「自分の属する世代」について考えてみた:モラトリアム世代、シラケ世代、バブル世代
Posted at 23/11/02 PermaLink» Tweet
11月2日(木)
昨日から11月になり、また違った種類の忙しさが出てくるが、自分の本分というかするべきことをしっかりやっていくことで自分の基礎を柔軟にかつしっかりとさせていきたいと思う。
昨日は「氷河期世代vsZ世代」みたいな世代論がTwitterで展開されていて、私などからすれば両方とも遥か下の世代だからどちらも感覚的にはあまり分からないところがあるのだけど、自分たちはどう呼ばれていたかということを考えると、「○○世代」と呼ばれて基本的にあまりいい感じ(嬉しい感じ)はしないよなということを改めて思った。
我々1960年代前半生まれは子供の頃からいろいろ言われていたが、新人類世代とかしらけ世代、モラトリアム世代とかバブル世代とかまあだいたい今攻撃される感じの世代で、ただ自分たちからすれば上の「団塊の世代」と相当戦わされたよなあという思いを持ってる人は多い、というあたりである。
新人類=ニューウェーブというのはしかしそうは言っても上の団塊の世代が切り開いた戦後の自分勝手な生き方みたいなものをより展開した感じというところがあり、80年代ニューウェーブのマンガ家たちを支持し、テクノポップを支持し、金持ってる人たちはユーミンや山下達郎を支持し、スキーにテニス、みたいな世界で金のない人たち(我々だ)は小劇場演劇とか戸川純とかそっち系に一生懸命になり、本当に金のある人たちはセゾン文化で金を落としていた、企業も芸術文化活動に力を入れていた、みたいな時代だった。
とりあえずの高度成長も安定し、国民文化を成熟させるというステージにあったのだろうと思う。80年代は私にとっては18歳から28歳で、時代は文系の時代、カルチャーっぽいことがステータスの時代だった。
そうは言ってもまだ携帯電話もほとんど出てきておらず、パソコンやましてやスマホなどはない。でも学生運動や労働運動は下火で、レーガン中曽根協調体制みたいな今の日米関係の基礎みたいなものができてきて、ソ連ではゴルバチョフがペレストロイカをはじめ、中国も鄧小平が改革開放を唱えた、みたいなまあ先が明るい感じの時代だった。
まあこうして書いてみると、90年前後の共産主義体制の崩壊という激変の前の小康状態の時代で、これからバブルに向かうという前のプラザ合意円高という明るさと影が交錯する時代でもあり、まあつまり「ジャパンアズナンバーワン」という幻想に酔うくらいのことはできた時代だった。
まあつまり、今考えるとオールド・ベルエポックであって、今の時代の原型がこの時代に作られたところはかなりあり、今はつまりそれが崩壊して廃墟になりつつある、という感じなのだろうと思う。今60歳前後の人たちのメンタリティの基礎はこの時代に作られた部分があって、その後のリストラや大不況の時代とかを生き延びつつも消費の甘い酒は忘れられない、みたいな感じではあるのだろうと思う。
われわれの世代は基本的にノンポリというか政治に無関心な人間が多かったが、ここにきて急に政治に目覚めたような人もいる。彼らは80年代に正義だった左翼的な因子を心の中に保存しながら生きてきて、中曽根レーガン体制から小泉ブッシュジュニア体制、安倍トランプ体制みたいなのを経て現在に至る中で、自分たちが正しいと思ってきたことは自分たちが動かないと実現しない、みたいなことを一念発起して動いている、みたいな人が結構いる感じがする。
私などは当時からやや政治的な傾向があって、社会党に投票するくらいの感じはあったが、そういうある程度の政治意識を持っていた人の多くは細川政権や自社さ政権で幻滅して右展開していった人が多い感じがするけれども、そこで転向せず素朴な市民リベラル意識を持った人たちがここにきて政治化し、左的な部分を表に出してきた感じだなと思う。
まあこの話は世代論というよりもどちらかというと自分語りに近いのだが、だから続くとしたらそういう方向で書く感じになる。自分たちがその時代に担っていたものは消費と文化ということなんだろうと思うが、すでにガンダムやヤマト、指輪物語や吾妻ひでお作品みたいなものも出てきていて、「おたく」文化も出てきてはいたのだけど、どちらかというと私はポップなサブカル系からハイカルチャーにかけてのあたりが遊び場だったので、今のおたく文化の隆盛はすごいなと思っている。「ポップなサブカルからハイカルチャー」あたりの分野も細々とは続いてはいるけれども、「おたく」は各世代でちゃんと再生産されているわけでやはり日本人のタチに合うところがあるんだろうなと思う。
まあそんな精神でとりあえず今まで生き延びられてきたのはまあ幸運だったということなんだろうなとは思うのだけど、この時代のそういう人間としてどういう役割を果たしていけばいいのかなと思うと、つまりは「知」にまつわるものを供給し続けていく、ということなんだろうなと思う。
明日は「文化の日」でもあるし、まあそういうことを書くのも一興だろうと思う。ちなみに私のファーストネームも「文化」を意味する言葉が含まれているので、私は「文化」という言葉は割と好きだ。
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