「脳ミソだってボディだぜ」/南箕輪村/原作クラッシャー問題と原作者の地位/桐島らしき人物:過去の亡霊にもっと話を聞きたい
Posted at 24/01/29 PermaLink» Tweet
1月29日(月)晴れ
午前4時半現在、気温はマイナス4.7度。まあこんなものかと言う感じ。昨日は午後はあまり何もできず、夜も食後は例によってうたた寝してしまい、それでも11時には床に入ったのである程度以上はねられた感じがある。体調を整えながらも、やりたいことや動くべきことをやっていくように、身体と心のサイクルを整えたい。
実際のところ、疲れていると本当に頭が動かないので、「脳ミソ」というものは本当に「ボディ」の一部だなと思う。疲れていても頭だけは妙に冴えている、みたいなことはなくはないが、それは思考が変な方向に暴走していることが多いので、やはり頭と心と体、と言うものの中では頭と体が近い感じがする。
まあいずれにしてもそれらは一つの身体というものの中に収められた機能ではあるので、身体というインフラをちゃんと保っていくことがまずは考えるべきことだということなのだろう。
昨日は午前中にいろいろ家の中のことを片付け、11時ごろ出かけて南箕輪村へ行った。長野県で一番若者人口が増えている市町村だということで、まあそんな詳しいことがわかるかはともかく、どんなところかだけみに行こうと思って出かけた。ルートはいろいろ考えたが岡谷インターまで行って長野道・中央道経由で伊北インターで降り、村に向かうというもの。途中辰野PAでトイレ休憩し、インターを降りてからしばらく走ったので、このコースで1時間というところか。最初に村の図書館に行ったが、役場の隣で役場の駐車場に車を止める感じ。図書館は親子連れや中高生くらいの子供が多く、まあ受験シーズンだということもあるのだと思うが、どちらかと言えば高齢者が多い実家の地元の図書館に比べるとやはり若いのかなという気がした。
図書館では「南箕輪村誌」を取り出して少し読んだのだが、自治体史というものは普通「諏訪市史」みたいに「史」の字が入っているが、「誌」というのは面白いなと思って読んでみたら、上巻は地理や自然についての記述で、下巻が「歴史編」だった。主に鎌倉から戦国あたりまでを読んだのだけど、やはり伊那と諏訪は歴史が違うというか、歴史の捉え方がかなり違う気がした。この時期はやはり史料的に諏訪の方が残っているのだなという感じがし、この辺りの時代だと諏訪との関わりという観点から歴史が記述されている感じがした。
それでも戦国末期からの「武田氏の支配」「織田氏の支配」「徳川氏の支配」「豊臣氏の支配」「真田氏の支配」ときて「再び徳川氏の支配」という天正前後の時代の変遷について読んでいると、この地方が置かれた状況がよくわかるなと思った。
時間もそんなにないので適当に切り上げて図書館を出て、商業施設がないかと調べたら近くにスーパー(ツルヤ)や書店(平安堂)、ニトリなどがある一角を見つけたので行ってみる。ここは南箕輪村ではなくて隣の伊那市になるが、この距離なら車で気になる距離ではないなと思った。
ただ、天龍川の反対側にあるので川を渡ることになるが、その道が少し面倒で、また急坂を降ったり登ったりして、ああなるほど伊那谷の河岸段丘とはこういうものかと思った。先に平安堂へ行って本を見たのだけど、諏訪店よりは本があるかなという感じはした。書棚も演出されていたが、最近の蔦屋書店的な方向性で、自分はそんなに好きではないがまあニーズはあるんだろうなとは思う。榎村寛之「謎の平安前期」(中公新書、2023)を買った。読みかけの本が多くてもどうしても新しいものを買ってしまうのがまあ業のようなものなのかもしれない。平安前期の転換期的性質というものについてはもっと知りたいところが多いので、まあ気になったということである。
ツルヤで昼食の買い物を済ませ、モバイルSuicaにチャージするためにセブンイレブンによって、ナビで「家に帰る」を設定したら有賀峠を越えるルートが示されたので、帰りはそれで行ってみることにした。距離的にはずっと近いのだが山道なのでいろいろ面倒なんじゃないかと思って行ったのだが、道自体はどうということもなかったが前を走る車がゆっくりで、思ったより時間がかかった。しかしそれでも45分で家に着いたので、基本はこのルートの方が早いということだなとは思う。
家に帰ってから昼食を食べて、なんとなく気が抜けて休んでいた。夕食のために岡谷に出かけて書店をのぞき、Lakewalkで買い物をして帰宅、夕食。夜もあまり何もできないまま就寝。
***
Twitterを見ていても原作クラッシャー問題は見ていたら原作者の方がツイートを消していて個人攻撃をするつもりではなかった、みたいなことを言っていたり、桐島らしき人の入院をめぐり保険証がなくて自費だったみたいなことで議論になってたりして、どうもなんだか本質的な議論になってなくてつまらないなと思う。
原作クラッシャー問題に関しては、映像コンテンツの世界においては実写映画化や実写ドラマ化を頂点とするヒエラルキーがあるのかなという気がする。ヒエラルキーの上の方から見たらマンガなどは適当に使える素材にすぎない感じだと思っているのだろうなとか。小説はまだ「権威」があるからそんなに適当には扱われないが、マンガは「相当売れていて相当ファンがついている」ものはともかく、「このマンガがすごい!」で上位に来ている、という程度では「適当に扱っていい素材」に過ぎないのだろうなという気がする。
私はテレビドラマを見ないのでよく知らないのだが、やはり私の兄弟や甥姪たちの話を聞いていても、妹のことは「ママはテレビの情報ばかり言ってる」というけれども芸能人やドラマのことは結構よく知っているがマンガはほとんど知らないわけで、世間というものはそういうものなの、やはりテレビの力は今でも絶大なのか、とは思う。
YouTube動画もそうだけど、時間を食われるものはどうも苦手なので、それはタイパ云々というよりも自分のペースで視聴できないということだろうか。だからどうしても見なければいけないものは5倍速くらいでみることになる(あまりしないけど)。アニメはまずそういうことはしないが、それでも全体像を早く把握したいと思うときはビデオの機能で早送りで見ることはなくはない。(そう言えば金曜日のフリーレンの録画をまだ見てなかった。早く見ないと)
だからマンガという自分の読みたい時にすぐ読めるメディアが自分は好きなのだけど、動画好きも多分基本は同じなんだろうなとは思う。制作者の側に預ける心の部分が、動画の方がより大きい気はするが。
まあ私にとってはマンガの方がドラマよりもずっと大事なので、あまり粗末な扱い方をしないで欲しいなと思うわけだし、そういう扱いが止まらないなら、「ドラマ原作としてのマンガ」の供給をストップさせる、というのも一つの方法かなという気はするわけである。
もともと原作者にとってのドラマ化というのはわずかな原作料と一時的な知名度アップくらいしかメリットはないのだから、粗雑に扱われて心を削られて筆を折ってしまったりするのではあまりに理不尽だろうと思う。編集者はマンガ家を守る方向で動いてもらいたいのはもちろんだが、作品を守る意識ももっと強く持ってもらいたいという気はする。
また、映画やドラマがヒットした場合にそれに比例して原作者にも見返りがあるようなシステムも構築すべきだと思う。この辺りは「テルマエロマエ」の時にヤマザキマリさんが批判していたが、外国では「あれだけ映画がヒットしたんだからさぞ儲かったんだろう」と言われて「私は原作料100万(だったかな)しかもらっていない」と言っても信じてもらえなかったし本当だと分かったら怒り出した、という話もある。出羽守の人たちは是非とも日本の映像作品における原作者の地位向上のために批判してもらいたいと思う。
***
桐島聡らしき人物について保険証がどうの自費がどうのとか、左翼が狂ってるとかまあいろいろな言葉がネットを飛び交っていて、左翼の問題点については頷けることも結構あったりはするのだけど、やはりどうも受け入れ難いなという議論が展開されていることも多く、どういうところに自分が違和感を感じるのかと考えてみると、「1974年当時」と「2024年現在」の時代の文脈の違いみたいなものを無視して、あるいは無頓着に桐島らしき人物を批判し攻撃するものが多いということがある。
一方では霧島の属していた「東アジア反日武装戦線」というものの新左翼運動の中での特殊性とか位置付けに関して、いろいろ蘊蓄を垂れながら「新左翼と旧左翼の違いもわからないなんて」とか「こいつらは帝国日本の存在を前提として破壊しようとしているのだからむしろ右翼に近い」とか現在になってはあまり意味があると思えない議論をしている人がいるのもまた気になった。
そのどちらの議論の中からも「桐島聡らしき人物の人生」は見えてこないし、「なぜ彼が逃亡にこだわったのか」とかもわからない。
東アジア反日武装戦線と現在の左翼運動の関連を否定する論調が左翼陣営には強いけれども、それはやはりウソがあって、「反日」というテーゼの中には「打倒日本帝国主義」というテーゼだけでなく、「偽りの戦後日本民主主義に対する糾弾」も当然含まれているし、その精神的風土の中から「日本死ね」というような左翼が喜ぶ思想が胚胎していることは間違いない。彼らが労働運動から出ているというのは間違っていて、外山恒一さんがいうように華青闘争告発以来、日本の左翼の主流は労働問題、つまり富の不平等の問題からマイノリティ問題、つまり差別の問題に大きく方向性を転換したから、その中からポリコレやフェミニズムが出てきたわけである。
そういう意味では彼らのいう「反日」と出羽守のいう「日本は遅れてる」フェミニズムのいう「家父長制打倒」外国人支援者たちのいう「日本人の負担による外国人支援」みたいなものは同じ方向性の上にあると考えるべきだろう。
だから左翼の主張も当たらないが、右っぽい人たちが言っている過激派運動批判も「現在の文脈から過去を批判しようとしている」、つまり「現在の観点から戦前の日本を批判するのはおかしい」という歴史的立場からの左翼史観批判と同じことをしているわけで、そこにも違和感はあるわけである。
彼らが事件をおこしたのはすでに学生運動も盛期を過ぎ、日本経済がオイルショックの影響にさらされているプチ不況期だったから特に破滅的な印象が強かったのだけど、それから日本はバブル経済になり、バブルが崩壊し、長い不況に晒され、失われた平成時代の果ての、令和6年になって瀕死の状態になって再び世間に出てきた。その間彼らはいったいこういう日本をどう思っていたのか、外国に逃亡した人々も北朝鮮にしろパレスチナにしろ相手先の文脈でいいように使われるだけになっていた感じだし、国内に潜伏していたのだとしたら国内の情勢変化も感じていただろうし、なぜ出てこなかったのかもなぜ出てきたのかも彼らにしかわからない理由があるのだろうと思うので、まずその辺りを聞きたいという思いの方が私は強い。
いずれにしても時代を考えざるをえない浦島太郎がせっかく過去の闇の中から帰還したのだから、ただ消費するのは勿体無いのではないか、ということを思っているわけである。
***
6時になった。マイナス5.1度。やりたいことは多いがなんだか冷えてきた。ただこの時間のブログが上がっていると結構気が楽ではある。
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