哲学と仏教学における論文リジェクトとアカハラなど/歴史的人物像と神話的人物像
Posted at 23/12/27 PermaLink» Tweet
12月27日(水)晴れ
今朝はなんとなく昨日より暖かい感じ。昨日は寝不足でいろいろ動いていたが、その割には動けた感じで、それは明るくて穏やかな天気だったというのも大きいなと思う。外の見回りなどもうまく進んだし、いろいろごちゃごちゃしていたものが整理された感じ。
「初期仏教」は4章2節を読んでいるが、「ブッダという男」を含めてこの2冊を読むことで自分なりに一番得たものとしては、古代インド・アーリア人社会の様子とか世界観みたいなものがだいぶ理解できたというのが大きいかなと思っている。仏教理解というかブッダの教説、あるいは初期仏教で説かれた内容に関しては自分なりの理解というのに今のところ止まっているが、もう少し読んでからまとめてみたい。122/221。
哲学者の谷口一平氏が自身の哲学論文がジェンダー関係と思われる査読者二人にリジェクトされたことについてTwitterで内容を暴露し、そのことをめぐって議論が起こっているが、「ブッダという男」の清水敏史さんのアカデミックハラスメントの暴露もあり、この12月は文系アカデミズム、特に宗教学と哲学という本源的な分野においての学問と主流派による非州流派の弾圧というテーマが俎上に載せらているのがいろいろと興味深い。昔だったら闇に葬られたようなことが表沙汰になっているのはSNS時代の良い側面だろう。
清水さんは押し込められていたのが出版社の強い支援によって新たな著書が出せたことで明るみに出てきたという問題であり、谷口さんの方はアカデミズムを離れて独立研究者として活動しているかたが出身母体の紀要論文でリジェクトされて抗議のための暴露、ということになるわけだが、普段は自陣営の横紙破りには肯定的なリベラル系の方々がルールを守れなどと発言しているのはやはり学問的真実より自陣営防衛か、と思わされるわけだけど、こうしたリベラルが学問の進展にどれだけ良きにしろ悪しきにしろ影響を与えてきたか、というようなことも振り返っていけると良いのではないかとは思った。
というようなことで清水さんの「ブッダという男」でTwitter検索をしてみると、概して大きな反応は「歴史的ブッダ」と「神話的ブッダ」は違う存在である、という主張が最も人々に響いているようで、この辺りは自分としては当たり前だと思ってきたことではあるが、やはりその辺りを実証的に明らかにされてみるとなるほどと思うことはあったわけで、その辺りの解像度がかなり上がったことは確かにこの著作の功績の一つなのだなと改めて思った。
これは「歴史的イエス」や「歴史的聖徳太子」などの問題とも絡むし、しかしその時代を生きる人たちにとっては「神話的イエス」や「神話的聖徳太子」が大きな役割を果たし、時には生きる支えになってきたこともまた確かであり、それは大事にしていきたいということがあるなと思った。
清水さんは宗教学者(というか仏教学者)だから「神話的ブッダ」にも暖かい視線を投げかけるわけだが、歴史学者はそういうものをこき下ろすわけで、そのあたりがリベラルな歴史家が嫌われる原因というようなことはあるだろうとは思う。「作られたイメージ」「虚構が支えてきたもの」というのは確かにあるわけで、「聖徳太子像」などはラジカルに抉られた痩せた「歴史的聖徳太子」も本当にそうかというのはより確認されていかなければいけないし、日本国家の起源の文化英雄である聖徳太子像もまた大切にし、日本の歴史の継続性を大事にしていくべきだろうと思う。文化に関わるものは伝承もまた重視されるべきなのである。
あと読んでいるアリストテレス哲学を基本的に取り上げている「対話のレトリック」や昨日借りてきた「テュルクを知るための61章」についても読んでいきたいと思う。
私はどうしても歴史系の方向性に惹かれる、というか歴史的な理解の方法が自分にとって一番理解した気持ちになるところがあるから、仏教学や哲学の論点、何が問題になっているのかというようなところは自分にとってはわかりにくい、というか面白みを感じないのだけど、いろいろなことを知っていくこともまた大事だなとは思うので取捨選択はしながら読んでいきたいとは思う。
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