「マイナンバー化」という巨大IT「公共事業」プロジェクト/公共事業は「昔建設、今IT」か
Posted at 23/06/22 PermaLink» Tweet
6月22日(木)雨
今朝は4時に起きたのだが、その時はもう少し降っていたのだけど、7時ごろになって雨がかなり強くなってきた。朝起きて入浴して出かけてヤンジャンなど買い、職場の資源ごみを出したりして帰ってきていろいろ考えたりしてたのだけど、まあ一つは専門外のことなのだけど雇用問題とか人材確保問題とかのことを考えていた。
自分にとってわかりやすい人手不足というのは学校の教員不足と介護福祉の職員不足があるのだが、産業分野で言えばIT人材の不足というのが今は大きな問題かなということを考えていた。
教員不足というのは明らかに少子化に伴う採用手控えという政策の失敗だし、介護福祉士の不足は明らかに賃金や待遇の問題だろう。教員の方は今から手を打っても学校が満足な状態に戻るのには時間がかかるとは思うが、給与面や労働時間についての待遇を改善したり、小中学校の事務職員を増やすなどで仕事量を減らすなどすることが必要だと思うし、介護福祉士はストレートに給料をあげるべきだと思うが、どちらもその対策自体で営利に結びつくことではないので、社会全体の生産性というか新たな価値を生み出すためには直接は結びつかない。だから重要なのはより成長性が認められる分野への人材供給ということになるのだろうと思う。
私が素人なりに考える感じで言えば、成長産業的に人材を育てたりしていくことが日本全体の成長に特に結びつきやすい分野は漫画アニメなどの広い意味での文化産業、今風に言えばコンテンツ産業というのが一つ。二つ目はマイナンバー化などの大規模な「公共工事」ともいうべきビッグプロジェクトの多いIT産業。三つ目が素材開発などの化学・金属産業の分野かなと思っている。科学は医療・製薬などとも関わってくるし、実は日本でも上位の知識集積度が高い産業なので、このあたりのところに将来性はあるのではないかと思う。
あと期待したいのは昔のSONYや今のアップルのような魅力あるコンパクトな製品作りと、魅力的なアプリケーションやYouTubeやTikTokなどの日本初のWebサービスあたりが出てくると良いと思うのだけど、なぜかこの辺はずっと苦戦している。この辺のことって実は「弁当みたいになんでも小さい箱に詰め込むのが得意」という日本の「縮み思考」が活かせる分野だと思うのだけど、おそらくは何か足枷になることがあるのだろうなとは思う。その辺がブレイクスルーできれば新しいサービスやアプリを生み出せると思うのだけど、まあ今の所は期待というのに止まる。
またコンテンツ産業は今でも日本国内だけでなく世界にも広がりつつあるけれども、これに関しては比較的表現の自由が守られている日本の現状に負う面もあるので、この辺りをポリコレの毒牙から守りつつ、10時する人たちの待遇をより改善していくあたりの部分で対策を取れば良いと思うし、「好き」で成り立つ分野だから政府自体がそんなに干渉することもないとは思うし、エージェント的な部分でサポートしていくことくらいが望まれるかとは思う。
今はアートというものが辺に左がかっていて公金を注ぎ込みにくいところはあるのだが、文化の面というのは国の威信を高めることにもつながるので、より大きな人材が出てくることを期待したい。
また文化の面といえばサブカル的な方面が目立ちがちだが、メインカルチャーもなくはなくて、アートの村上隆とか文学の村上春樹、思想の面などでは上野千鶴子らが中国にも読者を増やすなどしていて、この辺も軽視するべきではない。ただメインカルチャーの中でもどれもサブカル寄りなのがちょっと重みの足りなさを感じさせなくはないが、野球でもまずはイチローのような「日本人らしい技術で成功した」選手だけでなく大谷のように「パワー技術両面で世界一のレベルに達した」選手も出てくるようになったわけで、より重厚な存在が出てくることに期待が持てないわけではないように思う。
文化の面では学術書の発行部数では日本はかなり良い方だし、書籍も世界的に見れば売れている方だろう。出版社と編集者と著者の関係など日本独特のシステムがコンテンツ作りにプラスに作用している面もあると思われるし、左翼的であるが故に社会から浮きがちな面をなんとかできれば良いくらいのことではないかという気はする。
で、化学や金属分野というのはつまりは理系の大学や大学院と専門メーカーの話になるから大学教育でも特にその辺りに力を入れたらどうかというのに止まるけれども、政策としてポイントになるのはIT人材の育成という話になるのだと思う。
産業とか雇用の問題というのはかなりの量的な問題になるのでIT産業というものの全体像が掴みにくかったのだけど、もう現在ではある程度の企業でITに全く関わりのないような企業は存在しない時代になっているから、実態としてのIT産業は重要な産業分野として義務教育レベルからその存在の重要性を教えていくべき時期になっているように思う。
相次ぐマイナンバーのトラブルなどの報道を見ていて思い当たったのは、今のIT産業というのは自分が認識しているよりも遥かに大きな産業になっているのではないかということ。
つまり、昔は建設業全盛時代で労働者がめちゃくちゃ必要で工事現場で働けばそれなりに賃金もあったけど、今はIT労働者の数が必要なのにあまり増やせてないというところに就業問題の根本があるということなのかなということを思ったのだった。
教育にプログラミングを入れろというのも子供の才能を伸ばすためのプログラミング授業なのかなと思っていたけど、いろいろ考えているうちにどうもIT労働力を補充するための授業と考えるべきなのではないかという気がしてきたのだ。
つまりこれは、明治以来の近代国家が兵士や工場労働者を大量に育成するために学校教育を義務化したのと同じことを今もやろうとしてるのではないかと。
そのことでいろいろ考えたのだが、まずは国際比較が手がかりになるかと思って調べてみた。数理系が強いというとやはりインド人がイメージがあるが、今IT技術者育成が一番進んでいるのはどこの国なんだろうかと。
2020年のデータではIT技術者数が一番多いのはアメリカで約480万人、ついで中国、インド、日本の順だが、日本は110万人でアメリカの4分の1以下。給与ではスイス、アメリカ、イスラエルの順で日本は18位だそう。こういうデータはちゃんと見て行かないといけないなと思う。
https://www.insource.co.jp/contents/hr-article-no42740.html
日本の人口の1%がIT技術者か。これは多いのか少ないのか。給与水準の問題はあるだろうなと思う。これだけマイナンバー関連でトラブルがあると技術水準の問題も気になるが、大きなシステムを下請けに出す業態やその管理の仕方とかがちゃんとできてるのかとかいろいろ気になるところはあるなと思う。この辺りも昔の建設業のイメージに似ている。つまり、ビッグプロジェクトというのは実際に「昔建設、今IT」なんだということだ。「マイナンバーシステム」とかは「最大級のIT公共工事」だと捉えるべきなんだなと。
ただ、IT人材といっても待遇はピンからキリまであり、仕事内容によってかなり差がある。これは「先端技術のエンジニアは不足している」がウェブエンジニアなど「一般的な部分は足りてる」ということのようだ。これはまあホワイトカラーの就職先として考えればそうだろうと思う。
https://www.a-tm.co.jp/top/job-change/it-engineer-inexperienced/it-industry-lacks-manpower/
しかしマイナンバー騒動を見ていてもそうなのだが、巨大なプロジェクトを立ち上げたときに細かいところの修正やデータのミスの発見に動員されるような末端のプログラムエンジニアみたいな人たちの必要性があまり可視化されてないという問題があるんじゃないかという気がする。そういう人たちは一時雇いだとか抽象のIT事業者や個人などに請負や下請けに出されていて、それらの全てを総計したらかなり多いように思う。あるいは、担当者のブラック労働で回っているとか。
つまり、一部の人たちのブラック労働でちゃんと回ってるように見せてるみたいな日本でありがちな問題点がこの辺にあるんじゃないかという気がする。その辺解決するには、そういうところにはそんなに先端じゃない技術であっても対応できる人たちを回し、その人たちのもちゃんと給料を出して、もっと労働力を注ぎ込む必要が本当はあるのではないかという感じがする。
技術者は当然ながらより先端技術に対応できる人やより多くの分野に対応できる人が報酬を得られやすいわけだけど、システム全体を回すためにはそういうトップの人たちだけがいればいいというわけではないから、給与的にも全体的に底上げしていく必要があると思うし、人材の豊富さが国際競争力をうむという面もあるような気がする。
これはどの産業においてもそうなのだけど、当然ながら人手不足なら給料を上げないと人は集まらない。安い給料で人が集まった不況時代の夢を見るのはもう終わりにしないと国が滅ぶと思う。
***
就職などでは理系優位の時代と言われているけれども、営業職だとか管理職、人事部や法務部、マーケティングなど昔ながらの「文系」分野の人材が必要でなくなったわけではない。オフィスワークでは文系仕事の部分はやはり簡単なアプリケーション使用技術やウェブ技術、プログラミング技術などにとって変わられていく面もあるから、企業への就職における「新・文系」には、基礎的なIT技術は必須というのが今後の流れになるだろうなという気がする。
その上で簿記の知識や法律の知識、マーケティングや営業の能力などがプラスして求められる感じのイメージ。つまり昔の読み書き算盤のレベルの必要スキルとしての基礎的IT技術というのが企業や公共団体の就職には求められていく方向性になるんじゃないかということを考えた。
これは大変なことのように思えるかもしれないが、20年くらい前だと文系・アート系の人の中にはネットに触ったりそこでサイトを作って宣伝したりとかすること自体を毛嫌いする人はまだかなりいて、アーティストとかに自分の宣伝のためのサイトを作らせたりしようとしても難色を示す人とかは結構いたということはある。しかし、もうそのくらいは誰でもやってて当たり前のところに来てるわけで、確実に変化はしているのだ。
今はまだプログラミング技術とかIT技術とかは一歩前に出るための技術としての有効性はあると思うのだけど、そのうち「持ってて当たり前の技術=コモディティ」になる可能性もあるかもしれない。このコモディティの部分と専門性の部分の境目がどの辺に来るのかは、まだちょっとわからないが。
まあ全体に専門外なので何かとんでもない勘違いをしている可能性もなくはないが、今の日本社会の現状をそんなふうに捉えてみればいいのかなと考えてみた。ご叱正を賜れば幸いである。
***
「魂の問題」や「私という存在の問題」については読んで考えたことがあるのだが、余裕があったら今日のうちに書いてまたアップしてみたいと思う。
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