生成AIの問題について:OSや検索エンジンの失敗を繰り返さないために/ジェンダーのことなど
Posted at 24/04/06 PermaLink» Tweet
4月6日(土)曇り
昨日はなんだか疲れが出ていて、一日中眠い感じがした。朝母を病院に連れて行ったのだが、点滴を待っているあいだに診察室の外の廊下の椅子で爆睡してしまった。木曜日の外の仕事とその準備のための疲れ、日曜日の地元の行事の準備と実行と片付けの疲れ、がまとまって訪れた感じ。夜は割とちゃんと寝られたので今朝はそんなに疲れが残っている感じはしないが、自分のペースを取り戻していこうと思う。
あまり整理されていない話しか書けないが、生成AIの問題について。私はTwitterアイコンを自分の写真をAIに読ませて作ったものを使っている。私は基本的に新しい技術はしっかり育てていくべきと思っている。それはパソコン黎明期にOSの国際競争の中でマイクロソフトに敗れ、検索エンジン黎明期にも著作権の問題などをめぐって役所側が積極的に対応しなかったためにGoogleに名をなさしめた、苦い経験が日本にはあるからだ。
AI技術の可能性は非常に広いと思うし、黎明期であるからこその問題点もかなりあるのは事実だと思う。また、それが解決せずに後に影響を残していく可能性もなくはない。例えば手書きの時代にはほとんど起こらなかった「誤変換」の問題は初期のワープロの時代から指摘はされているが、現在もなくなってはいないわけである。どの漢字を使うかはAIの発達によって誤りや不適切な使用を減らせるとは思うが、人間は敢えて普通使わない漢字を使うこともよくあるわけで、そうしたところまで対応するのには時間がかかるだろうと思う。
私が自分のアイコンを作成するときに自分で手書きするとか自撮り写真をそのまま使うとか様々な方法を考えたけれども、手書きはうまく書けず、自撮り写真も以前に炎上した経験もありそのまま使うのも憚られるのでAIに写真を学習させて作るのが最適解だと考え、実行したわけである。
画像の生成AIに関していえば著作権のある画像を無視して使うというのが最大の問題になっていることは確かだろう。こうした問題も、ネットが出てきた初期にいろいろ問題化して、例えば動画に勝手に既存の曲を使ったり、著作権や商標権のある画像を許可なしで使うなどの問題も起こっている。しかし現在では例えばYouTubeでは音楽そのものではなく自分が演奏した音源は自由に使えるとか(動画サイト会社が著作権管理団体にまとめて払っている)、簡単な絵を著作権フリーで使うことができるようにする「いらすとや」のようなサービスが出てくるなどして、一定の制限の中で自由に表現に使うことができる素地が作られてきたわけである。
生成AIに関しても、AIで使うことができる素材画像を提供するようなサイトも出てくると思うし、AIに使用することができないプロテクトのようなものも開発できる可能性はなくはないと思う。画像生成に使われるサイトも今の所はそんなに多くはないし、国際標準規約のようなものもいずれ作られるだろうから、そうなるとその規約づくりに日本が参加することが重要になるということ、またそのためにはある程度のAI生成ソフト・企業等が存在することは重要なことになるだろうと思う。
いずれにしても、直接対面の世界とは違い(対面の世界でもある程度以上はそうだが)、ネットの商業活動においては知名度が重要で、中国のような自由市場・資本主義体制といえない国でなければトップが総取り、つまり検索ならGoogleが、eコマースならAmazonがほとんど全部をさらっていく時代なので、そうしたマイナスが多く生み出されたことが「失われた30年の平成時代」を作ってしまったことは自覚しておかなければならないと思う。
生成AIの推進派も傍観派も慎重派も制限派もそれぞれ意見を言っていくことは大事だし、海賊行為等をどう取り締まっていくかの議論や技術的な研究も重要だけれども、感情的になったりいたずらに原則に固執したりするのはあまり意味がないと思う。ソフトバンクがネット接続をガンガン推進した時などかなり乱暴なやり方だったし、ある意味そういう手段でやらざるを得ないことがある場合もなくはないけれども、お互いがお互いの主張を理解し合って落とし所を見つけていくことが最も重要なことだろうと思う。
日本の良いところは「品質の良さ」「きめ細やかさ」にあると言われているが、そういう意味ではこういう新しい技術の黎明期にはそうした部分が逆に大きな障害になるという面もあるわけである。アメリカのように適当にどんどん軋轢をものともせずに進めていくことでトップを取るというやり方が日本ではなかなか文化的に難しいのは確かだと思うのだが、世界の動きにしっかりついていくことも明治以来日本はやってきたことであるから、なるべく最先端に遅れを取らないように、また問題点のケアもきめ細かく進めてもらえると良いのだがとは思う。
***
ジェンダーの宗教的議論にはあまり付き合う気持ちはないのだが、日本では江戸時代に国学で「ますらをぶり」「たをやめぶり」といった概念が出されているけれども、感情表現のようなものは万葉集の時代からとても進んでいると思うし、女性の歌人も何人もいて、また人物評のようなものは六国史のような史書から「古今和歌集かな序」の批評など早くから生まれていると思うのだが、フィクションにおける人間評価みたいなものは主に女性によって描かれたともわれる物語文学・随筆文学によって生み出されてきたわけで、この「女性による表現」が文学史の最も重要な部分にあるというのは日本文学の特徴の一つと言っていいのだろうと思う。
農業社会であった日本では女性も基本的に生産労働を担ってきているわけだし、女性の権利が後退していくのはむしろ儒教の影響がどのくらい及んでいるかということに各時代関わっているように思う。また明治に輸入した西欧文明も基本的に男尊女卑であったことも大きいだろう。基層文化における一定以上の女権の強さと、表層文化における弱さというものが微妙に絡んでいるのが日本の近代だったと思う。「原始女性は太陽であった」と言えたのはそういう前提があってこそのことだろうと思う。
ジェンダー的なものも宗教にならずにより妥当な歴史的経緯・科学的根拠に依拠して落ち着くところに落ち着けば良いと思うのだが、現状は西欧的なジェンダリズムに対して世界が拒否反応を起こしている感じではあり、日本としても舵取りが誤られなければいいなあとは思っている。
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