毎年2月には29日欲しい/ジェンダー論と人文学の本質/チャドの国境なき社会党とブルキナファソのトマ・サンカラの汎アフリカ主義

Posted at 24/02/29

2月29日(木)晴れ

今日で2月も終わりになる。というか今年は閏年なので29日まであるわけだけど、できれば毎年29日が欲しいものだと思う。1日多いだけでだいぶ余裕がある。地球の自転速度がもう少し早くなるか公転速度がもう少し遅くなればいいわけだが、公転速度が少し遅くなるということは太陽から少し離れるということなので温暖化も進んでいることだしちょうどいいのではないかという気がする。だからと言ってできることはないが。

昨日は細々したことを片付けて少し精神的余裕ができた感じはあるが、まだまだやることはたくさんある。確定申告はもう税理士に頼んであって既に結果も聞いているので良いのだが、母の分が残っている。年度末やら営業的なことやら法事関係やら近隣との付き合いやらいろいろやりながら毎日2時間くらいかけてブログを書いているわけだけど、ここにかける時間的コストは少なくはないけれども執筆方針が「つれづれ」なのでなかなかまとまったものに育っていかないのはまあなんというか。

書きたいことはいろいろあるが書くレベルまでまとまってないものが多い。「戦前の正体」も少し読んだが感想を書くほどのレベルまではまだ読めていない。「アメリカは自己啓発書でできている」も読みたいのだがなかなか読めてない。

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昨日Twitterで書いて反響があったのが「ジェンダー論は人間の本質を掘り下げる本来の人文学の反対に理論で事象を全部切っていこうという考えなので学問として堕落している。」という話。実際そうだと思うのだが、なぜそれが人文学で猛威を振るうことになったかといえば、いわゆる「言語論的転回」の影響が大きいのだと思う。詳述するには準備不足なので機会というより時間とやる気があったらという感じだが、これによってかなり多くの学問が被害を受けている感じはあるので、見直していかないといけないと思う。

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あとはTwitterで読んだアフリカの話を少し。アフリカのサハラからサヘル地帯に位置するチャドで、野党PSF(国境なき社会党)の本部が政府軍による激しい銃撃を受けたとのこと。外務省のホームページによれば

https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=148429

と野党勢力の方がテロ活動を行なったという報道に基づいた注意情報を出している。「国境なき社会党」とはもちろん国境なき医師団Medicines sans Frontièresを意識したネーミングでParti Socialiste sans FrontièresだからPSFになるということのようだ。

さてこれがどのような集団なのか。「国境なき」というのはイスラム世界では別のニュアンスを持つ。私は最初、領域国民国家を否定し、カリフ制を主張するイスラム国系の野党あるいはテロリスト団体なのかと思った。

しかし少し調べてみると全然違っていて、「チャド国境なき社会党」のサイトを見ると「チャドの行政、民間企業、リベラルな職業、教職、実業家の若手幹部によって設立され、そのほとんどは政治に関与したことがなかった。」とあり、むしろ西欧的な人権意識高い系の人たちによる組織のように思われる。

https://psf-tchad.org

野党党首がテロを主導したとの軍の主張によって行方を追われているということなのか、本当にテロを起こしたのかはよくわからない。外務省は政府側の情報でPSFのテロという情報を流しているのかなと思うが、政権側の不当弾圧との見方もありそうかなと思う。

しかしよく考えてみたらイスラム主義だったらわざわざフランス語で「国境なき」とか言わず、アラビア語のネーミングになるなとは思う。ということは「国境なき社会党」はむしろいにしえの「万国の労働者の国際連帯」の理想を改めて掲げる、という意味での「国境なき」ということになるわけで、とても西欧的啓蒙的社会主義の集団ということになる。

チャド政府は反テロで西側と協力的という少し前の記事も読んだが、現時点でどういう状態なのかはよくわからない。実情を理解するには、もう少し追いかけてみる必要があるなと思う。

チャドは東側でスーダン、北側でリビア、西側でニジェールと長い国境線を持ち、南側がナイジェリアとカメルーンと中央アフリカ。ダルフール難民もかなり流入しているようだ。一癖ある国に囲まれてチャドはあまり明確なイメージがないのだが、いろいろ大変な状況にあるようだ。

もう一つのアフリカの話はブルキナファソ。

ブルキナファソで3度目のクーデター計画が明らかになり、トラオレ大統領暗殺計画があったと。トラオレ大統領は「サンカラ的アフリカニズム」vs「仏支持の守旧派」の構図を作り上げようとしているのだという。国民生活よりも権力維持の姿勢が見えて、サンカラを利用したカリスマ化を図っているのではないかという指摘があった。

私はよく知らなかったが、トマ・サンカラはブルキナファソの英雄でありパンアフリカニズムの象徴でもあるようだ。彼の暗殺には当時のフランスのミッテラン政権・シラク首相も関わっていたという説があるというのも知らなかった。

https://inpsjapan.com/news/alleged-killers-of-pan-african-icon-thomas-sankara-on-trial/

アフリカはそれぞれの国の国家経営が大変なところがあるが、その背後には汎アフリカ主義の理想や西欧的啓蒙主義、イスラム過激派の浸透、ロシアや中国の野心などが入り乱れ、またもともと国境を意識しない移住の多い生活を送るアフリカの人々の生活形態などもあって常に流動的な状況になるのだなと思う。

今回の2例はサハラからサヘル、サヘルから熱帯雨林への途上に位置する国々の話だが、アフリカはもちろんその国独自の状況もあるが、アフリカ全体で見ていくべきところもあり、また統治や国家建設がどのようなものが望ましいのかもまだ試行錯誤の最中なのだなと感じるところがある。この辺りこそ領域国民国家の限界制が表れているのだろうなとは思う。


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