「ギャラリーフェイク」:サザエさん方式の年齢設定と藤田とサラと三田村サン/「不治の病は不死の病」:グロ可愛い人外ヒロインとポップな世界観/「安倍晋三回顧録」:グレートコミュニケーターとしての安倍元首相

Posted at 23/03/01

3月1日(水)晴れ

昨日で2月も終わり、2023年ももう6分の1が終わったことになる。3月も忙しそうだが、まあなんとか乗り切っていきたい。

文藝春秋2023年3月号[雑誌]
京極夏彦
文藝春秋
2023-02-10

 

昨日は朝コンビニに行った時に「文藝春秋」が出ていて、そう言えば母が芥川賞作品を読みたいといっていたので買った。ブログを書いて朝食を済ませた後、灯油を注文して散髪に出かけた。ブログで確認してみると前回行ったのが10月20日なので4ヶ月ぶり。流石に襟足の髪が跳ねてきたのでこれはまずいと思っていた。なんというか、土日を避け自分が休みの月曜日は休業、みたいなパターンのところにはいきにくい。とりあえず懸案は解決できてよかったのだが。自宅に戻って車で出かけ、郵便局で記念切手を買って月末であることを思い出して不動産屋に駐車場代を払いにいき、その後職場に出て軽く打ち合わせをしてから銀行で記帳した後西友に行ってお昼の買い物をして、ツタヤに行って「ギャラリーフェイク」の37巻とジャンプラ連載の「不治の病は不死の病」1巻を買った。


 

「ギャラリーフェイク」は増刊で復活した後、ほぼ年に一度のペースで新刊が出ているが、1992年の連載開始から30年経っているが、主要人物の年齢設定がそのままなのでなんか変だなと思っていたが、いまWikipediaを見たら2005年で連載が終了し32巻まで出た後、33巻からは「時代設定のみを現代に移して」連載を続けているということだった。藤田とサラ、三田村館長の関係性が32巻で一応決着がついたかと思っていたのだけどそれもそのままになっていて、特に37巻ラストのエピソードは三田村館長が藤田にドキドキしている話になっててまあそういう話は好きではあるがいい加減どっちかに決めろよ感はある。

青年漫画はいつまでも年齢設定が同じという「サザエさん方式」の「美味しんぼ」や「ギャラリーフェイク」のパターンと、年齢を重ねていく「課長島耕作」「あぶさん」パターンがあるが、「美味しんぼ」でも結婚したり子供が産まれたりはしているのだよな。自分の感じでは藤田が35くらい、サラが20歳前後、三田村館長が24くらいというイメージなのだが、藤田はやや老けた感があり、三田村館長も大人になった印象があったのにときめいてるからどうなのという感もあり、サラは返って子供っぽくなっていて「守ろう年齢設定」みたいなことは少し思った。


 

「不治の病は不死の病」はジャンプラではただグロい話だなと思っていたのだがヒューマニズム的でもあり勧善懲悪的でもあり世界観が妙にポップでもありギャグも可笑しいし登場人物もグロ可愛いみたいな感じになっていて、当初の感じからすると意外(といったら申し訳ないが)だがかなり面白い。主人公の「病医者」イクルとヒロインの「異類の看護師」ムゥさんというコンビがいいのだが、1巻を買ってみてまだこの段階ではムゥさんが出ていないことを知った。こういう人外・バケモノ系ヒロインというのは最近増えているな。「口が裂けても君には」は口裂け女がヒロインだし。このパターンのルーツはコミックリュウに連載されていた2012年の「モンスター娘のいる日常」あたりからだろうか。異形の女性との恋愛みたいなことで言えばもちろん異類婚姻譚は古くからあるわけだし、安珍清姫伝説などもインパクトがあるが、割と異類とフラットな関係になるのが現代の特徴で、ムゥさんも実は高貴な美少女が病によって異形になっているという設定のようなのだが、現在の容姿で十分人気がある(マヌルネコ系のもふもふ感と四つ目、十字型に避けた口などがチャームポイント。後ナースキャップも。セリフはムゥのみで全てを表現。イクルは何を言おうとしているのかわかる)のも割と現代っぽいかなとは思う。

***

安倍晋三 回顧録
尾山宏
中央公論新社
2023-02-08



「安倍晋三回顧録」第7章読了。2016年は伊勢志摩サミットでのオバマとのやりとり、オバマの広島演説、
谷垣幹事長自転車事故の影響による内閣改造と二階幹事長、消費増税の2年半延期、天皇陛下の退位を示唆するビデオメッセージ、トランプとの会談、プーチンの山口県への招待、真珠湾訪問と随分いろいろなことがあった年なんだなと思う。

この中で安倍さんはこの頃が安倍外交のピークだった、みたいなやや自画自賛的なことを言っているが、確かに現在のウクライナ情勢からくるプーチン厚遇の無駄足感からちょっと得点は下がってしまうけど、日米首脳の広島・真珠湾の相互訪問やG7議長を務めたり、トランプ当選を聞いて就任前に会いに行くなどの行動力という点から言えばそうは言えるかもしれないと思った。基本的に外交についてあまり定見のない感じのトランプに対し、中国の脅威を強調したりプーチンとの間を取り持とうとしたり、トランプも安倍さんの話はよく聞いたようだし(個人的な話が長くて大変だったようだが)、日本の立ち位置から行ってうまくいかなかったところはもちろんあったにせよ、安倍さんでなければできない部分は多かっただろうなと思う。

天皇陛下への内奏の話は表にできないと言いながら、その雰囲気は十分伝わってくるのが安倍さんの話術だなと思うし、消費税を結果的に上げたことは安倍さんの失策の一つだと思ってはいるけど増税姿勢の財務省の硬直化した姿勢を強く批判しながらも、一度決めたことを変更できない縛りみたいなものは安倍さんでも変えられなかったのだなとは思う。この時期の天皇陛下との話は常に長引いたようだし、それは陛下が安倍さんに言いたいことが多かったようで、だから表にはできない原則になっているようなのだけど、安倍さんと上皇陛下の関係についてはとやかくいう人もいるけどちゃんと話はできていたということなのだろうなと思う。オバマに関するエピソードも含めて、安倍さんのコミュニケーション能力が不発に終わったのはプーチンとの関係だけだとは思うが、今考えてみればプーチンの国家観から言って日本はもともと軽く見られているのでこれは如何な安倍さんでもどうしようもなかったのだろうなとは思う。

そういう意味で言えば、レーガン元大統領に言われた「グレートコミュニケーター」という形容は、安倍さんに関しても当てはまるのではないかと思った。左翼方面からは聞くに耐えない悪口雑言を寄せられながらも意に介さない態度も良かったし、またそれがいっそう彼らを怒らせたということもあるが、世界的には左翼勢力からも安倍さんは高く評価されていたから、日本の左翼のアナクロぶりがより強調されたということはあったなと思う。

第8章の話になるが、2017年2月の日米首脳会談で安倍さんはトランプに「特定の企業(トヨタなど)の名前を挙げて批判しないこと、為替について言及しないこと」を説得し、トランプは4年間それを守ってくれた、というのは正直すごいなと思った。奔放に思いつきで発言しているイメージがあるが、実はトランプは結構繊細なんじゃないかと思っていたけど、そういうところでちゃんと約束を守るというのは安倍さんを信頼しているということでもあり、またトランプの男気みたいなものでもあるなと思った。








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