「身の回りから世界へ」と「世界情勢認識から自分自身へ」/現存する世界のリスクと保守から見た世界認識/ボーンヘッド/芸術による活性化
Posted at 23/03/14 PermaLink» Tweet
3月14日(火)晴れ
昨日から妙な失敗が多くてそれに気がつくたびに気持ちが落ち込むのだが、それは例えば持ってく必要のない膝掛けを東京に持っていってどうも忘れて帰ってきたらしいとか、ディヌ・リパッティのCDのケースだけおいてきたらしいとか、身の回りの生活リズムのちょっとした所に関わることが多くて、そう言う細かいところが自分の生活のリズムを作っていたのだなと改めて思うのだが、結局は疲れが出ていてうまく自分自身の細部をコントロールできなくなっていると言うことなのだろうなと思う。自分というものがどこにあるのかというのはいろいろと考え方があるけど、そういう生活リズムみたいな所にも自分の本体がいるんだろうなという気はする。
昨日は東京の自宅で午前中いろいろやり、昼前に出かけて丸の内の丸善に行って本を見たり。本は結局買わなかったが、三階のカフェでバニラシフォンケーキを食べて紅茶を飲んで帰ったという感じ。日曜にはカフェや喫茶店に行き損なったので少し気分転換になった。帰りにIKIIKI新鮮市場でパックの寿司など買い、家に帰ってきて食べた。車を止めてある駐車場が少し遠いので持ち物などいろいろ考えて動くことを考えていたので、その辺で何かボーンヘッドが起こったのだろうなあと思う。
そういえば日曜日に着いた時、いつも止めている二つの駐車場が二つとも満車でちょっと焦って遠い駐車場に止めたのだけど、30分以内に(いつもの駐車場は二つとも部屋のベランダから見える)空いたので止め直しはした。とりあえず止めた駐車場がよく見たら30分300円で、すぐ隣が200円だったから何をやってるのかと思う。昼間最大料金がそちらの方が安かったからそれに引っ張られたのだよな。なんともいえない。
いつも止めている駐車場は一つは少し安いのだが100円玉しか使えないので駐車料金が2000円とかになると100円玉を用意するのが大変で、もう一つはやや高いがSuicaで一発決済できるので、今回はそちらに止めたのだが、そこの方が遠いのでついいろいろなことを考えて出発の準備の時に確認しきれなかったのだろうなと思う。
4時前に東京を出て実家に着いたのが7時半ごろ、やはり3時間半はかかるな。昨日は何故か大型トラックの通行が多くて、その意味でもなんか気を使って疲れた。体感8割くらい大型トラックだった気がするのだが、まあ流石にそこまでは行かないだろうな本当は。しかしまあ、流通が盛んであるということ自体は良いことなのだろうと思う。
***
昨日は久しぶりに音楽の話など書いて、なんというか自分の中がある意味活性化された感じ。ラヴェルという音楽家に特段の思い入れはないのだが、調べてみるといろいろ面白いしいろいろ聞いてみるといろいろな発見がある。同時代の音楽シーンなども見えてきて、この人は19世紀というより20世紀の音楽家なんだなと改めて思った。
歴史学では、というかエリック・ホブズボームは1789年から1914年までを「長い19世紀」と呼んだ。つまりフランス革命の勃発から第一次世界大戦の勃発まで、ということなのだけど、大革命とナポレオンの時代が1814年に終わり、そこから1848年までが自由主義の時代、1880年頃までがナショナリズムの時代、それから後は帝国主義の時代、というような分け方があるが、ホブズボームは自由主義・国民主義とは言わず、「資本の時代」と呼ぶ。まあ両者あるだろうけど、ナポレオン後は「貴族の時代」が「ブルジョアの時代」になった、少なくとも移行していく時代であったわけだけど、自分の読んだ感じとしてはドビュッシーまでは貴族の影響の強さを感じるのだけど、ラヴェルになるとアーチストとして自立した新時代の音楽家というイメージがある。現時点での印象で言えば、ドビュッシーはアール・ヌーヴォー、ラヴェルはアール・デコみたいな感じというか。もちろん正確な表現ではないのだが。
***
それにしても、最近あまり書いてなかった芸術関係のことを調べたり探したり考えたり書いたりしたことは自分にとってとても良かった。あまり使わなくなっていた頭や心の筋肉を使った感じがするし、実際歩き回ってCDを探したりしゃがみ込んで一枚一枚吟味したりすることで身体的にも筋肉を使った。知らず知らずのうちにいろいろ凝り固まっていた部分がほぐれてきた感じがする。
普段は自分の中の動機を探して「何をやりたいか」から考え始めるのだが、すでにある世界についての自分の感受性というか心を動かされる部分がなんなのかを見ていくことも大事だと思う。つい政治経済的なことの方向に考えが行ってしまうが、自分が「好き」なものというのは必ずしもそういうものではないわけで、そういうことを大事にしていかないといけないなと思った。
物事を考えていく方向として「自分自身から世界へ」、「身の回りから世界へ」というのが一つの王道で、「修身・斉家・治国・平天下」というのが儒教でも順番になるわけだけど、一方では「世界から自分自身へ」「世界情勢から身の回りへ」という方向もあり得るわけだ。これはまあそれだけになってしまうといわゆる「意識高い系の罠」にはまってしまうわけだけど、「学んで思わざればすなわち暗く、思いて学ばざればすなわち危うし」ということも言えるわけで、ある種の思考の往復運動の中から新たな考えやアイデアが湧いてくる、ということはあると思う。
最近は日本の保守思想はどういうものであり、どう発展していくべきか、みたいなことばかりをテーマにしていたけれども、世界情勢を考えたり芸術について考えたりして、より幅広い思考の自由さを確保した上でさまざまなテーマに取り組んでいけると良いなと思った。
***
ということで世界情勢のことを少し書いておくと、先ごろ公表された「2023年度版PHPグローバル・リスク分析」というレポートがある。(作成は2022年12月)
https://thinktank.php.co.jp/policy/7781/
そこで挙げられている10個のリスクとして、
1. 国際秩序再編で攪乱要因となる「弱りゆくロシア」
2. 米露影響力低下で再編進む中東秩序と取り残される日本
3. 対露エネルギー制裁で深まる三重の分断
4. 低インフレと超金融緩和の終焉がもたらす世界マネー動乱
5. 再び露呈する核抑止パラドックス
6. 中国がロシア・北朝鮮と引き起こす同時多発的な緊張の高まり
7. 振れ幅大きい米国(Volatile America)に振り回される世界
8. 新冷戦で崩壊する中露依存の欧州成長モデル
9. 現実世界に直接的な影響を与え始めるサイバー脅威
10. 繰り返される「見落としリスク」
というのがあるのだが、これはそれぞれきちんと考えると面白いのだけど、一番興味を惹かれるのが10番の
「繰り返される「見落としリスク」」というものだなと思った。
要はあまり注目されてない、見落とされている所に次の世界を変えてしまう大きなリスクが存在する可能性があるということだと思うが、実際のところロシアがウクライナに「本当に」侵攻し、ウクライナが敢闘して長期戦の様相を示す、などということは2022年の冒頭の時点で予測できた人はいないだろう。実際、このレポートの2022年版を見ると10位にロシアについて書いてあるけれども、ウクライナ再侵攻のリスクも指摘しつつ、それがなくても存在感が高まる、という話なわけで、ロシアは侵攻をちらつかせはするがしないだろうという雰囲気の記述である。これは多くの人が言っているが「ロシアにとって明らかにメリットよりデメリットの方が大きい」からなのだが、実際には侵攻は起こった。
だから今回はロシアに関して1・2・3・6・8番の全体の半分で触れられているが、それだけインパクトが大きいということではある。こうした政策提言がどれくらい政府の施策に反映されるのかは心許ないところはあるが、そこにおけるプレイヤーでない市民も、その辺りのところについて考えておく意味はないわけではないだろう。
また、これらの現状認識も自分の問題と感じる部分とは結構異なっているところもある。いわゆる「白人右翼」の伸長の問題や、フェミニズムやBLMなどの行き過ぎたリベラリズムがもたらす分断などについて、まあそういうのは国際的なリスクというのとは違うところで語られるのかもしれないが、これはTwitterでも書いたけれども現代の世界の国際政治学というものが基本的に第二次世界大戦後の国際秩序を前提として考えている、つまり世界的にはリベラル勢力のメンバーから見た分析になっているという部分もあるという認識は必要だと思う。
そういう意味では、「保守」を標榜する者からしたらこうした分析自体が「参考」というレベルのものだという認識は持っていた方がいい。これもTwitterに書いたが、自分が保守であるという認識のアイデンティティとして自分はリアリストであるという認識に根拠を持っている人が結構いるから、左翼リベラルと言ってもなんでも戦争反対みたいな化石左翼だけではなく、リベラルな世界認識からのリアルな分析をする人たちがいて、現在の国際政治学というのは日本においてもそちらの方が主流、つまりテレビでウクライナについて語るような人たちはそういう人たちなのだということは知っておかないといけないと思う。
だからこうした往復運動の中では特に「自分とはどういう人間か」「日本とはどういう国か」といったアイデンティティの問題が一つ大事になってくると思うし、それとともにそういう状況に対する感受性とか現状認識の落ち付け方、具体的な行動というものが出てくるわけで、そういうさまざまな面から学んでいきたいと思う一方で、読む方にも参考になるようなことを書いていけると良いなと思っている。
その他Twitterで書いたことなどについていろいろ反応があったのだけど、その辺りはまた書く機会があったら書きたい。
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