「鎌倉殿の13人」第46回「将軍になった女」を見た:「独裁者にはなれても主君にはなれない」義時と「主君になった」政子/ワクチン接種と新しい照明

Posted at 22/12/05

12月5日(月)曇り

昨日は4回目のワクチン接種に地域の拠点病院に出かけた。住所地外なので少し手続きに手間取り、行った順番より少し遅れたが、特に問題なく接種を終え、待機時間は病院の駐車場の1時間無料のギリギリにはなったが間に合って湖畔に出た。

しかし湖畔の道路がとても混雑していて、これはちょっと目的の店に行くのは大変だしそこも混んでるかなと思って昨日はやめにしてセブンでお昼を買って帰った。今まで副反応はほとんど出ていなかったが、昨日はもともと左肩の力が抜けない感じになっていたせいか駐車した後に痛い感じが残っていて、なんとなく気だるい感じで1日なるべく何もしないようにして過ごした。

ただ、昨日は父の13回目の命日だったので2時ごろ頑張って出かけて夕食の買い物と花とお供えを買ってきて、仏壇に供えたあとお墓に出かけ、お参りもしてきた。お彼岸やお盆は多くの人が出ているが、特に他の人は関係ない命日は誰もいなくて、天気はやたら良かった。

午後も基本的には何もせず、普段なら夕方岡谷に出かけて買い物に行くのだが、昨日はずっと居間でソファーに横になったりして過ごした。一昨日に照明が故障したことを書いたけど、その日の午前中にエディオンに出かけて照明を探して、もちろんLEDのものしかなかったが8畳以上の和室用で12000円ほどのものがあったのでそれを買ってみた。家に帰って点けてみると思ったより明るいのだけど、もともともう少し明るくてもいいなと思っていたのでそれはいいかと思っている。元の照明が接触が悪くてコツが必要だったから、良くなったということにしようと思う。

久しぶりに夕方から少し飲んで、鎌倉殿に備えた。

***

「鎌倉殿の13人」第46回「将軍になった女」を見た。

https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/46.html

全体のドラマの起伏としては来週のクライマックス、「承久の乱」に備えた準備の回という感じではあったが、なるほど最大の見せ場のためにこの回が必要だったのだなと思わせる部分がたくさんあった。

今回は基本的には政子と実衣の姉妹の話だったと言っていいだろう。頼朝未亡人である政子と、頼朝の弟・阿野全成の妻であり暗殺された将軍・実朝の乳母だった実衣。実衣には阿野時元という実子があり、源氏の血を引く彼は鎌倉殿の地位につくことを希求していたし実衣もまたそのために動こうとしていた。

しかし朝廷との関係を最重要視して次の鎌倉殿を考えている義時たち幕閣首脳にとっては源氏の血を引くだけで鎌倉殿の地位を望むものたちは障害であり、公暁を押したてて後継者にしようとした三浦義村は、義時の信任を得るためだろう、甘い言葉で二人を罠にかけ、時元は討たれ実衣は幽囚の身となる。実衣の断罪を求める義時らに対し政子は断じてそれを許さないという姿勢を貫くが、はっきりとした手も打てずに鬱々としていた。

一方親王の下向をめぐって駆け引きを繰り返す幕閣と後鳥羽上皇だったが、最終的には時房が千人の軍勢を引き連れて京に上り、上皇との交渉に臨む。二人は蹴鞠で決着を決めようとまるでワールドカップのような話になるわけだが、明らかに時房が勝ったのに兼子に勝ちを譲らされ、「微妙な判定」みたいになるのだけど、時房は自分が負けたと勝ちを譲ることによって上皇も親王は下向させないが摂関家の藤原三寅(頼朝の妹が一条能保の妻であり、二人の娘と九条良経の子が九条道家で、その子が三寅。つまり頼朝の妹の曾孫)を下向させるということで話がつく。三寅の曽祖父の九条兼実は物語で上皇のそばにいつも出てくる慈円の兄であり、物語では慈円が鎌倉に下ってその旨を告げる。政子と義時の前で三寅の家系を滔々と述べる慈円役の声優・山寺宏一さんがタイムラインでは話題になっていた。

気が重い政子は民衆に触れたいと思い、大江広元の勧めで泰時と共に施餓鬼を行い、多くの貧しい人々の暮らしに触れる。この辺り「伊豆の田舎の娘」が政子の芯にあることを思い出させる。その際に貧しい男に「自分も子供を3人亡くした」とか貧しい娘に「政子は憧れだ」と言われるのだが、これは亀の前の「後妻(うわなり)打ち」の騒動の時に亀の前に言われたことで、自分が既にその立場になっていることを自覚することになるわけだ。

政子は自らが表に出る、つまり鎌倉御家人たちの主君となることを決意する。これは政所を開けるのが三位以上の公卿に限られその位を持つものが鎌倉には政子しかいないという史実に基づくことでもあるのだが、劇中では実衣の罪を免じるために政子が動いた、という話の展開になっていた。

この辺りは面白いと思うのだが、義時はどんなに実質の権力を握っても家柄的にNo.2以上には上れないわけで、鎌倉武士たちの「主君」になることはできない。だから義時は「独裁者」になることはできても「主君」になれるのは政子だけなのだ。No.2の執政であれば身内を優遇するようなわがままは禍根を残すが、主君であれば多少のわがままは許される、というのは事実だろう。政子は自ら尼将軍になることで実衣を救った、というストーリーはよくできているし、これが来週の展開に効いてくるのだと思う。

政子は実衣に放免になったことを告げる際、「二人だけになってしまった」という。兄弟は義時も時房もいるのだが、男子を全て失った母としての共感は二人だけのものだろう。この時点で政子には頼家の娘である竹御所という孫がいて、実衣にはのちに公家としての阿野氏を名乗る娘(子孫に後醍醐天皇の寵姫だった阿野廉子がいる)はいるのだが、子を失った母としての悲しみが共有できることに違いはないだろう。

義時の現在の妻であるのえ(伊賀局)は自分の子である政村を執権の後継にしたいのだが、義時は取り合わない。そこで八重(伊東祐親の娘)や比奈(比企能員の一族の娘)は謀反人の娘だとか、八重が訳ありだとか義時の地雷でタップダンスを踊るようなことを言い出す(タイムラインで見た表現)が、これは先週の回で義時に「八重や比奈はもっとできたおなごであった」と言われたことの意趣返しの意味もあるだろう。政村の烏帽子親は三浦義村で、またここでも義村が顔を出すことになるのだが、今書いていて今後の展開の重要な伏線になってる気もしてきたのでこのことはこれ以上書かない。

面白いのは、のえが義時と泰時の関係を、「仲が悪いくせにお互いを認め合ってるようなところがあって気持ち悪い」というところで、これはまあ本当にそうだろうと思うのだが、初と泰時の関係(史実ではもう離婚してるはずなのだが)もそうだし、義時と政子の関係も、政子が尼将軍になると告げた時の義時の反応を見ても、「仲が悪いように見えてお互い認め合ってる」ということを言おうとしてるのだろうなと思った。この辺の「北条家の絆」みたいなものは第1回から丹念に描かれているからこそここにきて冷戦状態に見えても心の底で通じ合っているということに説得力があるわけで、一年かけて書かれてきた「北条家の絆」というものがここで重要になってくるのだなと考えていると少し涙ぐむところがある。

これは有名な史実だし次週予告でも流れたから書いていいと思うのだが、「妹である実衣」(阿波局)を義時の断罪から救うために尼将軍になった政子は、後鳥羽上皇によって朝敵とされた「弟である義時」を救うためにあの有名な演説をするということなのだと思う。

三谷さんの脚本は、従来の「悪女」「強い女」として描かれてきた政子像を変えたいという意思をもって書かれてきていることは本人も言っているしよくわかるのだが、今まで描かれてきた分だけでは政子はむしろ「状況に流されるだけの弱い女」の部分が強くなってしまっているわけで、「鎌倉を守るために「あの演説」をする政子」になるためには、どこかで政子自身が「変わる」必要があったわけだ。だから今週の回で政子と実衣の関係をこれだけ丹念に描いたのだと思う。

まあ歴史を学んできたものとしては、中世史最大の事件と言ってもいい「承久の乱」にはエピソードもたくさんあるので量的にあまり描かれないだろうことは残念ではあるのだが、源平合戦にしても義経追討にしても基本的にあっという間に終わったことを考えると、いくさに関してはまあそれはそういうものとして作ったということなのかなという感じもある。まあその辺を多くの視聴者にいかに納得させるかというところではあるわけだけど、今回の政子と実衣の関係の描き方はあまり予想していなかったので、かなりインパクトがあったというか良かったなあと思うのだった。

ついにあと2回となった。最後まで期待して見たいと思う。


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