神仏融合は日本独自の現象ではない/「スティグマ」/「フットボールネーション」:身体理論の面白さ
Posted at 23/01/31 PermaLink» Tweet
1月31日(火)晴れ
昨日は午後日比谷図書館に出かけ、神仏習合関係の本をいくつか探したのだが、「神仏融合の東アジア史」がいろいろと面白かった。借りるつもりで出かけたのだが貸出カードを忘れたのと思ったより分厚い本で重そうだったのと2週間後にちゃんと返しに来れるか自信がなかったので大事そうな内容だけ頭に入れた。
なるほどと思ったのは、「神仏習合」≒「神仏融合」は日本独特の現象ではなく中国にもあるし、そもそもインド仏教の時代から多くのバラモン教・ヒンドゥー教の神々を取り込んでいるという指摘があり、全くその通りだと思った。
ヒンドゥー教の神々は護法神になったり悪鬼扱いされたり多様な仏の一つと位置付けられたりしていったわけだけど、日本においては神も衆生と考えてその救済を求めたり、あるいは仏が日本に神として垂迹したとか、蔵王権現のように日本独自の仏が現れたりした。
もともと神仏習合の語は吉田神道=唯一神道の確立の時に仏教臭のあるものを排除した、つまり不純であるという価値判断を含んだ語なので現象を公平に見定めるには不適切であるという見解から融合の語を使っているとのこと。吉田神道など本地垂迹でなく神本仏迹説の方向のいわば神道ルネサンスみたいなあたりなどを少し調べてみるといいかなと思った。
仏教のような世界宗教というか理論的な強さを持っている宗教は他の宗教や考え方を取り込みやすいところがあるのかなという気がする。仏教はインドや中国・日本でも神々を取り込んだりしつつ体型を広げて行ったりしているわけだし、キリスト教も地中海・ヨーロッパの宗教から聖像崇拝などの要素を取り入れて行っている。イスラム教もスーフィー教団など本来のイスラムとは違う要素も取り入れているし、またそれらの宗教も原理主義的・純粋志向の動きが起こって教会分裂が起こったり聖書やコーランの教えに純化しようとする動きが起こったりしている。
神道は汎神論的な世界観で理論化・体系化の時に仏教を含む大陸の思惟の影響を強く受けていると思われるが、逆にそういうものを排除して純化する動きがあったわけで、唯一神道や国学、神仏分離=廃仏毀釈など追っていくべき流れがあるのだなと思う。
日比谷図書館地下のプロントでお昼を食べて、寝不足だしどうしようかと思いながら日比谷公園を散歩していたらどこかでお茶をしようと思ったが、行きたい店を思いつかず、銀座まで歩いて松屋で和菓子を買った。教文館で本を見て、相原コージ「うつ病になって漫画が描けなくなりました 発病編」(双葉社)を買って帰った。
もともとウェブ漫画だからかコマも大きくへえっと思ったが、吾妻ひでおさんの「失踪日記」もそうだったけど「絵に描く」ということによって自分が客観視できるところがある意味こうした病気にとっての治療にもなる側面があるんじゃないかなという気がした。
荷物をまとめて郷里に帰る途中、丸の内の丸善のカフェで食べて帰ろうと思ったのだが、結局時間がなくなり、神仏習合関係の本を少し見て、「フットボールネーション」の1巻と「スティグマ」の5巻を買って中央線に乗り、新宿で「新宿弁当」を買って特急に乗って帰った。夜は洗濯物をもう一度乾燥させて畳んだりはしたが、あまり何もせずに寝た。
「スティグマ」は殺人の冤罪で長期間服役していた元ヤクザの男と「化生」の女の純愛譚というある意味昭和っぽい話なのだが、二人ともある意味不器用でみっともなく、いろいろなことがうまくいかない様子がなんとも言えない。
「フットボールネーション」はスペリオールで読むようになって、特に17巻に収録されている内転筋の話などに興味を持っていたので16と17だけ単行本を持っていたのだが、1巻を読んでみようと思って買った。これはサッカーにおける身体の使い方の話だと思っていたのだが、むしろ1巻を読んで身体理論そのものが中心だなと思った。そういう意味で、サッカーとはある意味関係なく読めるなと思ったので2巻以降も読んでみようと思っている。また、16−7巻で出てきた登場人物がよく分かってなかったのでいまいち入れないところがあったが、ちゃんと最初から読むとそれぞれのキャラクターの位置付けがよくわかり、ストーリーとしても楽しめそうだなと思った。
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