恋愛は「必需品」から「趣味の品」になりつつあるのか
Posted at 23/06/18 PermaLink» Tweet
6月18日(日)晴れ
昨日はずっと職場にいた(割と洞窟効果があって涼しい)ので気づかなかったが、当地でも30度に達して真夏日になっていたらしい。梅雨の晴れ間というのはかなり暑いものだが、昨日はそんなに湿度も高く感じなかったので過ごしにくいというほどでもなかった。仕事中に近くの工事の音が聞こえて土曜日なのに工事してるのかと思ったが、外に出てみると近所の人がみんな出てきていてやはりうるさいのだなとなんだかおかしかった。
仕事の後、いつものスーパーに行くのも気が変わらないので違うところに行ってみようと足を伸ばしたら、あれっと思うところにクロネコヤマトの集配所ができていて、ということはと思って以前あったところに行ってみたらどうも廃止されたようだった。古い方の集配所のそばのスーパーで夕食の買い物をしたのだが、もう惣菜的なものがあまり残ってなくて、煮物と鶏レバーの煮付けという不思議な組み合わせになってしまった。
近くの家で作業の音が聞こえてきてうるさいなと思いCDをかけて別の作業をしていたのだが、「脳内革命」をかけていたらかえって聴覚が研ぎ澄まされてしまい、植木は終わったようなのに遠くで吠え続けてる犬の声が気になるようになってしまって参ったなと思う。ものを集中してやろうとするときに周りの音というのは本当に気になってしまった。これは若い頃はそうでもなかったのでやはり何かの衰えと関係があるのだろうと思うのだが。
***
恋愛に関するツイートを見て思ったことを。最近の若い人は恋愛をめんどくさいと思うようになってきている、という話は割と言われるようになってきているが、確かに「恋愛」というものが「必需品」というよりは「趣味の品」になりつつある感じはして、その方が人類史的には普通なのかなという気はしなくはない。もはや恋愛は恋愛好きという趣味の合う人同士でしてればいいものなのかもしれないが、まあそうはいかないのが恋愛ではあるけどね。
ただ、昔は「誰にでも恋愛をする権利はある!」みたいな感じで当たって砕けろ的なことが推奨されていたのが、今では「アタックされた側の気持ちを考えろ」的な感じのことが強く言われるようになってきていて、昔に比べるとそういうハードルは上がっているのではないかと思う。ただこれは恋愛工学的な人たちも言ってるように「アタック≒告白」しているうちに慣れてくるというかこなれてくる面は必ずあり、どういう言い方なら良くてどういう仕方ならダメなのかとか、脈のあるなしの読み方とかそういうのは経験値が大きいわけで、最初は派手な失敗から始まる人も多いわけだから、その失敗に社会がおおらかであるかどうかは「恋愛ができる人」の割合に大きく関わっているとは思う。これは仕事面でもアメリカは失敗におおらかで再チャレンジが可能だが日本は一度失敗すると浮かび上がれない、みたいな話と似たようなもので、恋愛に関しては昔はもっとチャレンジできた気がするが、最近は相当厳しくなってるのかなという感じはする。
「恋愛」が「普通のもの」から「ある程度特殊性のあるもの」に変わってきているというのはいろいろ理由はあると思うのだが、一つにはフェミニズムなどの影響でピューリタニズム的な雰囲気が社会に強くなってきていること。ネットなどを見ていても社内恋愛や社内結婚が難しくなってるみたいな話もあり、それは自分が経験してないからわからないが、読んでいる限りではそういうこともあるのかなと思う。
こうなってくると恋愛周りのトラブルが増えるのかもしれないなと思う。16歳未満の性交同意権剥奪などは、全く子どもたちに相談しないで法律化されたわけで、こういうことをされてしまうと未成年にも政治に参加する権利をよこせと言いたくなる子どもたちはいてもおかしくないように思う。子どもの言うことをよく聞け、とか誰が言っているのかと思うが、そう言う意味でめちゃくちゃ非民主的な時代になってきてるように思う。
で、こう言う社会の傾向というのは実は「恋愛に対する警戒感」から出てるのかもしれないとか思った。
恋愛というものはどんなに理性的な人間でも愚かな行動をさせるものであり、人生における最大の波乱要素の一つであって、それは自分の身に起こることかもしれないし、自分のパートナーに選んだ人に起こることかもしれないし、自分の子どもや自分の親に起こることかもしれない。まだ独身の間の、自立した大人の恋愛であってもさまざまなことが起こるわけだから、独立してない子どもや既婚者、分別があると思われた父親やもうそういうのがないだろうとみなされがちな老人や優しい母親、社会的地位のある人や場合によっては政治家や国王にまで突如「恋愛」が降りかかると、自分だけでなく周りの多くの人間に多大な影響を及ぼす。
これは理性的なレベルの話ではないので、ある意味自分ではどうにもならないことでもあり、周りの人を不幸にしてでも自分の意思を貫くか、それをスッパリ諦めるかのどちらかということになりがちで、なかなかその中のよりベターな結論みたいなものを導き出すのは難しいだろう。何を得て何を諦めるか、そして周りの人間への影響をどう考えるかということは、リアルにおいても文学作品やマンガなどにおいても大きなテーマになっている。
最近読んでる漫画では「2.5次元の誘惑(リリサ)」の主人公・奥村がまさにそうで、子どもの頃に恋人を作って家を出て行った母親に捨てられたことがトラウマになり、極度の女性不信から次元の女性への感情を失い、2次元のヒロイン・リリエルへの愛に生きてきた、という設定になっている。その奥村の閉ざされた心がリリエルのコスプレに情熱を燃やすリリサや心が閉ざされた時代からずっと奥村を慕い続ける美花莉、またコスプレに関わる仲間たちによって徐々に開かれていくが、「愛するということ」、特に「恋愛」ということに対して強い不信感を持っていることはまだずっと続いているわけで、これが今後どうなっていくのかが物語の重要な要素になっている。
だから恋愛というものに社会がある程度の警戒心を示すことはそんなに不思議なことではなくて、だからこそいわゆる封建道徳やピューリタニズム的な思想によって恋愛は規制されてきた。戦後になって「結婚は両性の同意によってのみ成り立つ」という結婚・恋愛観のある意味での革命が行われたことによってかなり自由化はされてきていたが、自由恋愛に豊かさが加わって楽しいだけで行けていた時期はともかく、日本が貧しくなって自由に恋愛することでより貧しくなる、という可能性が大きくなると恋愛自体に対する警戒感も強くなってきたということはあるのだろうと思う。
「好きな人と恋愛して結婚し、何人も子供を持って幸せな家庭を作る」というのは80年代ニューファミリー的な一つのステロタイプといえばそうなのだが、そういうステロタイプに支えられて人は恋愛し、結婚し、子供を作っていたから、ある程度の人口が維持されていたという面もあると思うし、そういう意味では「恋愛の称揚」は「経済の好調」と相まって人口政策にプラスに働いていただろうと思う。
しかし経済が下降するとともに「多様な生き方」が持ち上げられるようになって、逆にいえば「恋愛→結婚」という流れの負の面もスポットライトが当たる、というか強調されるようになって「若者の恋愛離れ」「結婚離れ」が起こってきた、というところもあるだろうと思う。
70年代や80年代のアイドルの時代には「初めてのれんあい」みたいなことを歌う曲が多く、また恋愛に不器用な男子を愛おしく思う、みたいな曲もあって、そういうものに励まされた男子も多かっただろうと思うのだが、最近はそういう寛容な内容なものはあまりないように思う。
最初の論旨に戻るとつまりは恋愛というものは誰にでも開かれた自由なブルーオーシャン的なものから、割とレッドオーシャン的ないろいろ面倒なものになりつつあり、さまざまな条件を満たした勇者だけがそこにチャレンジできるある種の魔界的・ダンジョン的なものになってきているのかもしれない。ゲームならダメならリセットすればいいがリアルの恋愛はリセットはできないしトラウマが残る可能性もある。
さまざまなことは考えるのだが、どうもなかなか本質に至らないのだが、まあ思考実験としてとりあえずここまでのところは書き残しておこうと思う。
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