「終末のハーレム」最終回:カップル幻想への批判/英国王戴冠式/ウクライナ戦争におけるロシア語都市の頑強な抵抗/新型コロナ対策に対する自分なりの総括
Posted at 23/05/07 PermaLink» Tweet
5月7日(日)雨
今朝も3時から起きているのだが、その時に思いついたやりたいことをやっているうちにもう11時になってしまった。文章を書くというのは一定ハードルを超える必要があるわけだけど、二日休みで昨日は土曜日、また今日明日休みという日程の中で、なるべく心を広く持って今ここに集中して自分の状況をコントロールしつつやりたいことをやっていこう、みたいなことを考えると無限にやりたいことが出てくるのでそれらを踏まえつつ書こうみたいに思っているとなかなか取り組むきっかけがない。
一つ一つのことはそんなに時間がかからなくてもいろいろなことをやっていくうちにどんどん時間は経っていくわけで、特にTwitterで気になることを少し解決(投稿)しようと思っているとこれはキリがないことが多い。ただ、他のことから逃れるためにTwitterにしがみつくのと違い、基本的には前向きの気持ちで望んでいるので士気はあまり落ちないからまあいいかとも思う。新しい情報がTwitterから入ってくることが多いのは事実ではあるので、その辺の自分の思考としてもTwitterは大事なところがある。
***
ジャンプ+で連載中の「終末のハーレム」が最終回を迎えた。いろいろな意見はあると思うけれども、表現規制が厳しくなってきている現在、この辺りが潮時という判断もあったのかなという気はしなくはない。全体を通しての主人公である水原怜人は恋人への愛を貫く純愛の人として描かれているわけだが、男性のほとんどが死に絶え、また性的欲望を失ってしまった世界において、純愛の人というのがある意味自分のエゴに囚われて社会的に緊急の行動を取れない困った人物として受け取られている世界というのが面白いと思った。
これはLGBTにすら結婚制度を設けよという「カップル幻想=つがい幻想」が強い現在の世界において、その道徳「一度に一人の人しか愛さない・性的関係を持たない」ことが逆転して不見識・不道徳になるというある種の批判性を持っているところが面白いと思っていた。こうした批判性も逆に不見識と見る人はいるわけだが、単なるエロ作品に止まらない何かがあったしこれからも展開の可能性はあったと思うのだが、ひとまずはここで終了となった。お疲れ様でした。
***
昨夜はイギリスのチャールズ3世国王の戴冠式が行われ、日本でも生中継がされていたようだ。一国の王位継承儀礼がこのように世界的に注目されるというのは、やはりイギリスならではなのだろうと思う。私は後から動画で見ただけだが、シーンと静まり返った聖堂の中で玉座に座った国王に国教会の大主教が王冠を被せ、一歩下がって「God save the king!」と叫び、参加者たちが「God save the king!」と唱和する場面は、なるほどこれが神の祝福を受けたキリスト教王国の国王なのだ、という伝統を感じさせるものだった。
チャールズという名前は英国史においてはあまり縁起の良い名前ではないが、この名の由来は故エリザベス2世女王の大叔父(女王の祖父ジョージ5世の妹がホーコン7世妃)にあたるノルウェイ王ホーコン7世からきているという。彼はデンマークの王子として生まれ、スウェーデンから独立するノルウェイの王として選ばれ、ホーコン7世と名乗ったが、即位前はカール・アブ・デンマークと称されていたそうで、このカールの英語読みがとられて女王の長男につけられた、ということなのだそうだ。これもTwitter情報であり、こういういわば雑学的な知識を拾うにはTwitterは非常に優れている。
ちなみにスウェーデン王家はナポレオンの将軍ベルナドットが19世紀初頭に王になった家系で、彼が1814年にデンマークからノルウェイを奪ったのだが、ノルウェイ王国が1380年以降初めて独自の王を抱いた最初の王はデンマーク王室出身だったということなわけだ。このあたりは北欧三国の複雑な歴史を感じさせるが、現在のイギリス王室も先祖はドイツ貴族であり、外国人が王であることにあまり抵抗がないのが面白いなとは思う。
現在の皇太子はウィリアム王子だが、彼が国王になったら11世紀の征服王ウィリアム1世の名前が復活するのは面白いなと思う。また、名誉革命で舅のジェームズ2世を追い出して位についたオランダ総督のウィリアム3世の名前でもある。ドームズデーブックと権利章典がその名の背景にあると考えるとウィリアム5世の即位も盛り上がるだろうなと思う。
***
ウクライナ戦争に関連して論文を少し読む。
この戦争において、実際に始まって事態が進行してみてからよく理解していなかったなと思ったのが、ウクライナ東部のロシア語話者の人々がウクライナ国家に帰属意識を持ち、ロシアに粘り強く抵抗していることだった。しかしこの論文ではすでに2016年ごろの状況でハリコフなどロシア国境に程近いロシア語話者の地方でもロシアへの反発が強く、ウクライナ国家への帰属意識が高かったことが書かれている。
「社会学者の Zaharchenko(2013)によれば、住民の大半がロシア語話者でありながら,ウクライナのアイデンティティを保持するハリキウのように多くの地域は東西いずれの典型像にも当てはまるものではなく,流動的,中間的なアイデンティティを含む多様性(ポリフォニー)が 現代ウクライナの特徴であるという。」
(保坂三四郎「ウクライナにおける地域ファクターと歴史観」より)
実際、2014年のクリミア併合とドンバス分離運動によってウクライナの国民意識が刺激されたということは強くあるようだったけれども、ハリコフのような国境に近いロシア語都市がここまで頑強に抵抗し、守り抜かれるというのはかなり意外だった。実際のところ、日本のウクライナ情報はロシア経由で入ってくることが多いのでウクライナナショナリズムというものはどうしても過小評価してしまうのだけど、探せばそういう情報はあったのだなと思う。そういうところはやはりちゃんとみていかなくてはいけないと思った。
とはいえウクライナはナショナリズムで団結していたかといえばそう簡単なことは言えない。歴史の中で良かったこととしてウクライナ独立を挙げ、よくなかったこととしてソ連崩壊とウクライナ独立を挙げる人もいるらしく、そうした矛盾が個人の中にもあったらしい。ロシアへの帰属意識はともかく、ソ連への帰属意識はかなり強くあったということなのだろう。逆に言えば今回のロシアによる侵攻がさらにウクライナ意識を高めることになったのは想像に難くない。
ただ、こうした統計の論文の見方として自分が読んだ読み方がどのくらい妥当なのかよくわからないし、侵略戦争中のバイアスから見てしまう部分はどうしてもあるのだけど、疑問に思ったときに探せば出てくる情報は決して少なくないなとは思った。
***
新型コロナの感染症法状の扱いが明日から5類に変更になり、さまざまなことが変わっていきそうだ。まだ早いかもしれないけれども、少し総括めいたことを書いておきたいと思う。
今回のコロナ流行においては、医師たちの発信がかなりの攻撃にさらされた。多くの人たちが規制された現状に不満を持っていたことは分かるのだが、医師たちを攻撃するのはやはり筋違いだったと思うし、批判されるところはあるにしても、もっと理性的で落ち着いた批判をするべきだったのではないかと思う。
今回の騒動で明らかになったのは「人類は感染症を克服していない」ということだったと思う。そして日本政府と医師・医療関係者たちは、この危機によく対応したと思う。しかしそれに反して得られた社会的評価は低すぎる気がする。これからも感染症が流行する可能性はある。その時に医学界が変に懲りてないといいけどという気がする。
日本は基本的に新型コロナ対策には成功した(各国に比べて死者が相当少ない)のに、失敗したと思ってる人が多いのは残念。日露戦争後の日比谷焼討事件みたいな現象が起こっているように思う。
私の疾病に対する考え方は、もともと東洋医学系の思想に則っているので、ワクチンとかマスクとかは元々あまり期待してないのだが、今回は国策に沿って対応し、ワクチンも4回接種したしマスクもしていた。それを社会的義務と認識していたわけだ。
逆に言えばワクチンなどにしても多少の副作用とかはあるだろうし、こうした対策で何かしら不都合が出てくるのはある意味仕方ないと思ってたのだが、「国が言うんだから間違い無いだろう、従おう」と考えていた人たちの間には、「国のいうこと、医師の言うことは本当に正しかったのだろうか」という疑念が相当広がってる感じがする。
医学的な総括としては、ワクチンが効果があったということは広く認められると思うのだけど、実際に副作用はあったと思うし、それがきちんと清算されてない面が大きいと思う。これを認めないと今後の感染症対策に禍根を残すと思う。その辺しっかりやってほしい。
「報告されてない形での副作用・副反応はあった」と考えている人の話は、自分の周りでも、東大理系の出身者などを含めて相当多くの人から聞いた。この辺りの社会的反響まで含めた形で「ワクチンの副作用」についてちゃんと研究をまとめて発表しないと(これは医学だけでなく医療社会学の問題でもあるだろう)「反ワクチン」の勢力がかなり強くなる可能性があるのではないかと思う。
これはある意味政策の当否を判断するものだから政治的に危うい部分があるかもしれないが、やったほうがいいのではないかという気が私はしている。
***
アフリカについては夕食の買い物に行くときに「世界のともだち 南アフリカ」を借りてこようと思っている。あと、仕事でもしておきたいことがあるし腰も痛いし雨も降ってるしでいろいろ大変だが、残りの休みを充実させつつ疲れも取っていきたいと思う。
やれやれ(村上春樹並感)、書き終えたら12時半である。とりあえずご飯を食べよう。
カテゴリ
- Bookstore Review (17)
- からだ (237)
- ご報告 (2)
- アニメーション (211)
- アンジェラ・アキ (15)
- アート (431)
- イベント (7)
- コミュニケーション (2)
- テレビ番組など (70)
- ネット、ウェブ (139)
- ファッション (55)
- マンガ (840)
- 創作ノート (669)
- 大人 (53)
- 女性 (23)
- 小説習作 (4)
- 少年 (29)
- 散歩・街歩き (297)
- 文学 (262)
- 映画 (105)
- 時事・国内 (365)
- 時事・海外 (218)
- 歴史諸々 (254)
- 民話・神話・伝説 (31)
- 生け花 (27)
- 男性 (32)
- 私の考えていること (1052)
- 舞台・ステージ (54)
- 詩 (82)
- 読みたい言葉、書きたい言葉 (6)
- 読書ノート (1582)
- 野球 (36)
- 雑記 (2225)
- 音楽 (205)
月別アーカイブ
- 2023年09月 (19)
- 2023年08月 (31)
- 2023年07月 (32)
- 2023年06月 (31)
- 2023年05月 (31)
- 2023年04月 (29)
- 2023年03月 (30)
- 2023年02月 (28)
- 2023年01月 (31)
- 2022年12月 (32)
- 2022年11月 (30)
- 2022年10月 (32)
- 2022年09月 (31)
- 2022年08月 (32)
- 2022年07月 (31)
- 2022年06月 (30)
- 2022年05月 (31)
- 2022年04月 (31)
- 2022年03月 (31)
- 2022年02月 (27)
- 2022年01月 (30)
- 2021年12月 (30)
- 2021年11月 (29)
- 2021年10月 (15)
- 2021年09月 (12)
- 2021年08月 (9)
- 2021年07月 (18)
- 2021年06月 (18)
- 2021年05月 (20)
- 2021年04月 (16)
- 2021年03月 (25)
- 2021年02月 (24)
- 2021年01月 (23)
- 2020年12月 (20)
- 2020年11月 (12)
- 2020年10月 (13)
- 2020年09月 (17)
- 2020年08月 (15)
- 2020年07月 (27)
- 2020年06月 (31)
- 2020年05月 (22)
- 2020年03月 (4)
- 2020年02月 (1)
- 2020年01月 (1)
- 2019年12月 (3)
- 2019年11月 (24)
- 2019年10月 (28)
- 2019年09月 (24)
- 2019年08月 (17)
- 2019年07月 (18)
- 2019年06月 (27)
- 2019年05月 (32)
- 2019年04月 (33)
- 2019年03月 (32)
- 2019年02月 (29)
- 2019年01月 (18)
- 2018年12月 (12)
- 2018年11月 (13)
- 2018年10月 (13)
- 2018年07月 (27)
- 2018年06月 (8)
- 2018年05月 (12)
- 2018年04月 (7)
- 2018年03月 (3)
- 2018年02月 (6)
- 2018年01月 (12)
- 2017年12月 (26)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (5)
- 2017年09月 (14)
- 2017年08月 (9)
- 2017年07月 (6)
- 2017年06月 (15)
- 2017年05月 (12)
- 2017年04月 (10)
- 2017年03月 (2)
- 2017年01月 (3)
- 2016年12月 (2)
- 2016年11月 (1)
- 2016年08月 (9)
- 2016年07月 (25)
- 2016年06月 (17)
- 2016年04月 (4)
- 2016年03月 (2)
- 2016年02月 (5)
- 2016年01月 (2)
- 2015年10月 (1)
- 2015年08月 (1)
- 2015年06月 (3)
- 2015年05月 (2)
- 2015年04月 (2)
- 2015年03月 (5)
- 2014年12月 (5)
- 2014年11月 (1)
- 2014年10月 (1)
- 2014年09月 (6)
- 2014年08月 (2)
- 2014年07月 (9)
- 2014年06月 (3)
- 2014年05月 (11)
- 2014年04月 (12)
- 2014年03月 (34)
- 2014年02月 (35)
- 2014年01月 (36)
- 2013年12月 (28)
- 2013年11月 (25)
- 2013年10月 (28)
- 2013年09月 (23)
- 2013年08月 (21)
- 2013年07月 (29)
- 2013年06月 (18)
- 2013年05月 (10)
- 2013年04月 (16)
- 2013年03月 (21)
- 2013年02月 (21)
- 2013年01月 (21)
- 2012年12月 (17)
- 2012年11月 (21)
- 2012年10月 (23)
- 2012年09月 (16)
- 2012年08月 (26)
- 2012年07月 (26)
- 2012年06月 (19)
- 2012年05月 (13)
- 2012年04月 (19)
- 2012年03月 (28)
- 2012年02月 (25)
- 2012年01月 (21)
- 2011年12月 (31)
- 2011年11月 (28)
- 2011年10月 (29)
- 2011年09月 (25)
- 2011年08月 (30)
- 2011年07月 (31)
- 2011年06月 (29)
- 2011年05月 (32)
- 2011年04月 (27)
- 2011年03月 (22)
- 2011年02月 (25)
- 2011年01月 (32)
- 2010年12月 (33)
- 2010年11月 (29)
- 2010年10月 (30)
- 2010年09月 (30)
- 2010年08月 (28)
- 2010年07月 (24)
- 2010年06月 (26)
- 2010年05月 (30)
- 2010年04月 (30)
- 2010年03月 (30)
- 2010年02月 (29)
- 2010年01月 (30)
- 2009年12月 (27)
- 2009年11月 (28)
- 2009年10月 (31)
- 2009年09月 (31)
- 2009年08月 (31)
- 2009年07月 (28)
- 2009年06月 (28)
- 2009年05月 (32)
- 2009年04月 (28)
- 2009年03月 (31)
- 2009年02月 (28)
- 2009年01月 (32)
- 2008年12月 (31)
- 2008年11月 (29)
- 2008年10月 (30)
- 2008年09月 (31)
- 2008年08月 (27)
- 2008年07月 (33)
- 2008年06月 (30)
- 2008年05月 (32)
- 2008年04月 (29)
- 2008年03月 (30)
- 2008年02月 (26)
- 2008年01月 (24)
- 2007年12月 (23)
- 2007年11月 (25)
- 2007年10月 (30)
- 2007年09月 (35)
- 2007年08月 (37)
- 2007年07月 (42)
- 2007年06月 (36)
- 2007年05月 (45)
- 2007年04月 (40)
- 2007年03月 (41)
- 2007年02月 (37)
- 2007年01月 (32)
- 2006年12月 (43)
- 2006年11月 (36)
- 2006年10月 (43)
- 2006年09月 (42)
- 2006年08月 (32)
- 2006年07月 (40)
- 2006年06月 (43)
- 2006年05月 (30)
- 2006年04月 (32)
- 2006年03月 (40)
- 2006年02月 (33)
- 2006年01月 (40)
- 2005年12月 (37)
- 2005年11月 (40)
- 2005年10月 (34)
- 2005年09月 (39)
- 2005年08月 (46)
- 2005年07月 (49)
- 2005年06月 (21)
フィード
Powered by Movable Type
Template by MTテンプレートDB
Supported by Movable Type入門