福澤諭吉:近代化という方法論に賭けた愛国者/ジャンププラス:「鶴子の恩返し」と「死にたい魔女と殺したい店主」
Posted at 23/09/29 PermaLink» Tweet
9月29日(木)曇り
今朝も3時過ぎに起きてしまったので、ゴミを捨てたりマンガを読んだり朝やることは大体終わったのだが、眠い。
昨日は懸案になってたことの一つが目処が立ったので少し安心したのだが、根本的な問題はなかなか向上の兆しを見せないのでまだいろいろ気を揉むことが多い。
週も後半になり週末が見えてきてはいるのだが、少しずつ物事をやってはいても毎日の疲れは溜まっていくので、最低やらなければならないことはやるのだがやっておきたいことみたいなのがなかなか片付いていかない。このサイクルもどこかでなんとかしたいなとは思う。
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マンガの感想を二つ。ジャンプ+で連載されている作品で金曜日に更新されるものなのだが、一つは横山左「鶴子の恩返し」。堅物教師・猫門が亡くなった姉がコンセプトカフェで働いていたらしき秘密を知り、行ってみるとおとぎの国をコンセプトにしたカフェだったのだが、そこで「妖精」として働く「鶴子」の接待を受ける。この鶴子が実はこの教師の勤めている学校の生徒で、次の学年で担任になってしまった。「コンカフェで働いている」鶴子と「コンカフェに行った」ことを知られたくない猫門は二人の事情を誤解しあって・・・というラブコメの王道の「勘違いのすれ違い」ドラマ、という感じなのだが、「鶴子=鶴未雪織」の可愛さと猫門のまじめ腐ってはいるけどどこかコミカルな受け答えが味わい深い。これはインディーズではないので単行本が出ると思うが、面白そうなので期待したい。
https://shonenjumpplus.com/episode/14079602755253740083
もう一つはインディーズ作品のMagiko「死にたい魔女と殺したい店主」。「死ねなくて苦しんでいる魔女」を救うために「殺してあげる死立て屋」という設定の話なのだが、どうやっても死なない魔女が妄想が捗るタイプの女性で、これもまたすれ違いが面白い。設定は19世紀初めのイギリスになっているが、服装の感じから言えば19世紀後半の方がいいのではないかという気がする。インディーズだからなのか毎週短いページで更新していく感じで、「ジャンプにしてこの自由なペース」が面白いなと思う。毎回少しずつミステリアスな物語が開かれていく感じで、よく考えたら相当ファンタジーな世界なのだがコメディを基調に持ってきているので楽しめるというか。この辺は日本の長い少女マンガの歴史が生み出したものという感じがするが、魔女とか死立て屋という設定についてもこれから掘り下げていくのだろうと思う。
https://shonenjumpplus.com/episode/14079602755253725822
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福澤諭吉「帝室論」を少し読む。政治に関わらないなら皇室の存在意義は何か、という問いに対して「浅見も甚だしい」と非難する仕方が可笑しかった。政治というものは元来「殺風景」なものなので、国会がこれからできると言っても一つの党は真夏の酷暑のような主張をし、反対党は真冬の酷寒のような主張をするだろうと。それに対して皇室は常に春のような存在であり、対立から生じる怒りを穏やかにする「緩和力」を持っている、というわけである。現在でも皇室や王室に求められているものは福澤の主張とあまり変わらないなと思うのだけれども、それだからこそ王室や皇室のスキャンダルというものは炎上して手がつけられないようになる、という面もあるよなと思った。
福澤諭吉という人は思想家というには実践的で、実際自分でも行動しているし、「西洋事情」などでは欧米がどうなっているかを伝えるジャーナリスト的な側面も強い。当然ながら後進の指導にも力を入れて、それは現在の慶應義塾の隆盛に繋がっている。基本的には文明開化の思想家というべきだが、そのもとも帝国主義時代にあって日本がいかに日本らしく生き残っていくかという痛切な目的意識があるわけで、彼らのおかげで日本は帝国主義時代に植民地化を免れたという面は強い。
中津藩士、すなわち陪臣の身から幕府に仕えたが、明治維新で幕府が崩壊すると野に下り、政府の要職につくことはなかった。その地点から勝海舟を批判しているのはよく知られているが、極めて冷静な愛国派の知識人というか、愛国とか憂国というとファナティックなイメージがすぎるのでそぐわないのだけど、日本がいかに生き残っていくからに軸足を置いた、その点において最も強力な野党精神を持って政府を批判するご意見番というか、勝海舟のように拗ねた感じもない、愛国ゆえの筋金入りの近代主義者とでも言えばいいのか、近代化という方法論に賭けた愛国主義者というか、もう少し落ち着きの良い言葉はありそうなのだが、まあそういうものかなと思う。
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