アフリカの重要性と日本との関係/塩金貿易/サハラ砂漠最大の都市
Posted at 23/05/24 PermaLink» Tweet
5月24日(水)晴れ
昨日までの雨が嘘のように綺麗な青空が広がっているが、放射冷却だろう、今朝の最低気温は6.6度。かなり冷え込んだ。このところいろいろと物事を進めてはいるが、あれっと思うところで認識の間違いが発覚したりしてなかなか紆余曲折だ。できることやれることを見定めながら続けてはいるが、全体を見る目を見失わないようにしないといけない。まあこれは何に関してもそうなのだが。
アフリカに関することをいろいろ調べたり読んだりしていて、いろいろ面白いのだが、この辺はいずれまとめていきたいと思う。二次資料中心になるから本にできるような内容ではないから、サイトかnoteかということになると思うけど、アクセスの流入を考えればnoteの方がいいのか、その辺は考えたい。
日本外交が今まで一番手薄な地域がアフリカで、次が中南米ではないかと思う。もちろん、インド洋や太平洋の島嶼国への外交も十分とは言えないが。日本外交は、欧米先進国と旧共産圏のロシア・中国(現だが)、それにアジア外交、また資源外交としての中東とオーストラリアなど、というのが中心で、それぞれ外務省の勢力もアメリカンスクール、ロシアスクール、チャイナスクールなどと言われているけれども、アフリカが対象から抜けているのは恐らくは「アフリカはヨーロッパのナワバリ」という意識があり、中南米は「モンロー宣言」以来「アメリカのナワバリ」という意識があったからではないかという気がする。
中南米に関しては、日本は移民先としての意味が一番大きかったが、ペルーで日系の大統領が出たりもあり、またアメリカのナワバリという感はあるが実際には結構反米意識が強い国が多くて、カリブ海植民地などを除けばアフリカのように旧宗主国が強いわけでもないので、日本としても微妙な形で関わっているところはある。
アフリカはフランス軍が駐屯したりしている国もあるし、イスラム勢力の強い地域も多いから、日本とは関わりが薄いという意識が強いけれども、国の数では国連加盟国193のうち54を占め、地域別で最多になっている。そういう意味でも、アフリカはこれから日本外交にとっても重視されるべき地域だと思う。
アフリカや中南米に関して一番大きいのは、ロシアの影響力が大きい国もあるが特に近年、中国の進出が盛んだということだ。日本が欧米に遠慮している間に、中国は逆に彼らの影響力を削ぐために投資も行なってインフラ整備などが進められている。日本のODAがあまり行き届いていない国でも中国は圧倒的に進出している国は少なくない。これらの国が現状中国の意図を国連の場などで反映することは当然ながら多い。
日本も、「自由で開かれたインド太平洋」というドクトリンを示し、QUADという枠組みを示して影響力を持とうとしているのだが、中国やアメリカ、ヨーロッパの国々に比べてまだ十分な影響力を持っているとは言えないだろう。
自分としては中南米に関してももっと理解を広げていきたいと思ってはいるのだが、現時点ではアフリカに関心があるのでとりあえずはそちらの方からまとめていきたいと思っている。
***
私市正年「サハラが結ぶ南北交流」(山川世界史リブレット、2004)を少しずつ読んでいる。サハラを縦断する北アフリカと西アフリカの間の交易の主な交易物が、特に古い時代は塩と金なので、塩金貿易と言われたというのは面白い。エジプト史においては、イスラムによる征服以後、ファーティマ朝までは金貨の時代、マムルーク朝前期までが銀貨の時代、マムルーク朝後期以降が銅貨の時代と言われているそうだが、つまりファーティマ朝の時代は貨幣鋳造のために大量の金が必要だったということになる。現在のモロッコ東部にあったシジルマーサというオアシス都市がこの金の貿易の中心都市で、ファーティマ朝はここを支配しここで金貨の鋳造を行なっていたという。
塩に関しては11世紀まではセネガルのアウリルが中心だったが11世紀に現在のまりにあるタガーザーという岩塩産地が開発されて中心になり、16世紀に枯渇するとマリ北部のタウダニが中心となり、現在でも掘り出しが行われているという。
西アフリカ内陸部では塩が貴重で、ガーナ王国の時代には同じ重さの金と交換したというが、西アフリカでは金が産出する場所が複数あり、現在でも採掘が盛んな場所がいくつもある。流通が当たり前になった現代日本においては塩が人間にとって必需品だということを忘れがちだが、戦国時代の故事にも「敵に塩を送る」という言葉を思い出せば、塩の重要性は思い起こすことができるなと思う。長野県にも塩尻という地名があるが、ここは太平洋からくる塩と日本海からくる塩が運ばれる終点だったという意味だろうと思う。
そのほか調べて面白かったのは、モーリタニアの首都・ヌアクショットが20世紀に開かれた人工都市だという話。もともとアフリカ西岸ではセネガルの諸都市が行政中心だったわけだが、独立の際にモーリタニアの地域の行政中心が必要になってきて、サハラ砂漠と大西洋が出会う場所の小さな漁港を都市にする計画で作られたという。だから現在も砂丘による浸食が問題になっているようで、「サハラ砂漠最大の都市」というのは文字通りなのだなと思った。
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