「2.5次元の誘惑(リリサ)」142話「何者の夢」を読んだ:「淡雪エリカの志の高さ」と「リリサの答え」

Posted at 23/07/22

7月22日(土)晴れ

夏休み前(あるいは突入直後)ということもあるのか、世の中的にも大量のコンテンツが投入されていて、自分が見たいもの、読みたいもの、考えたいもの、書きたいものが溢れているのでさてどれから手をつけようという感じになっているが、とりあえず今一番書きたいのは今日更新された「2.5次元の誘惑(リリサ)」142話「何者の夢」についてかなと思う。

とりあえず気になっているものを列挙しておくと、「君たちはどう生きるのか」について新たに考えたことや新しく入ってきた情報について、昨日の金曜ロードショーでやっていた「もののけ姫」と網野善彦関連のこと、ツイッターのコミュニティノートについての議論、それにツイートを読んでてかなり読みたくなってきた芥川賞受賞作品の市川沙央「ハンチバック」、というものがある。

そしてそういうものに、特に「にごリリ」を読んでいて刺激された自分の「志」というものもある。それら全てのことについて考えて進めたいし書いていきたい感じがある。

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https://shonenjumpplus.com/episode/4856001361542962493

「2.5次元の誘惑(リリサ)」142話感想。134話から続いてきた淡雪エリカ合同春合宿編のエンドであり、また127話から続いてきた「リリサはなぜROMを作るのか」編のとりあえずのエンドでもあった。次回以降どういう展開になるかはわからないが、とりあえずは日常に戻ってROM作成作業をする、ということになるのだろうなと思う。いきなり夏コミに突入、という可能性もゼロではないが。

この合宿編の締めくくりがユキとエリカの話になるというのはいろいろな意味で感心した。私自身は「最高の一枚」以外にもどんどん写真を撮ったり美花莉たちの話も入ってくるのかなと思っていたのだけどその予想は外れたのだけど、読んでみるとこれ以外にないよな、という締めくくりだった。

ユキの志「コスプレを馬鹿にした奴らを見返してやりたい」「コスプレイヤーって存在の格を上げたい」もすごく伝わってきた、というかユキがこんなにコスプレ愛が強かったということにちょっと驚いたのだけど、エリカの夢「この世界のコスプレの見方を変えてやろう」もわかって良かったし、ユキにその原点を確認させるカギをリリサが握っていた、という結末は最高だった。「今の私(リリサ)がユキさんが生んだアートとも言えませんか?」というリリサの言葉は、「あなたはこれだけのことをしたんですよ!」という実績を見せつけることでエリカに「リリサちゃんみたいな子が現れるのが私たちの夢だったよね」と言わせる。

「私は空虚な「何者か」ではない」と気づくことができたユキもさらにパワーアップするだろう。まゆり先生(まゆら様)がリリサたちに、「淡雪エリカを目指して欲しい」と言ったのもここまできたらよくわかった。目指すべきはその「志の高さ」なのだ。

このマンガをずっと読んでるから、というか読むことによって私自身も「コスプレってすごいな」と思うようになったし、「それを作り上げてきた人たち」がいてこそなんだ、というのがよくわかる話で、この作品の本当の、いや影の主人公は「コスプレ」そのものなんだなとしみじみと思い、自分自身も襟をただされる思いがした。

コスプレをアートという角度から掘り下げた淡雪エリカ編は高度な内容だったと思うけど、それがちゃんとジャンプ作品になっているのがすごい。また、指摘を受けて気づいたが、753♡はすでに4巻25話でコスプレは芸術だと言ってるのを確認し、実はこの作品はもともとコスプレ自体をアート=芸術と捉える観点を持っているのだなと改めて思った。

繰り返しになるが、エリカの夢が、コスプレをバカにした奴らを見返してやる!というルサンチマンだったのは胸熱だったし、「コスプレの格上げ」ということに二人して取り組んできた同志だというのは本当に大きな話になったなと思う。エリカがいて、四天王がいて、そしてリリサたちコスプレ5人の新星の世代。コスプレの歴史を担っているその中心にリリサがいるというのも読者としてもとても嬉しく、私たちは何かすごいものを読まされているのではないかと戦慄する思いさえした。

ユキの回想の中で、教授がいう「度し難いものになれ」というのは、本来「度し難い=救いがたい」という意味なので最初は意味がよくわからなかったが、「計りがたい、測ることができないほどスケールがでかい、内容がすごい、驚くべき、アメージング」みたいな意味なんだろうと思う。それを実行することはそのまま「コスプレをバカにしたやつらを見返す」ことになる。この教授の指導の正確さというのもアメージングなんだよなあと思った。

また132話でユキが言っていた「アートとは作品と鑑賞者の間にできるもの」という話がここまで展開するとは思わなかった。「アートとは間関係性である」とでも言えばいいのか。なかなか神がかっている。

また作劇上のテクニックでいうと、夏合宿は完全身内のみだったからラストのリリサの写真ですぐ夏休み明けに繋がり余韻が少なかったが、今回は合同合宿だったから二つ(以上)のストーリーが絡み合い恋愛とROM製作の二つが解決してリリサの写真が撮られた後も、ユキたちの話がエピローグになりすごく余韻のあるエンドになったと思う。

リリサと奥村の「同志であり人間としても愛を持っている」という問題は美花莉その他を含む彼らの関係がこれからも続く以上、オープンエンドにならざるを得ないので、淡雪エリカ編のラストをユキとエリカの話で締めたのは作劇上ベストの選択だったよなと思う。こういう細かいところのテクもどんどん充実して来ているのもすごいと思う。良い意味でとてもウェルメイドであり、良いお酒を飲んだ後のあと口の余韻が長く残るような、そんな合宿編エンドだったなと思った。

うまくまとまっていないところもあるが、今日のところはここまでで。

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