マンガやストーリーにおけるキャラクターの魅力の重要性をようやく理解できてきた
Posted at 24/05/13 PermaLink» Tweet
5月13日(月)雨
昨日はいろいろやろうと思っていたことがあったのだがなんだかペースがうまくいかず、あまり何もできなかったのだが、大事なことでやり忘れていることがあるのに気がついたので、今日はそれだけちゃんとやろうと思う。
「龍と苺」を最初から読み直しているが、2度目に読んでみると一番最初に女性の三段の奨励会員・高野さんが出てきているとか、後まで読んでみてわかることが結構ある。高野さんのビジュアルも後で出てきた時とは全然違うし、途中で設定にしろビジュアルにしろいろいろいじった、というかこの人をストーリーに乗せる予定は最初はなかったのだろうなと思う。書いているうちにこの人が出てこないと成り立たない、というストーリーになることは物語を書いていると良くあることだから、途中でキャラをしっかり設定したのだろう。マンガは週刊連載だから途中で予定が変わっても最初の方を直すことは基本的にはできないので、そういうことは時々ある。
「ふつうの軽音部」を読んでいて思ったのは、キャラクターの設定が卓越しているなということ。地味な顔そいたおどおどした陰キャなのに実は芯が強くて努力家、だとか長身美人ベーシストとハネマンはあろうかという女子が実は策謀家であるだけでなく宗教的情熱の持ち主だとか、明るく美人で陽キャだと思っていたら実は恋愛感情が理解できないおそらくはアセクシャルであるとか、どこにでもいそうでどこにでもいるわけでない「ふつうの」高校生たちがバンドを組んでロックを演奏する。
私は最近は書いていないが以前は戯曲や小説を書いていて、ストーリーだとかセリフだとか設定とか情景描写だとかそういうことはそれなりに考えて書いていたのだけど、キャラクターというものにあまり意味を見出していなくて、マンガの書き方みたいなものを読んでいると「とにかくキャラクターが重要」みたいなことを書いてあってそれがあまりよく理解できなかった。自分にとってマンガや小説、物語あるいは演劇の魅力は何よりもストーリーや場面作り、絵柄作りにあったから、今思うと役者も結構やっていたのに不思議なことにキャラクターというものにほとんど関心がなかった。「劇中での役割」については考えていたけれども、その個人が持つキャラクターの魅力というものをほとんど理解していなかったのだなと思う。
それを理解するようになったのは恐らくはごく最近のことで、特にSNSやウェブマンガのサイトのコメント欄を読むと感想のほとんどがキャラクターの魅力について書かれていて、これも最初は理解ができなかった。しかしそういうものを読んでいるうちに自分もキャラクターの魅力というものを理解していくとともに、いかにキャラクター作りに漫画家が心血を注いでいるかということもだんだん理解するようになった。逆に言えば、ストーリーが無茶苦茶だったり荒唐無稽であったりしてもキャラクターに魅力があれば作品として成り立つくらいの力を特にマンガにおいては持っているわけで、無理目の設定に感じられる主人公が自分の想像以上のことをストーリー中で発言したり、このキャラクターでなければこういうことはやらない、こういう言葉は出ない、というようなことが本当にあるんだということが理解できていくと、マンガの魅力というものも自分の想像以上のものだということがわかってきて、そしてこれらのキャラクターを作り上げる漫画家の頭の中というものがいかに常人を超えたものかということもわかるようになってきた。
そういうキャラクターを作り上げてから作品を書いたことは今までなかったから、それはやれる時にやっておきたいとは思う。ジャンプはもともとそうだがジャンププラスはそれに輪をかけて魅力的なキャラクターをたくさん生み出しているので、その辺りがウェブ漫画を独走している強さなんだろうなと思う。
キャラクターの設定は、読者に共感を持たれる部分はもちろん必要なのだが、コメントを見ているとわかるのは、誰もがそのキャラに好感を持っているとは限らないということ。むしろそのキャラが嫌いだということをコメントしている人もいたりして、でも逆に言えば嫌う人もいるくらいのキャラクターの方が生々しいというか、リアリティがあるということも言える。万人には好かれないけど万人がすごいと思うとか、多くの人は嫌うけど嫌われる性質の中に共感を感じてしまう人もいるとか、キャラクターの微細な部分が持つ魅力というのは想像以上に読者に影響を与える。「ふつうの軽音部」は特にそういう部分を強く感じて、だからこれだけ魅力的なストーリーになっているのだなと思う。
まあ書ければ書きたいと思っていたことは他にもなくはないのだけど、今日はそういうことにしておきたい。今日やっておきたいことがあるので。
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