寒くなった/寝たり起きたり/STEAM人材・STEAM教育/データサイエンスという新しい常識・新しい教養/「世の中についていく」ということ
Posted at 23/09/25 PermaLink» Tweet
9月25日(月)晴れ
昨夜は8時過ぎに寝落ちし、9時半に床に入ったのだが、起きたのは2時前だった。どうも寒かったのだが気温を見たら13度くらい。これは寒いなと思ってストーブをつけ、眠れない感じだったのでしばらく起きて本など読んだりしたのだが、少し眠くなったので毛布を増やして寝たのだが、あまり寝付けないうちにやることを思いついて作業場へ行き、そこで少しいろいろやることを算段したが眠くなったので横になったのだが、やはり寝付けず車に乗ってセブンイレブンに出かけてジャンプとヤンマガとスピリッツとコーヒーを買って戻ってきた。家に戻ってマンガを読もうとしたがそういう感じでもないのでとにかく暖まろうと風呂に入ったらだいぶあったまった。またとりあえず寝ようと思って布団を敷いて横になっていたがだんだん動きたい気持ちが出てきたので起きたのだが、時計を見たら6時になっていた。結局最低気温は11.6度。数日前より10度以上下がった。寒いはずである。
昨日は午後出かけてファミリーマートでコーヒーを買ったあと楓樹文庫で本を返し、借りたい本を見たが禁帯出になっていたので違うものを探し、「岩波講座世界歴史19 太平洋海域世界」を借りた。このシリーズはアフリカが面白かったのでラテンアメリカを読もうと思ったのだが17世紀までの範囲のものしかまだ出ていないようだったのでとりあえず太平洋地域の方を先に読むことにした。
諏訪湖の南側を通って岡谷まで走り、ナビを見ながら市立図書館へ行って「福澤諭吉選集第6巻」(岩波書店、1981)を借りた。これは「帝室論」を読みたかったからなのだが、今もしかしてと思って青空文庫を見たら掲載されていた。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/58605_72474.html
しかしこれもよくみると脱亜論と西洋事情が掲載されていないし作業中にもなっていない。何か理由があるのかわからないが、帝室論が掲載されていたことはよかった。読むのは借りてきた本を読めばいいが、書き込むのは青空文庫をプリントアウトして使えばいいと思った。
そのあとモールに行ってユニクロでジーンズを買う。最近右膝に穴が空いたのである。裾上げの直しの時間があるから先にユニクロで買い物をしてから書店へ行っていろいろ本を見ていたのだが、いろいろ考えて竹村璃通「データサイエンス入門」(岩波新書、2018)を買った。
昨日だったかTwitterで見かけてヤフーニュースで読んだ「GMOグループが初任給710万円」という記事を読んで、いろいろ現代という時代について改めて考えるところがあったからである。同時に情報系の大学の教員が集まらない、という話もあったがこれに照らし合わせると情報系の大学院生が新卒でこれだけの条件で企業に採用されるなら、大学に人材は集まらないよなあと思ったのだった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4cabc5aa403b89593f18fa7d06e284d2fecb244a
この記事の中では「STEAM人材」という言葉がキータームになっている。「STEAM人材」とは、
Science 科学
Technology 技術
Engineering 工学
Art 人文学・芸術
Mathematics 数学
の略で、2008年にジョージェット・ヤックマンというヴァージニア工科大生が提唱し、高等教育で評価されたが2011年にはオバマ政権のもとで初等中等教育にも広げられた、「STEAM教育」の概念からきているようである。これはもともとSTEMという言葉が先にあり、ヤックマンはそれにARTを加えて人文・芸術的教養を持った科学技術の開発者を育てる、というような意味で考えたのではないかと思う。
彼女自身はこれを“science and technology, interpreted through engineering and the arts, all based in a language of Mathematics”と称しているが、「工学と人文学(芸術)によって解釈され、全て数学の言語に基礎を置く科学と技術」とでも訳せばいいだろうか。
この言葉は解釈にしように多様性があるし、実際この言葉によってさまざまなことが語られているようなのでこういうものだと一つに定義することはできないのだが、GMOで採用した人を見ると「研究開発」「ビジネス」「クリエイティブ」の三つの分野において、特に研究開発職を多く採用し、AIや統計、ブロックチェーンを大学院で研究していた人が中心だという。現実にはTEMが中心ということだろうか。
いずれにしても「統計」はかなり重要だということは改めて思っていたのだが、最近よく聞く言葉でわからないこともたくさんあり、一度勉強してみようと思ってとりあえず目について、しかも岩波新書という文系にも読みやすい棚にあったということもあって、この「データサイエンス入門」を買ってみたのだが、これはとても当たりだった。
データサイエンティストというのは一言で言えば「データを処理し分析し、データから価値を引き出す」仕事、ということで、これが盛んになるためにはつまりは巨大なデータ、いわゆるビッグデータが存在することが一つの前提になるわけだが、それをもたらしたのがスマートフォンの普及だった、というのはとてもわかりやすい話だった。
データサイエンスが新たな産業を起こすのに不可欠、というような言葉はよくネットなどでも見ていたが、その具体的なイメージがうまく掴めないでいたのだけど、スマホの普及などが生み出した巨大なビッグデータ群がその取り組むべき対象だと言われたらなるほどと思う。
スマホは個人が常時携帯しほとんど行動履歴が記録されていくから、その情報の集積は「人々」の行動をかなり細かく知ることができる。これは通信技術の飛躍的発展がもたらしたものだけれども、それはまた科学研究の分野でも計測技術の飛躍的発展と相まって、これまで観測できなかったものが観測できるようになり、そのデータも大幅に増えたのだという。例に上がっているだけでもゲノムの特定などによって飛躍的に発展した遺伝子解析や人工衛星などを含む天体観測のための望遠鏡、超音波検査、CTスキャンなどによる体内の可視化、そのほか科学の方法に巨大なデータ群をどう処理するかという問題が起こってきたというのもここで符合する。
通信速度はどんどん速くなり、メモリやディスクの容量も増加し、そのコストも低下してセンサーも低価格になるなど、データは増えるばかりだから、そのデータから価値を引き出すことの重要性が注目されているのは当然だろうと思う。
そしてそのために必要な知識や技量というのはまずは科学的な知識や技術、方法を組み立てる工学、それらを支えるコンピュータを動かす数学がまず第一に求められることは確かで、しかしそこから「価値を引き出す」というところでビジネス的なセンスや人間の幸福に関する分野の理解、すなわち人文学的なものが、またそれをどう表現するかでアート的なものが求められる、ということがあり、そこに「STEAM人材」の話が出てくるのだろうと思う。
データサイエンスはそもそも科学か、という話も面白かったが、データサイエンスという概念が提唱されたのは2009年でジム・グレイとトニー・ヘイトいうマイクロソフトの技術者によるもので、彼らは大規模データの重要性に気づき、これに基づいて研究する科学の新しいパラダイムをデータサイエンスと呼んだ、ということのようだ。
第一パラダイムがギリシャ以来の経験科学、第二パラダイムがニュートン力学のような理論と実験の組み合わせで、われわれが科学と考えるものはこれなわけである。第三パラダイムが複雑な現象をコンピュータでシミュレーションして解明・予測する分野を指し、第四パラダイムがビッグデータから新たな科学的発展をもたらすデータ中心科学・データ駆動型科学である、というわけで、これが「データサイエンス」である、というわけである。
データサイエンスは必ずしもビッグデータでないデータももちろん使うのだが、そもそもが科学的方法における重要性という点でビッグデータの価値が高く評価されるようになってから出てきたものだから、ビッグデータが先にある概念だと思って良いと思う。さまざまな科学が現在データ駆動型で進められている、というのもさまざまな報道などを考えてみるとなるほどと思うし、そうした方法論の中心としてデータサイエンスがあると考えれば良いのだろうと思う。いわば天文学における光学の役割や、化学における実験器具の精密性の役割みたいなものにやや近いと言えるようには思う。
社会においてビッグデータやデータサイエンスの重要性が認識されるようになったのはスマートフォンの普及が大きいわけで、それがもたらした社会の変化が決定的に重要だったということなのだろう。初代のiPhoneは現在のスマホとほぼ同じ操作性や機能を持っていて、いわばその先進性が現代の展開を招いているという指摘もスティーブ・ジョブズの最後の遺産の巨大さを思い知らされる。
データ集積には端末だけでなく通信も重要になるが、5Gが4Gの100倍の速度を持つというのもへえっと思ったが、LPWAという通信技術は低速で省電力なのでIoT機器に多く使われているといい、おそらくガスや電気のスマートメーターなどにこの技術が使われているのだろうなと思った。ガス漏れを検知したら自動で止まるというシステムは以前からあったが、自分の記憶では電話回線が使われていたので、LPWAが使われるようになるとはるかに安価にシステムを駆動できるだろうなと思った。
このように考えていくとビッグデータというのはいまだ最大値のわからない膨大な可能性を持つ資源だということになるわけで、2017年ごろから「21世紀の石油」と言われるようになったという。元々は2011年の世界経済フォーラムのレポートで出てきた表現だというが、資源としての重要性という意味ではすごくわかりやすい表現だと思う。こうしたキャッチーな表現がポンポン飛び出してくるということもこの本の読みやすさにつながっているのだが、データサイエンスという分野の魅力と活気というものがそういう表現を生み出しているという面もあるのだろうなと思った。
***
とりあえず「はじめに」と第1章第1節のみ読了。要は全然知らない分野なので新しいことだらけなので、自分の理解したところを書くだけでこれだけの長さになった。
読んでみて今まで自分の知らなかったこと、何かあると思いながらなんだかわからなかったことのかなりの部分がわかった、というか何を知らなかったかがわかった、という感じになって、非常に達成感と満足感がある。まだ全然とっかかりに過ぎないが、今までとにかく漠然と「世の中についていけてない」という感覚、かなりいらいらしたものに近いものがあったのだけど、何を知らなかったのか、のおそらくはほんの一部が分かったことによって、だいぶ自分として世の中についていけてるとは言わないが、どう頑張れば少しは世の中についていけるのかが分かったという感じがある。
おそらくはビッグデータとかデータサイエンスという言葉自体にわりと生理的な拒否反応がなくもなかったと思うし、一番大きいのはそういうことを考える時間や精神的余裕がなかったということなのだが、少なくとも「現在の世界を理解するための必要な(最低限の)教養」としてのレベルくらいには理解しなければならないことだというのがよく分かった。
スマートフォンやLINEの普及なども基本的にあまり好きでない感覚があって、パソコンがあればいい、みたいなところがあったのだけどやはりそういうスタンスでは「世の中についていく」というのは難しいのだなと思う。いやでもとりあえずやってみなければならないことというのはあるなと思ったし、やってみたら思ったよりすごい世界が広がっていて驚いた、みたいなことも結構あるわけで、少なくとも新しい技術というものにはなるべく価値中立的な感覚を持って臨むべきだなと思ったのだった。
「アートと人間」とか「保守とは何か」みたいなテーマはそれはそれとして追いかけていこうと思っているけれども、ある意味での「新しい常識」「新しい教養」のようなものとして、データサイエンス周りのことをある程度までは理解していきたいと思ったのだった。
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