教養について再度考えてみる
Posted at 23/11/07 PermaLink» Tweet
11月7日(火)雨のち晴れ
前線が通過したということなのか、朝方は強い雨が降っていたが、今は上がって日が差している。気温はかなり高めで、最低気温が16度。落ち着かない天気だが、とりあえず行事が一つ終わってほっとしている部分もある。
一昨日の夜帰郷し、朝の散歩を兼ねて大島の城東郵便局まで歩いてキャッシュカードを取りに行き、途中いろいろ回って帰ってきたら1時間ほどかかった。ちょうど通勤通学時間だったのでいつもとは違う風景が見られた感じ。昼前に出かけて地元のイタリアンでキャベツとベーコンのパスタを食べた後、日本橋に出てジャケットを見ようと思ったのだがあまりいいのがなくて買わなかった。その後大手町の方に出たのだが地下通路が迷路のようで普段歩いてないところを歩いているうちにかなり迷った。結局半蔵門線に乗って神保町に出た。
神保町では東京堂をのぞいたら井上日召の「一人一殺」が新装されて発売されていて驚いた。この人は昭和5年の血盟団事件の中心人物で、井上準之助や団琢磨を暗殺している。これは先年の安倍首相の暗殺に絡む再版のようだが、あまり筋が良くない。私は戦前の右翼運動というか永田鉄山暗殺に関連してその辺のテロ事件を調べていたときに読んだのだけど、なんだか適当なほら話が多く、まあ話を聞く分には面白いけどこういう人に煽動されるようでは困るなという感じがあった。
その後書泉グランデや古書店をいくつかのぞき、文房堂の喫茶室で塩キャラメルのケーキを食べて帰ろうと新御茶ノ水の方に歩いて、かげろう文庫で宮下啓三「メルヘン案内」(NHKブックス、1982)を買った。19世紀ドイツでのメルヘンの受け入れられ方とか、そういう社会との関わりみたいなことが立ち読みした感じでは面白そうだった。
自宅に戻ってどうも疲れが出たので洗濯などした他は大体横になってスマホやマンガや本を読んでいた。6時前に家を出て東京駅に出、丸善で本を少し探して斎藤淳「アメリカの大学生が学んでいる本物の教養」(SB新書、2023)を立ち読みしたら著者の「教養」観が示されていて、「事物に対する理解力や鋭い洞察力、思考力などのみならず、自分の人生哲学や守りたい価値観を明確に持ち、何かについて考えるたびに、そこに立ち返る。考える。行動する。また考える。行動する。その原理の源にあるものを「教養」と呼ぶ」としているのだが、これは全くその通りだと思った。
教養というものの重要性は絶対あるのにどのように表現したらいいのか迷っていたが、この定義は過不足ないと思う。日本における教養観も、元々はそういうものであったはずなのだが、やはり知識偏重な方向に流れてしまってそれゆえに衰退したところがあり、書名はなんというか胡散臭いのだが、「行動のための原点」という形で括れるのはある意味アメリカ的だと言えなくはなく、それなりに正しいのかなと思う。
竹内洋「教養主義の没落」を読んで以来、なんとなく教養についてどう表現していけばいいのか迷っていたところがあったのだが、この本と格闘してみて自分なりの表現が生み出せればいいなと読んでいて思った。
今朝はこの本について考えたことを書こうと思っていたのだけど、8時の特急で帰省していろいろやっているうちに疲れが出てきて就寝し、朝は起きたら6時半でゴミ捨てなどに忙しく、あまりまとまった読書はできなかった。この辺のところをしっかり読んでしっかり考えていきたい。
現代の教養の元になるのが数学と英語だ、みたいなことを読んだのだがこの本だったかどうだったか思い出せない。これは、現在の様々な情報や文献にあたるのに一番有利な言語は英語だということ、またAIその他コンピュータ関係にしても一番基礎になるのは数学だ、ということがあるから、これはまあそうだろうなと思う。しかし我々は日本人なので論理体系は日本語で組み立てているわけだから、まずは日本語力を増強することがより基本的な姿勢であるべきだろうと思う。日本語も英語も中途半端だと一見バイリンガルだが結局両方とも中途半端というセミリンガルと言われる状態に陥る危険もあり、まずは国語をしっかりやることが大事だと思う。
つまり、教養の基礎になるのが「読み書き算盤」であるというのは戦前からの基本であり、その読み書き算盤というのが現代では「国語、英語、数学」であると考えれば良いのだと思う。その上に「人文学的基礎=読解力」、「社会科学的基礎=人間が決めた様々なルールの妥当性と正否」、「自然科学的基礎=科学的方法論」みたいなものを載せていき、森羅万象を捉え、考え、行動するためのツールとして使いこなしていくのが教養というものなのだろうと思う。
具体的なことはこれから読みながら考えたいと思う。
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