ディープステートとオバマ時代のアメリカ分裂

Posted at 23/10/11

10月11日(水)曇り

昨日も一日、降ったり止んだりの感じだったが、一昨日に比べると降っている時間は短かった。気温は、今朝は9度まで下がっていて10月も10日を過ぎ、秋の真ん中といえばこのくらいだろうなという感じ。寒い日もあれば比較的暖かい日もあり、秋という一つの季節があるというよりは、移ろう状態そのものが秋ということなのかなとも思う。冬の準備のようなことも、一つ一つやることも出てくる。

いろいろと余裕がなくて本が読めていないので、最近はネットに流れてくるいろいろな話について考察する感じになっているが、一つ有名な陰謀論を流しているらしいアカウントを見ていてなるほどと思ったことがあった。

そのアカウントはディープステートという言葉をオバマ元大統領に結びつけていて、オバマケアであるとかイランとの核合意というのはディープステートの陰謀ということになるらしい。こうした考えはトランプ前大統領も積極的に広めていたが、つまりは2008年から2016年のオバマ大統領時代に、アメリカの分裂が進んだということなのかなと思う。

オバマ政権はケネディ政権と並ぶくらいには理想主義的でベスト&ブライティストが国を主導する感じになっていたが、そうしたものは2016年のトランプ大統領当選で挫折を余儀なくされたわけだ。この時に「アメリカの分裂」が強く意識されたわけだけれども、実はオバマ時代がそのようになった大きな原因なのではないかということだ。

宗教右派勢力の伸長についてはブッシュJr.の時代にも取り沙汰されていたし、何より彼の時代は911に始まるテロとの戦争、ネオコンの時代だった。オバマの時代はアメリカの世界に対する関わりは減らしていこうという方向になったが、宗教右派というよりは取り残されたラストベルトの怨恨、のようなものがトランプを当選させる原動力になったのだろう。

ディープステート=影の世界政府みたいな観念は典型的な陰謀論だと考えてきたけれども、つまりはオバマ的な理想主義に対する反発、その背後にはレイシズム的なものもなくはないと思うけれども、そうしたものに対する象徴的な「世界の流れていきそうな方向」を動かしているのがディープステートである、ということなのだろう。

「自分は賛成できないがそっちの方向に世の中が変わりそうだ」というのを「ディープステートの仕業だ」と考えるのはあまり建設的ではないと思うが、説明原理として「ディープステートがそうやってる」というふうに説明するのはある種の言葉の節約になるのかもしれない。

ただディープステートはもちろん陰謀論なので「陰謀によってこの世は動かされている」という考えのさまざまな雑多なものが放り込まれるわけで、陰謀論アカウントを訳した日本語ツイートを見ても「mRNAワクチンもディープステートによって承認され広げられた」みたいな反ワクチン陰謀論みたいなものとして拡散されていたりして、こういうものには手を出さない方が良いよなあと思った。

国際政治にしろ国内政治にしろ、さまざまなプレイヤーがさまざまに影響しあって政策が合意されたり決定されたりしていくわけだけど、ある種の陰謀論というものがその影響力を持ちかねない状況が左右を問わず生まれているのが実情だなと思う。政治家や政党や宗教勢力や経済界など割とクリアな政治主体だけでなく、陰謀論についての生態や影響力の持ち方などについても知っておいた方が政治の動きについてはわかりやすくなるだろうなと思ったのだった。


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