「ハナイケル」が買えなかった/「壱人両名」:現代に通じる「書き留めておくこと」の大切さを知るなど

Posted at 24/05/31

5月31日(金)雨

昨日は午前中、銀行で用事をしたり定額減税について打ち合わせをしたり、書店に「ハナイケル」5巻を買いに行ったらなかったり(それにしても小学館はコミックスの部数を絞りすぎる)していた。

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家の前の道のガス管の工事は昨日はやっていたので実家への出入りが面倒になっていて、なるべく出入りする回数を減らすようにして、午前中の用事の後昼食の買い物をして家に戻り、他のことは午後やろうと思ったのだけどいろいろ考えて昨日はやるのをやめて、午後は借りていたスコットランドの哲学者の本を図書館に返しにいくだけにした。結局ほとんど読めなかったのだが、やはり本格的な本は2週間で読めと言われても無理だなと改めて思う。

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「壱人両名」かなり面白い。主に取り上げられているのは江戸時代の訴訟の史料なのだが、どういうことでトラブルが起こるのかとかそれを当人たちがどう言い逃れをするか、シラを切るか、観念するかなどめちゃくちゃ人間ドラマがあって、お上の側も割と適当に処理したり、厳格に裁いたり、その時々で色々な判断が記録されていて面白いなと思った。

なるほどと思ったのは庶民が武士になるときに「御家人株」「郷士株」を買って形式上武家に養子に入る形を取る、というのは勝海舟の話とか坂本龍馬の話などで聞いたことはあったが、農民にも「百姓株」があり、家が絶えても形式上当主はいるという形が残っていて誰かに跡を継がせて家を復活させる、みたいなこともよくあったという話は面白かった。つまり、領主(大名、旗本、幕府代官)としては、年貢を納める主体である「本百姓」の人数が減ることは困るのであり、また村の側にとっても年貢を負担する人が減ると困るので、百姓(この場合は農民)の人数・家の数を維持する必要があった、その意味で百姓は重視されていた、ということが面白く、興味深かった。

私の家も先祖を祖父が調べたことがあり、仁右衛門とか仁兵衛みたいな名前が続いたりするのだが、これはその家を継ぐことで名前も継いだりする例が多いということのようで、自分の家のことも江戸時代の枠の中で見れば特別なことではなくて江戸時代のスタンダードとしてそうだったのだなということがわかり、なるほどと思うところがあった。

私の家はそういう意味で農民の家系なのだが、途中で散居郷士(諏訪高島藩の制度で城下に住まない武士)の家から養子が入っているので先祖は武士というべきか農民というべきか微妙なのだが、まあ武士の家系の家は系図が残っていたりすることも多いだろうけど農民の家系ではそんなにないと思うので、ある意味貴重なんじゃないかと思ったりした。

商人にも株というものはあるのだけど課税対象としては農地がなければ水呑だし、町人でもある程度手広い商売をしていると領主から運上金や冥加金を課せられたりするわけだが、商人も多くは農民の出身であることも多く、出身の村に人別(元々は宗門改の証拠なのだが江戸中期以降は実質的に戸籍のようなもの)を残したまま都市に出て町家の人別にも入ったりする場合も実際には多く、そこで運上金の付加に抵抗するために「私は農民で商人ではありません」と言い逃れをしたりするケースも多かったらしく、かなり適当な人たちだなとは思った。

一番面白かった(面白かったというと悪いが)のは、村を離れて支配の違う町や村に移住したり(養子に入ったり)するときには村役人と檀那寺から証明書のようなものを発行され、それを新しい村に提出して新たに人別に加えられることで把握されていたようなのだが、これは特に公儀の決まりとしてあったわけではなく、慣習としてあったに過ぎなかったようで、藩によってはそういうものをやってないところもあった(飯田藩など)のだという。それで天領の農民の子弟が飯田に養子に来たがトラブルを起こして実家に帰ってしまい、飯田藩が本人を取り調べようとしても、「そもそも養子になどいってない」と強弁され、証拠がないので幕府に訴えたところ、「特に決まってるわけじゃないが証拠がないと判断できないからそういう証明はしたほうがいいんじゃないか」とか言われて大名側が泣き寝入り、みたいなことがあったという話だった。まあこれは「とにかく記録が大事だよね」という現在にも通じる話であり、そういうものをめんどくさがって嫌う人は江戸時代にもいたんだなということがわかったのもおかしかった。

今日は母を病院に連れて行く日なので、このくらいで。

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