世界は公正なのか/防衛費が伸びてようやくできるようになったこと/湾岸戦争のトラウマと日本周辺有事

Posted at 23/08/19

8月19日(土)晴れ

昨日は午前中母を病院に連れていき、午後は仕事で、夜妹が東京から来るなど、まだお盆行事は終わらないという感じ。昨日の朝は妹たちが整理してくれた母の荷物の片付けによって出た大量のゴミ袋を出しに行ったりしていたら仏壇のナスやきゅうりの牛や馬などを処分するのを忘れてしまった。

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公正世界仮説という社会心理学上の概念があるけれども、これは普通「世界は公正であると無意識に考えられているので、何かひどい目にあった人は何か悪いことをしたからそうなったのではないかと考えられがち」というふうに悪い面で語られるものであるのだが、私自身は世の中はそんなに公正ではないと思っているので当てはまるのかなあとは思うのだけど、ただ多くの人が「世の中は公正だ」と考えている社会はそんなに悪い社会ではないなと思う。

逆に言えば政治家の目標は一般の人々に「世の中は公正に運営されている」と感じさせることだと思うし、「世の中が公正に運営されている」と感じる人が多ければ世の中は安定するだろう。逆に言えば、世の中が安定しているからこそ「世の中は公正に運営されている」と感じる人が多いのかもしれない。

「世の中は理不尽はあるが大きく見たら公正」と感じるか、「世の中は大きく見たら結構理不尽」と感じるかはかなり大きな違いだし、後者のように感じる人が犯罪に走りがちだとか、逆に犯罪に走る人がそのように自己を正当化することもあるだろう。革命家や運動家なども後者の世界観に立つから行動が過激になるわけだけど、後者の世界観を持っても「世の中は理不尽だがそれを少しでも公正なものにしていくよう頑張るしかない」と考えている人もいるわけで、そこはラディカルとモデレートの対立の根源になるわけだけど、漸進主義の方が自分の体質には合うなと最近は思う。

公正な世界にあっても理不尽な目に遭う人はいる、という認識は必要なので、そういう気の毒な人に対して助けになるような仕組みがあることは世の中をより公正にすると思うし、実際そういう制度はあるわけだが、主体的にそれを使わないとそうはならないとか理不尽から完全に逃れることはできないので、まあその辺のところは受け入れあっていくしかない部分はある。そこへ権力関係が付け込みやすいところではあるわけだけど。

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「日本人が知っておくべき自衛隊と国防のこと」ずっと読んでるが、やはり知らないことが多いし、また説明されている内容もよく整理されている一方でわかりやすく、また官僚の作文にはない一つ一つの意味づけの納得性みたいなものが感じられて、こういう本ばかりなら読書も楽しいのになと思うようなものである。

防衛三文書の話を読んでて割とショッキングだったのは、2013年の防衛大綱ではじめて統合運用の評価が行われるようになったという話で、それまでは陸海空がそれぞれ防衛力整備を行っていたと。それ戦前とどう違うんだよという感じ。戦前の陸軍と海軍の対立や予算獲得合戦が日本の進路に少なからず影響したことは知られているが、戦後もそういうところはなかなか改められなかったのだろうか。

防衛費が5年で43兆円の予算とかなり増えているが、戦闘機やイージス艦が少し増えるだけだという。何に使われるかというと、今まで節約に節約を重ねてきて戦闘機の部品が足りなくなると一機を犠牲にしてそこから部品を取って整備してきたとかやってたらしい。(これを共食い整備というのだそうだ)だから今度の予算はそれをちゃんと実数通り動かすのに使われるのだという。

なんだかすごい話だなと思うが、似たような話は聞いたことあって、日米で演習するとき模擬弾だったか何かについて、自衛隊は演習後に全部回収するのだそうだが、米軍は使いっぱなしなので、「さすが軍隊は違う」といったというほんとにいじましい話だった。動くべきものをちゃんと動かしてちゃんと能力を発揮させるということ自体に防衛相自衛隊の本気がうかがえる、という話。まあそれだけスクランブルも増えてるし、安全保障環境悪化の中で任務自体もふえているということなのだが。

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湾岸戦争の時に日本はお金を出したのにクウェートがワシントンポストに出した広告に名前が乗らなかったことで大ショックを受け、「やはり人的支援をしないとダメだ」と日本の自衛隊の行動についてトラウマになり、大きな変化が起こったことはよく知られている。

その時に実際何があったのかを少し読んでみると、ドイツは日本と同様に資金援助だけだったが名前は掲載されていて、アフガニスタンや韓国、ハンガリー、スウェーデン、トルコ、ホンジュラスなどは人を出したのに広告には掲載されなかったのだそうだ。

これは自衛隊の行動制約を減らしたい勢力の自分の主張の正当化に使われたという見方もできるわけだし、単なる事務的ミスとクウェート側が言ったという話もあって、どこまで本当なのかはよくわからないのだが、「人を出せ」という雰囲気が主にアメリカ方面からあったことは多分確かなんだろうと思う。のちのイラク戦争の時も「ブーツ・オン・ザ・クラウンド」と言われたという話も同じようなことなんだろうと思う。

あの当時は、クリミア戦争の時にトルコを支援したのが英仏だけでなくサルディーニャ王国があり、それはサルディーニャがイタリア統一を図るときに英仏を味方にするためだったということも言われていて、「友軍とし戦うことの重要性」みたいなものは強調されていた。

まあそれはそれで正しいのだと思うし、今そういう方向に行ったことは日本周辺有事に対する対応としても正解だったと思うのだけど、まあいろいろあるよなと思うことはなくはない。

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