いた帝国主義の尖兵でもなく、単に「大海原に乗り出した大航海時代の探検王」みたいなものであって、つまりは「OnePiece」の海賊王、ゴールド・ロジャーのようなものなのだと思う。世はまさに大海賊時代なのである。
ワンピースでは動物の国(巨大なゾウの背中で栄えるモコモ公国)もあるし、猿が着ぐるみでMVに出てきても違和感はない。チラッと見た感じではそういう楽しそうな動画であって、まさか植民地主義として糾弾されるとは製作者側は思っていなかったのだろう。意識の高いポリコレ文脈では現在はコロンブスはヒトラー並みの極悪人扱いになっているということも知らなかったのだろう。
コロンブスはイタリア人でスペイン国王からインド航路発見を依頼されて新大陸に至ったわけで、我々日本人にとっては「同じヨーロッパ人」でもないし「征服されひどい目にあったアメリカ先住民」でもないからまあ簡単に言えば他人事である。日本人をどちらかの側に位置付けようとする試みもやはり不自然さは残るから、コロンブスをどう扱うか一番自由に考えられるのは日本かもしれないと思う。
しかし、最近は日本も欧米のポリコレ思想の思想的侵略に晒されているわけで、「日本人は遅れてる」と言われて「大変だ!」となった人たちがニワカで勉強して「コロンブスはやばいらしい」と学習した後、あのMVを見て「差別でござる!」と叫んでいるのだよなあと思う。「啓蒙」されてしまって「目を開かされてしまった」人たちの改宗者の情熱みたいなものがある。日本人はすぐにそういうのに浮かされて、大津事件でロシア皇太子が襲われたらそれを謝罪するために割腹自殺する女性が現れたり、戦後改革で「民主主義を教えていただいた」マッカーサー元帥様の「子供を産みたい」みたいなことを言い出したりする人たちがいるが、彼らもまた類似のものを感じる。
私の大学時代の友人でもカルトに入信してしまい、以前とは目つきが違って目が煌々と光り、ヤバい目つきになった人たちがいるが、どうもそういう雰囲気を感じることがある。
いわば今の日本は欧米ポリコレリベラル思想の思想的植民地になりつつあり、それがはしなくもこのケースに現れてしまったということなのだろう。
まあ日本の思想状況がそういうことになっているということに無自覚で、あのMVを出してしまったとしたら、この時期にあれを出してきたら嬉々として叩く人が大勢出てくるだろう、という警戒心が薄かったかなという気はしなくはない。別にそんなことをしたからって白人様達に褒めてもらえるわけではない(文脈が折れ曲がっているし)のだが、疑似名誉白人リベラルが溢れている世の中ではあるわけだから。
我々は白人中心主義文脈においては差別される側であるということもまた、もう一度考えてみたほうがいいし、ポリコレというものも輸入品としてではなく、日本にとってありうべき政治的正しさというのはどういうものかということについても、もっと考えてみたほうがいいのではないかという気がした。
「海賊王に、俺はなる!」でも別に構わないんじゃないかな。
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