ドイツ:緑の党の凋落と極左・極右のポピュリスト政党の躍進/「マロニエ王国の七人の騎士」9巻:ファンタジー世界の「新しい神話」と「金言」

Posted at 24/06/11

6月11日(火)晴れ

ヨーロッパ議会選挙、フランスでマリーヌ・ルペンが率いるナショナリスト政党の国民連合が第1党になるなど波紋を広げているが、ドイツでも極右とされるAfD(ドイツのための選択)がCDU(キリスト教民主同盟)に次いで第二位に躍進し、旧東ドイツエリアではぶっちぎりの第1党になっているのだという。この辺りは反移民感情やいつまでも終わらないウクライナ戦争に対する不信などに裏打ちされる部分があり、そういう意味では底流に反米意識がある気がするが、彼らのガザ戦争についてのスタンスはよくわからないがイスラエル支持が多いのだろうか。

https://x.com/marei_de_pon/status/1799977150159921404

ヨーロッパの動きはアメリカ以上に今の日本から見るとわかりにくくなっているが、グローバリズムの「失敗」みたいなところがどの角度から見ても問題になっているのではないかなと思う。そういえばルペンの主な主張の一つは反グローバリズムで、その面では評価したいところはあるのだよなあと思う。

退潮が著しいのが「緑の党」だそうで、これはついに一時期の環境ブームは終わったのかなという気はする。一方で「左派ポピュリズム」とされる新しい政党、BSWが躍進していて、緑の党に飽き足りない層がBSWとAfDに投票したのではないかという分析もあるようだ。

BSWというのはBündnis Sahra Wagenknecht、「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟」という個人名を冠した政党なのだが、元々はSPD社会民主党の最左派と旧東ドイツの独裁政党であった左翼党=ドイツ社会主義統一党が合併してできた左翼党を離脱した人々で結成された政党なのだという。彼らの主張で頷けるところは、「若い政党は「山師、ナルシスト、過激論者」と言った政治的不適格者を引きつけてしまうので党創立の前段階で彼らを入党させてはいけない」としているところで、立憲民主党にしろ参政党にしろ保守党にしろむしろそういう人たちが主体になってるんじゃないかという感じの日本政界に対する強力な批判であるように思われた。

ザーラ・ヴァーゲンクネヒトは旧東ドイツの出身で社会主義統一党の後進であるPDS(民主社会党)の中心メンバーで、父親は旧東ドイツに留学していたイラン人とのことである。彼女は軍事教練への参加を拒み政府から睨まれたものの社会主義統一党に入党し、ベルリンの壁崩壊は反革命であると見做しているのだという。

彼女は左翼党の中心とみなされてテレビ出演などもして知名度も高かったが独自の立場が強く、ウクライナ戦争は即時停戦論を唱えて党内で対立し、党を飛び出したということのようだ。

この人はあまりに独自性が強くてなかなかひとことではまとめきれない人だなと思うのだが、ドイツにはこういう人もいるんだというのは面白いなと思う。そしてメルケルもそうだが東ドイツ地域出身の政治家が普通に大きな影響力を持つというのも面白いなと思う。

彼女の政策は「左派+反移民」というコンセプトのようで、あまりにネオナチに近いAfDは危険すぎるから反移民で彼らを支持している人たちを取り込もうという考えがあり、その辺りが成功しているようだ。緑の党が失速したのも彼らがあまりに反ロシア的であるということらしく、ヨーロッパ、特にドイツの空気が伝わってくるなと思う。

日本でも旧左翼勢力が輪廻転生してフェミやエコになる例は多いわけだけど、ガチの社会主義国であった東ドイツをその中に取り込んだドイツの多様性というものには敵わないと思うし、同じポピュリズムといってもなんだかお気持ちに引っ張られてグズグズになりがちな日本とは違って普通に特殊な信念を理論的に体系立てているところが良くも悪くもさすがドイツという感じがする。

この政党に未来があるかどうかはわからないけれども、緑の党に替わって一定の影響力を持つようになるのではないか。またAfDが流石にネオナチ勢力を切って資本家勢力をバックにつけられる政党に成長できるかも今後の展開に大きな影響を与えることになるだろうと思う。

***

昨日は午前中にジャンプとヤンマガとジャンププラスの更新を読み、昼前に出かけて「マロニエ王国の七人の騎士」の9巻を買いに行ったついでにいちやまマートで昼夜の買い物をした。結構毎日買い物に行くのに食べるものはすぐ無くなるのはなんだか不思議だが、食べれば無くなるのは仕方がない。

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マロニエの9巻を読み切ったが、新展開。「食べ物が豊富な国」編が終わり「好色の国」編が始まる。出てくる人物(チビという女の子)がよくわからず単行本を探したら3巻に最初に出てくるフラカンという巨大な鳥の化身らしいことが判明。350年生きた魔女ということになっているが、ずっと卵の中に篭っていた。フラカンの孵化によって獣の姿にされていた生き物の国の人たちが人間に戻ったとか、かなり重要な役回りなのだが、3年前や5年前の単行本を引っ張り出してこないとそれがなんだかわからないのはなかなか読むのは大変だ。しかし作者の岩本ナオさんはなんというか「新しい神話」を生み出そうとしているのかなと思う。普段は可愛い風貌の「ハラペコ」が自制心を失うとミノタウロスのような怪物になったり、七人兄弟の父が実は神様だったり。その神ペレグリナスと彼らの母バリバラがいかにして結婚して彼らを産んだのかとか、まだまだ謎は多いが、ジャガー王ヨカと冥府様ヴィジの恋愛が2500年ぶりにハッピーエンドになったのはよかった。

神話というのは読んでいるとなんとなしの金言とか教訓みたいなものがあるわけだけど、この話もそういうところがあって読んだ後何か自分の中に残っているものがある。好色の国の商人アブドラが「チビ」に商売のコツを教えるあたりが興味深い。なかなか話が進まないのは構造上仕方がないのだが、頑張ってラストまで読み切りたいものだと思う。

夕方仕事の買い物をしに岡谷の書店に行き、3冊ほど情報関係の本を買って、帰りに街中の小さなセブンイレブンに寄って飲み物と焼きプリンを買って帰った。晩御飯を食べてから少し何かやろうと思ったのだが頭が動かず10時ごろには寝た。

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