東京でリフレッシュを図る/私の「新自由主義」という言葉の使い方:「官から民へ、コンクリートから人へ、選択と集中、経済と思想のグローバル化、メリトクラシー、自己責任主義、リストラ至上主義」等々
Posted at 24/01/15 PermaLink» Tweet
1月15日(月)晴れ
昨日は九時過ぎの特急で今年初めて帰京。駅でライブに行く友人とであう。駅の売店でコーヒーだけ買って座席に座り、甲府を過ぎても隣が来ないから今日はずっと楽に座れるかなと思ったら大月でとなりが来た。富士山の方から来た外国人と思われるけれども、インバウンドは盛んなんだなと思う。そのまま立川までとなりがいたが、席がすいてきたのでまた楽になった。
東京駅で弁当を買い、丸善へ行って少しだけ本を見るが、どうも買ってないらしいマンガがいくつかあることに気付く。ただ、最近はそれを確認する余裕がなかったし持ってきたつもりのマンガの持っている一覧表を忘れてきたので確認できなかったので後にすることにした。東西線で自宅に戻り、郵便受けでたまったものを片付ける。昼食後、少しネットの議論を見ながらツイートなどし、陽のあるうちに出かけて神保町へ行った。
東京堂で本を何冊か見たが買わなかったのだけど、欲しいものはいくつかあった。金と時間と場所があればほしいものは無限にあるなと思う。特に趣味の本は最近、読む時間がない・買っても無駄になるのではないか・置く場所がないなどと考えるとなかなか買えなくなっている。それでも考えるテーマに沿った本などはどうしても買うので本は増えるし、何となく読みたい本よりも読む必要がありそうな本ばかり増えていてどうもそれも問題あるなと思ったり。
書泉グランデで少しマンガを見て、やはり実家に帰って確認してから買うことにする。公式ファンブックは見当たらなかった。ディスクにユニオンへ行っていろいろ探して、モーツァルトのミサ曲とダヴァロス指揮のワグナーのLP二枚を買った。文房堂の喫茶室で栗のケーキを食べてから夕食にカレーを食べようと別の店に入ったらカレーが品切れだということでホットサンドイッチを食べた。それなりには美味しかったがカレーを食べられなかったのは残念。神保町へ出て、丸善で「葬送のフリーレン公式ファンブック」を買って東西線に乗る。なんか小腹がすく気がしたので地元のローソンで豆乳坦々スープを買ったが結局夜は食べなかった。
夜はずっとレコードを聴きながら公式ファンブックを読んだりネットを見たり。眠かったが0時前にローソンへ行ってスピリッツとヤンマガを買う。月曜更新のジャンプラも少し読んで、風呂に入ってからネタのだが、どうも寝つきはあまりよくなかった。眠いうちに何もせずに寝た方がよかったのかもしれない。起きたら6時半で、自分としてはかなり遅かった。
この日曜月曜はせっかくの在京・リフレッシュ期間なのだがなかなかどうも心から休めないのは困ったものだなと思う。
***
自分がどういう使い方で新自由主義という言葉を使っているのか、を少し考えてみることにした。
新自由主義という経済用語はもともとはケインズ政策を批判して政府の関わる経済活動を最小限にしていこうということだと思うが、それによっていくつかの考え方の傾向が出てくる。
ケインズ政策の裏側には大きな政府、特に「ゆりかごから墓場まで」の福祉政策があるので、教育政策も手厚く、公務員や教員は安定した職業として好まれるようになる。だからそれを批判するということは「政府に頼らない自助の精神の個人」を称揚することになり、また福祉も必要でないところは削ろうとし、特に生活保護など生活支援に対しては厳しい目が向けられるようになった。昭和から平成初期にかけて国鉄や電電公社、専売公社などの民営化が進むが、小泉政権下では特に「官から民へ」のスローガンの下、郵政民営化などにまで民営化路線が徹底された。またタクシー自由化など、「規制に守られた業種」の活性化などを目指して規制緩和が進められた。これらは新自由主義のいわゆる「市場原理主義的傾向」が最もわかりやすく表れた例だろう。
また、同様に特に野党側からの批判として昭和後期から続いていたものとして「ムダな公共工事批判」があり、これは地方の土建業者が自民党支持の金城湯池になっているという認識のもとの批判でもあったので、特に民主党政権下で「コンクリートから人へ」が叫ばれ、公共工事は動かなくなり、田中長野県政が脱ダム宣言をだすなど土木業への大きな打撃が与えられた。
一方で「民で出来ることは民で」の掛け声から福祉関連事業なども公営でなく民間事業として行われるのが原則となり、弱者支援事業などで多くのNPO法人や一般社団法人が参入し、文字通り公的資金の流れが「コンクリート(土建業者)から人(弱者支援法人)へ」と変わった。現在ネットなどで問題になっているのはこの弱者支援事業をめぐる資金の動きの不透明さであり、以前は公共事業をめぐるずさんな資金の動きが問題視されていた部分が、そうした法人をめぐる曖昧な資金の動きにシフトしたということもできる。
これらは新自由主義が反保守勢力=リベラル勢力に有利に利用されている例だけれども、一方では国立大学の法人化・大学予算の競争資金化など、「選択と集中」が進められ、科学技術や特に人文・社会系の研究に支障をきたしている。これも特に民主党政権下での「事業仕分け」に典型的に表れているように、本来リターンが想定されなくても資金がつぎ込まれなければ成り立たない基礎研究に対し、「2番じゃだめなんですか」という視点からの刈取りが行われた。
特に自民党政権下ではリベラル系の大学教員が多い人文社会系分野に対する締め付けは強くなり、日本学術会議の民営化など共産党系・リベラル系の牙城を民営化の名のもとに進めようとする動きも起きている。
公務員削減・公務員優遇廃止を特に主張してきたのが大阪を基盤とする大阪(日本)維新の会で、特に政治問題も絡んで公務員攻撃が行われ、特に大阪地域で強い支持を得ている。ただ、そうした方向と逆のベクトルを持つ大阪万博に関しては従来の電通を中心とした情報コングロマリットのようなものが使えなくなり、これは特に東京オリンピックの際の汚職事件などで従来のネットワークが使えなくなった後遺症なども響いているのだろうと思う。
もう一つ重要なのはグローバリズムの進展だが、こちらは以前考えていることをこちらに書いたので、とりあえずはその辺で。経済のグローバル化と思想のグローバル化の問題があるが、思想、特にポリティカルコレクトネス思想のグローバル化と経済の新自由主義的傾向は、メリトクラシーの考え方によって同意できることから、ある種の共闘関係にあると考えるべきだろう。
https://note.com/kous37/n/n57aa8e948499
こうした傾向によって成果を上げるものが成果を上げられないものよりも多くのものを取るのは当然であり、成果を上げられないものが機会を生かせなかったのは本人の責任という「自己責任主義」こそが「新自由主義的メンタリティ」であると考えてよいだろう。
また、「ムダを省く」ことを至上の正義とする傾向は「リストラクチャリング=リストラ至上主義」を生み、その結果設備投資や研究投資を過度に控える傾向を日本企業にもたらして、経済の空洞化や失われた30年という日本経済の長期低迷時代を生み出した。
これらをもたらしたのはそうしたリストラ至上主義だけではなく、日本とアメリカの間で行われた必ずしも新「自由」主義とは言えない日米構造協議などによる経済敗戦・金融敗戦によってももたらされたもので、そうした複合要因で戦後一貫して強かった日本経済がバブル崩壊以降はずっと低迷することにつながった。
こうした要因の中で特に日本型一斉採用による新卒者は「就職氷河期」と言われる状況を生み、潜在的な能力を生かせないまま20年以上経過してしまうような悲劇も生み出している。
また新自由主義メンタリティが「結果を残せなかったことは自己責任」とする傾向が、そうした困難な状況の人たちにとってなかなか救済策を与えられないという不幸も呼んだことはまちがいないだろう。
まあ、まとまらないが、とりあえず「新自由主義」という言葉を自分が使うときの使い方について考えてみた。本来の経済的新自由主義だけでなく、日本社会の状況や思想傾向がそれらによってある方向に助長されてしまったものなど、さまざまな要素を「新自由主義」という言葉で括って使っているなと思うのだけど、丁寧な表現の方が解像度が上がるであろう一方、元凶は新自由主義であるというところを主張したいこともあり、どうした使い方が最も適切かは考えていくべきところはあるだろう。
***
昨日はロードサイド文化をめぐってツイッター上でいろいろやり取りがあり、それについても考えたことも書こうと思っていたのだが、少し余裕がないのでまた改めて書きたいと思う。
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