「心構え」を持つこと/現代アートの系譜:デュシャンからウォーホル、村上隆まで
Posted at 23/06/06 PermaLink» Tweet
6月6日(火)薄曇り
昨日は9時前に寝たが、2時過ぎに目が覚めた。もう少し寝ようかと思ったがあまり寝付けないので動き出した。5時間は寝ているのでそんなに少なくはないのだが、体を動かすことが少なく頭を動かすことが多いとどうも睡眠時間は短くなる感じがする。もう少し体を動かすべきだなと思う。
寝る前にいろいろ考えていて、自分のそれぞれの仕事ややるべきことの問題意識をはっきりさせようと思い、ノートを見ながらその分野の問題意識について考えたのだけど、結局はどの分野においても「〜についての心構えを持つ」みたいなことに落ち着いた。「人生についての心構え」はちょっと考えにくいが、ある分野についての心構え、例えば東京と実家と二つの拠点で生活している、「二拠点生活の心構え」みたいなことだとまだ考えやすいなと。それぞれ考えだすといろいろ考えるべきことがあることがわかる。ノートもただ断片的に記録すればいいと言うわけでもなく、「方針」が必要なわけで、そのためには「心構え」がいる。人生についての心構えができていれば、部門別の心構えは特にいらないのかもしれないが、逆に部門別の心構えを作ることによって人生についての心構えも考えやすくなる、と言うこともあるのではないかと思った。
と言うか、多くの人は就職するときに「就活の心構え」を持ったり、ないしは社会人になってから「社会人の心構え」を持ったりする人が多いのではないかと思う。ただそれが「自分らしさ」とどれだけ近いか、あるいは離れているかで仕事に対する対し方、あるいはその大変さの度合い、迷いの起こりやすさ、挫折した時の立ち直りやすさあるいはにくさ、みたいなものが変わってくる気がする。だから、本当は仕事につく前に「その仕事に対する心構え」、あるいは「社会人としての心構え」を作っておいて、実際に職についてから微調整する、と言うのがより挫けにくいことにつながるのではないかと思う。自分はあまりそう言うことを考えていなかったからかなり試行錯誤が多かったけど、早めにそう言うものを作っておいた方が迷ったときにその「心構え」に帰って考えてみて自分の選択を決める、と言うことがやりやすいのではないかと思う。だからその意味では心構えというのは「原点:オリジン」とか「初心」というものと重なるものなのだと思う。
そして、朝考えるならごちゃごちゃしたことよりも、そういう「心構え」について考えてみるのが自分の中がスッキリするなと思ったのだった。
***
筧菜奈子「いとをかしき20世紀美術」(亜紀書房、2023)読んでる。マルセル・デュシャンに始まり抽象絵画、シュルレアリスム、抽象表現主義(ニューヨーク派)、ポップアートというところまで読んだ。元々は抽象表現主義について知りたかったから読み始めたのだけど、ちゃんと読むと20世紀美術の「流れ」がよくわかったし、それぞれの間に「系譜関係」みたいなものがあるというのもわかって面白かった。
19世紀の新古典派・アカデミズム絵画までは具象で特に問題なかったのが写真技術の発明によってただ単にリアルに実物を写すだけなら「誰でも」写真に撮れるとなったときに、美術あるいは絵画がどのように試行錯誤を始めたか、ということをテーマに考えれば印象派や後期印象派、象徴主義や表現主義、キュビズムや未来派なんかも考えなければいけないけれども、この取り出し方自体が一つの考え方を表しているわけで、ダダの元祖とも言えるデュシャンからネオダダ、ポップアート、ネオポップという「大量生産・既製品ぽさ」を現代とみる考えが一つの流れにあり、抽象絵画から抽象表現主義へという写実性を捨象しようという流れがあり、またフロイト的な「無意識」を描くシュルレアリスムがあり、というのが系譜ということになるだろう。それらの意味で20世紀絵画はコンセプチュアルであるわけで、ということは「絵とき」とか「対話」が必要ということになるから、この本のようなマンガを使った解説書というのはとても理解の助けになると思った。
特に勉強になったのはポップアートについてで、今まで何が良いのかあまりよくわからないところが多かったのだが、デュシャンの「レディメード」の思想が受け継がれたのがポップアートだ、という説明でようやく一つの線がつながり、なるほどと思った。
難解なデュシャンと大衆的なポップアートの間にはネオ・ダダがあり、ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズは難解な抽象表現主義よりもデュシャンのレディメードに注目してゴミに近いものを使ったりアメリカをテーマにしたものを制作したりした、というのはなるほどと思った。
ポップアートといえばウォーホルなわけだけど、ウォーホルは「自分は徹底的に表面的な存在である」と主張しながら「死というテーマにまつわるもの」を制作し続けた、というのもなるほどと思った。それは自分が感じていたことでもあったのだけど「マリリン・モンロー」の連作は彼女の訃報を聞いて制作を始めた、という話を読むとなるほどとうなずかされた。自分の感覚に裏付けが得られたようで納得感があった。
また80年代に起こったネオポップのムーブメントにはキース・ヘリングや村上隆、奈良美智などが含まれていると考えられているというのを知り、ここでも現代に話がつながって面白かった。
こういう話は当然ながら大学の美術史の現代アートの授業などでは取り上げられることなのだろうと思うが、自分が大人になってからの美術史を大学の時に学ぶことはできなかったわけだから、なんというかとても興味深い。
あと残っている2章はコンセプチュアルアートと環境アートで、ある意味両方とも関心はあるので楽しみにしたいと思う。
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