「マロニエ王国の七人の騎士」の豊かな世界観と世界の秘密を体現すること
Posted at 22/12/21 PermaLink» Tweet
12月21日(水)晴れ
今朝の最低気温はマイナス6.5度。昨日はもう少し高かったかな。昨日はあまりちゃんと眠れなくて、午前中に母を病院に連れて行った後、帰って昼食を食べたら爆睡してしまった。午後銀行と書店に行って仕事に必要な本を買うなど。仕事は少し遅くまでかかったが昨日は割合物事がスムースに進んで充実した日だったなと思う。
仕事は少しずつ進んでいるが、読むものは全然読めていない。マンガ週刊誌も年末年始の合併号で今週はまだ少年ジャンプしか読んでないが、ジャンププラスは毎日更新があるので普段読んでいるものは読んでいる。
「マロニエ王国の七人の騎士」は「食べ物の豊富な国=ハラペコ編」が続いているが、「夜の国=眠くない編」ではあまり明かされなかったこの世界の真実が、「生き物の国=獣使い編」で少し明らかにされ、「食べ物の豊富な国=ハラペコ編」ではかなり突っ込んで来ていて七人兄弟の父であるペレナグリスが「最初の神」であり、兄弟はそれぞれ父の特性プラス何かを受け継いでいて、外交に行った先では彼らを「欲しがって」いるというのが謎の本質なのだけど、その謎がなんなのかは難しい。
色々いわくありげな国の名前と兄弟の名前、に反して真ん中にある「マロニエ王国」はなんだか銀座の通りみたいな名前だし、「ルカ」や「サムソン」などの思わせぶりな名前や十二支のような名の付け方や三貴神みたいな神様たち、マロニエと夜の国は中世ヨーロッパ的だが生き物の国は古代エジプト的、食べ物の豊富な国はインド・東南アジア的なイメージがある。
この作品が好きなのはそういう大きなスケールの世界観・神話観みたいなものと描写の豊富さ、全体で見るとおもちゃ箱をひっくり返したような世界観とも言えるが一つ一つのストーリーや場面は実に丁寧に描かれていて、この歳になっても好ましい作品世界に感じるけれども10代20代の頃に読んだらかなりハマっただろうなという感じがする。
中世ヨーロッパ的世界が日本の創作の世界でよく取り上げられるようになったのは「指輪物語」が起源だろうけど、それに影響を受けたドラゴンクエストに始まるゲームの世界で浸透していった感じがする。私がその世界観を好きになったのは子供の頃に読んだ「ナルニア国」シリーズが起源なので、そちらの方とはあまり重ならない。「ダンジョン飯」などはもろにそういうゲーム的世界観だけど、「マロニエ王国」は独自の神話やアジアの神話などを呼びだしているところが諸星大二郎的でもあり、そういうところも好きなんだなと書いていて思ってきた。
オタクは好きな作品を語ると饒舌になるというし、私にもそういう作品がなくはないのだが、本当に好きな作品というのはあまり語れないというかどう語っていいかわからないので沈黙してしまう感じのところがある。それもその世界を共有できると語りやすいから諸星大次郎などある意味メジャーになった作品は語れるけどマロニエはまだまだ語りにくい感じがする。もう少しじっくり読みこめるといいなと思う。
ペレナグリスの七人の息子たちはそれぞれが少し人間離れしたところはあっても普通の青年たちで、男兄弟のメチャクチャなうるささみたいなものに母の女将軍・バリバラも閉口しているが、「外交」に出かけることで自分の中にある「世界の秘密」みたいなものを一人一人が見つけていく構造は、ある意味個人が持つ神話・神話としての個人みたいな感じがあって、一人一人の人間がそれぞれ向こう側の世界への扉を持っているという感じがいいなと思う。考えてみたら「EDENS ZERO」もそういうところがあるな。
「人はパンのみにて生きるにあらず」というのはある意味そういうことでもあるのだろうと思う。
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