雨とワカサギ/ジャンププラスが面白い!「ごぜほたる」:瞽女の圧倒的な芸と「うたの力」と古今和歌集と「ふつうの軽音部」

Posted at 24/05/28

5月28日(火)雨

天気がぐずつくことが多くなってきた。昨日は時間によって少し降って、多分工事も少しだけやっていたと思うのだが、今朝はずっと雨だし予報も一日雨なので、おそらく工事はないだろう。雨が降ると少しだけいいことは、車に降った黄砂が雨で洗い流されることで、今朝も雨の中少しブラシで擦って黄砂を洗い流した。少しずつ草刈りもしないとと思っているのだが、雨だと草刈りはできないけど、「まあ雨だからできない」と理由がつけられるという面もある。降りすぎても困るし、降らなくても困るのだが、それにしても災害にならない程度の穏やかな雨であってほしい。

昨日は何故だか眠くて、というか考えてみたら日曜日の夜に京都にいる友人と1時間くらいメッセンジャーで通話したのだが、それをなんとなく考えていたせいもあるのか、朝も早く起きてしまって寝不足だったのは確かだ。昼前に銀行に行ったり川魚屋に買い物に行ったり母の友人を駅に迎えに行って少し湖岸を走って母の入っている施設に送り届けたりしてから家に帰って昼食を食べたのだが、その後疲れが出て3時間くらいうたた寝をしてしまった。空は曇って天気が悪かったからかなんとなく薄ら寒かったのだが起きられなくてソファでそのまま寝てしまった。

最近は昼間は眠れなくなっていたので、眠れるならちゃんとベッドに入って眠ればよかったと後で思った。眠りがきちんと眠れるかどうかは、結構自分の体調ややろうとすることに影響するので、もう少し上手くやれるといいなとは思う。

川魚屋にはワカサギの甘露煮を買いに行ったのだが、新聞でも読んだけど今年は諏訪湖のワカサギが不漁で、水揚げがほとんどないと。他の店は諏訪湖の他から買ってきて出しているところもあるけど、と言われたのでそれならあえて遠くから来た人へのお土産にするのもなんだし、と思って鯉の煮付けにを買ったのだった。不漁の原因はよくわからないけど、最近の気候の異変と関係があるのかないのか、と思ったり。

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https://shonenjumpplus.com/episode/17106371864158190144

ジャンププラスで3月から連載が始まった作品に「ごぜほたる」があるのだが、これは「瞽女(ごぜ)」、つまり盲目の女性の門付芸人の一行に、新しく加わった少女・ホタルの物語なのだが、瞽女は現在でもその芸を伝承している人たちはいるようだけど旅回りは昭和30年代ごろを最後に亡くなったようなので、それよりも前、おそらくは戦前の話なのだろうと思う。

瞽女という存在については知ってはいたけれども、題材にした文学作品などは読んだことがなく、歴史ものの小説やマンガなどでたまたま出てきたものを読んだ印象しかなかったのだが、これは本格的に瞽女を描いていていろいろとその存在は印象深かった。

過去に読んだものの印象としては「そういう集団の芸人がいる」というくらいの印象だったのだが、今話(第10話)は「瞽女の芸」についての描写、主人公ホタルは三味線を弾くのだが、その相方で唄を歌うサンゴの爆発的な歌唱力が描写されていて、ホタルが必死についていく様子が描かれている。当然だが、芸で身をたてている集団なのだからその「芸の力」は描写されて然るべきなわけだが、それについてあまり今まで考えたことがなかった。サンゴの天衣無縫の圧倒的な歌唱力の描写もすごいが、ホタルの三味線がそれについて行き、サンゴのさらなる「本気の歌」を引き出そうとする描写は本当にワクワクした。

サンゴの歌の天分ということについては、まだ瞽女になる前の子供の頃の母親との会話が描写されていて、

「ねえ母さま。小鳥とかカエルがなんで唄うかわかる?」
「さあねえ・・・サンゴはわかるの?」
「心を伝えるためなんだよ。気持ちを受け取るためなんだよ。おしゃべりなんかよりずっとわかるんだから。だから私もちゃんとわかるんだよ。たくさん普通と違うけど、みんなのことわかるんだよ」

サンゴは目が見えないだけでなく、なぜか左の額の上にツノのようなものが生えている。そのせいか、「母さま」はいつも悲しい声をすることにサンゴは気がついている。そうしてそのように過ごしていたのが、瞽女の親方、ユキと出会うことで「この人みたいになれたら」と思ってその一行に加わった、という過去が語られている。

サンゴの言葉は古今和歌集かな序の「花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」という言葉を思い出させるが、おそらく作者はここからサンゴのセリフを作ったのだろう。古今和歌集はもちろん和歌の、文学の「うた」であるが、それは当然声に出して「うたう」ものでもあったはずで、その意味では「かな序」は「音楽論」でもあるのだな、と思った。

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「力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり」という「かな序」のその続きは、「ふつうの軽音部」で主人公のちひろ(はとっち)が藤井彩目に「私の弾き語りを聴きに来て!」と呼びかける、そのロックな歌でもあるわけで、「ことば」では彩目の心を動かせないかもしれないけど、「うた」なら動かせるかもしれない、というその根底に、この古今和歌集の言葉があるのだな、とすごく全てが繋がった感じがした。

https://shonenjumpplus.com/episode/17106371859967564400

「ごぜほたる」はジャンププラスといういわば最先端のウェブ漫画の世界ですごくオーソドックスな、古典的なネタを正面から扱って、それですごく質の高い作品に仕上がっているし、それを読者もすごく評価しているのが、本当に素晴らしいと思う。

単行本は来週6月4日に第1巻が出るので、これからなら最初からずっと追いかけることができる。おすすめの作品です。

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