「ハンターxハンター」の好きなパート/「頼山陽の思想」:「民への期待」と「国を成り立たせるのは人」の思想

Posted at 22/11/20

11月20日(日)曇り

昨日は触発されて「ハンターxハンター」を結構読み直した。ハンター試験と天空競技場のところを読み、それからグリードアイランドのあたりを読み始めたのだが、クラピカのパートが暗いのでどうもあまり読む気にならないと言うことだなと今思った。今続いている暗黒大陸編もゴンもキルアも出てこないしクラピカがメインキャラの一人になっていることもあってあまり熱心な読者でなくなっているのだなと読み直していて思った。

先週・先々週は本当にスケジュール的にもメンタル的にも忙しくて、読もうと思っていたものもなかなか読めずにいたのだが、今日の午後と明日は一応完全オフにしているので、体調も整えながら今後の方針を検討・修正して取りかかれたらいいなと思う。

私がもたもたしているうちに季節も月日もどんどん過ぎていってしまっているので、月日の流れる力の圧力に負けないように自分のやろうと思っていることを積み上げていきたいと思う。

「頼山陽の思想」少しだけ読んだ。君主の存在がなぜ必要かといえばそれは「民」のためであり、それは民が愚かであるためだとする。どう言うことかというと、民は豊作の年には穀物を軽んじて売ったり食べたりしてしまい、凶作の年には飢えて穀物を宝石のようにありがたがる。だから目端の利く商人が豊作の年に買占め、凶作の年に高値で売りつけて巨利を得て著しい格差が生じる。だから君主が市場の統制や再配分を行わなければいけないとする。また武士たちも欲しいものは「禄」であって、そのために命懸けで働き戦っている。

そのように人間の本質は利を求めることとするが、荀子と違って山陽はそれを「悪」とはしない。荀子は人間の本質を悪と見てそうした人間の本質から社会を成り立たせるために「礼による教育」で善に仕立てなければならないとする。「万人の万人に対する闘争」はホッブズのようだが、西欧キリスト教社会ではすでに個人は自由であると言う考えが確立はされていないが前提にあるので「個人の権利を君主に委譲する」という発想になるが、中国の場合は君主の権力は天に由来すると言う聖人や孔子以来の前提があるからそこは問われず、君主は国民を善導・教育することで世の中を安定させ、そのための手段として「礼楽」が用いられるという話になる。そこには教育によって民は善導できると言う期待があると言うわけだ。

しかし荀子の弟子と言われる韓非子はそうした教育的視点には立たない。民は徹底的に利己的であるとみるが、「利害が一致すれば社会関係は成立する」と考える。よって韓非子は「利」を否定的に捉えてはいなくて、教育に期待はしていないが利害を説けば法による支配には服させることができると考えるから法を重視する考えになるわけだ。

山陽も荀子のようには利を敵視せず、また教育=礼楽に期待していないから重視もしない。「管子」に「衣食足りて礼節を知る」とあるように礼楽はなくても「衣食が足りれば」民は仁義を自然に持つようになる、と考える。つまり民に期待しない韓非子と違い、山陽は教育よりも衣食が足りることが重要だと主張したわけだ。

この辺りは現代の戦後混乱期の日本の政治家や現代中国の政治家がいう言葉に繋がるのだなと思うが、「国民を飢えさせない、国民を食べさせることが何よりも大事」という思想がこのあたりから出てくるのだなと思った。

また国が国として成り立つために重要なのは「士」が存在することであり、「士」とは「気が振るう」ことによって自ら立つことができるようになり、そうした「士=人材」が多数輩出することで「国の自立」も成る、と考えるわけである。この辺りは幕末の熱血の志士たちが続々と現れたことにつながるだろうし、「国士」たらんとした人々を次々に産んだ明治期の教育にもつながっていくのだろうなと思う。

「個人の気を振興させて「士」を育てる」という教育は基本的に戦後は行われなくなっていて、我が国の現在が振るわないのもまさにそうした「気概を持った士」が少ない、育てられていないことにあるのだなあと思ったのだった。

122ページまで読んだ。「士」「士気」についてはこの先に詳論されているようなので、またこのあたりは読んでいきたい。この辺りが恐らくは、「現代の日本の保守主義」にとって最も重要なものなのだろうなと思う。

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