日曜日の買い物と料理/「鎌倉殿の13人」第42回「夢のゆくえ」を見た:権力闘争における義時の孤立と時政の幸福な最晩年
Posted at 22/11/07 PermaLink» Tweet
11月7日(月)晴れ
今日は立冬。外に置いてあった自動車のフロントガラスが少し凍っていたので気温を確かめたら0.7度。今までも露が降りてはいたが凍結したのはこの冬初めてなので、季節は暦どおりに進んでいる感じ。今見たら0.5度まで下がっていた。これは湖畔の旧気象台のアメダスの気温なので、少し高い家のあたりではもっと下がっている可能性もある。
昨日はブログを書いていたら朝食が9時過ぎになり、ニチアサのワンピースを見てから出かけた。土曜日に市立図書館から「頼山陽の思想」が届いたとメールが来ていたのでまず図書館に本を取りに行き、そのまま湖畔を走って岡谷の書店へ行った。土曜日の夜に市内の書店に「コミックガーデン」の新しい号が入っていると思っていったら売り切れていて、岡谷の方に入っているかと思っていったのだがふたつ回ったが入っていなかった。それで書店の駐車場のテントやっていた古本市で少し本を見て、白洲正子・加藤唐九郎「やきもの談義」(風媒社、1997)と「女装と日本人」(講談社現代新書)が面白そうだったので買おうと思ったのだが、「女装と日本人」の方はなぜか値段がついてなかったので買えず、「やきもの談義」だけ買った。そのあとモールに行ってお昼の買い物をして帰ってきたら1時近くになっていた。
お昼には山梨の中央道のSA・PAで売っている「山脈塩タンメン」が一回ぶん残っていたのでそれを食べることにした。大した料理ではないのだが肉と野菜を炒め、それに水と液体出しを入れてスープにし、麺を茹でて盛り付け、それに野菜と肉とスープをかける、という程度の手間でも休みの日でないとやる気にはならないので、前の日から炒め物のカット野菜を用意し(やってみて分かったがこれは結構便利だ、ゴミも出ないし)豚コマを買ってきておいた。美味しかったのだがやや分量が多く、朝ごはんが遅かったせいか食べすぎた感があり、腹もたれが後まで少し尾を引いた。
ただこれは油が貰い物のオリーブオイルしかなかったので少し重かったからという気もし、軽めのサラダオイルを買っておかないとと思った。毎朝卵を焼くときにはバターなので油はほとんど使わないのでなるべく買わないようにしているのだが、使ったときに毎回重いのもやはり困る。夕食も結局野菜も肉も余っていたのでまた炒めて食べたのだが、まだ余っている。少食の一人暮らしの料理は色々大変である。
午後はマンガの整理をしたり買ってきた本を読んだりしていたのだがいつの間にか眠ってしまっていて、外に出かけずに終わった。
***
夕食を食べてから、「鎌倉殿の13人」第42回「夢のゆくえ」をみた。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/42.html
和田合戦を経て、実朝は鎌倉殿として覚醒するわけだが、アバンでは実朝の夢枕に後鳥羽上皇が現れ、実朝とともに日本を治めよう、と呼びかける。それを受けて実朝は自ら政治を行うと言い出す。周囲は頼家のようなことにならないといいがと心配するが、実朝の政策は鎌倉殿の権力を高めようとする頼家とは違う方向を向いていた。
実朝は諸国の不作が続く中で実朝は「ただ一人義時にものを言える」泰時と相談し、将軍領の年貢の負担を減らすと言い出す。これは結局は将軍領の周囲の御家人たちの領地の農民たちが不公平だと言い出してうまくいかない。
また、実朝は源平騒乱で焼失した大仏の再建に力を尽くした宋の陳和卿と会見し、「前世で師弟であった」と言われて「夢に見た通りだ」と喜ぶが、泰時はそれが「実朝の夢日記を読んだ源仲章の、つまりは後鳥羽上皇の策謀」であると気づき、義時に伝える。実朝は宋との交易を始めようと言い出し、陳和卿に船を作るようにいう。それは後鳥羽上皇の意図どおり、将軍の権威を高め義時を牽制する狙いも含まれていた。
今回の主な展開はこの船を巡る話だったけれども、その過程の中で義時はのえとその祖父の二階堂に強く言われて自分の地位を確立するために気が進まないまま執権の座につく。船は八田知家の尽力もあって完成に近づくが、こうした経緯からこの船を快く思っていなかった義時は時房とトウに設計図を書き換えさせ、船の進水を失敗させ、実朝を落胆させる。
ネットを見ていると筋骨逞しい八田知家が上半身裸で必死に船を引っ張り、またなぜか三浦義村が上半身の裸体を見せてそれが話題になっていたが、まあこのような権力闘争の描写の中ではこれもまた一服の清涼剤ということだったのだろう。着崩した姿が話題になっていた八田はこれで出番が終了のようで、ネットにはそれを惜しむ声も多くあった。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/movie/cm4202.html
実朝と義時の対立に気が弱くなっていた政子の元に京都から丹後局が訪れ、「40年前に源頼朝と結婚した時から普通の人生はなかったのだ」と檄を入れられ、また頼りにしている大江広元からも「あなたが決断しなければいけない」と訴えられて再び覚悟を固める。
政子の結論は実朝の側につくということで、子どもができない実朝の権威を高めるために朝廷から有力貴族の子弟を養子にもらって鎌倉殿にし、実朝は大御所に退いてその子を監督するという形で権力を握る、という院政のような構想を進めることだった。これは頼朝の最晩年の構想だったが頼朝が急死したために実現しなかったという経緯があった。自分の与党であった姉の政子も息子の泰時も強引な義時のやり方に反対する形で実朝の側について、義時は孤立することになった。
実朝の政策・事業として描かれていたのは農民たちに善政を施すという優しさとそれゆえの失敗、また「宋に行く船を作る」という夢のある壮挙を実行して失敗に終わるという二つで、双方とも義時が妨害するという形で描かれていたが、先日やっていた歴史探偵か何かで取り上げられたときには海に運べはしたが海底の地形が予測と違っていて進水することができず、座礁した形で朽ち果てた、ということだったようだ。この失敗を義時のせいにするのはやりすぎのような気はしたが、わかりやすさとしてはその方が良かったのかもしれない。
また、実朝の大御所構想も義時はすぐに頼家の遺児・公暁の存在を口にするが、政子は出家していることを理由にそれを否定する。この辺りは政子が義時から主導権を奪おうとしているわけで、割とこの展開は意外だった。「このままではすまさん」と呟く義時もどこか弱々しい印象を受けた。
鎌倉での展開が思い通りに行っているとご満悦の後鳥羽上皇だが、義時がなぜ気になるのかと聞かれて「身分が低いのに鎌倉を我が物にするからだ」と答えるが、慈円に「似たもの同士だからではないか」と指摘されて怒りを見せる。この指摘にどういう意味があるのかはなかなか考え所だが、ネットでは「三種の神器、特に草薙剣なしで即位し正統性に疑いが持たれた後鳥羽上皇」と「正統な権力者でなく執権として権力を振るっている」というところが似ているという指摘があった。
私としては、権謀術数を用いて自分の意を通そうとするところとか、後鳥羽上皇は後白河法皇の、義時は頼朝の遺志を受けて権力確立に意を用いているところなどが共通点と思えるし、というかそのように演出されていると思うが、ただこころの闇の方は上皇の方がより深いような気がするし、正統性の弱さという点では義時の方がまだ弱いと思うので、このバランスが実朝暗殺と承久の乱に至る過程の中でどのように変化していくのかが一つの見どころではないかと思った。
史実としては実朝は公暁に暗殺されるわけだが、公暁の背後に誰かいたのかということは古来ずっと取り沙汰されている。執権・北条義時も公暁の乳人親である三浦義村もその黒幕の候補として挙げられることが多いのだが、今回はどのような説を採用するのだろうか。ただ実朝と義時の対立が割と先鋭に描かれるようになってきたから、私があまり好きでない義時黒幕説になりそうな感じがするのだけど、それも単純すぎる感じはするのであっと驚くような展開に期待したいなと思う。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/movie/cm4204.html
ラストはそのような鎌倉の権力闘争から離れて10年経った時政を、泰時が訪れる場面だった。時政が出てくることはもうないと思っていたので意外だったが、以前のような好々爺に戻った時政が、りく(牧の方)は京都へ帰ってしまったものの面倒を見てくれる女性・サツキがそばにいて、幸福な晩年を送っていることに泰時は安心する。こうしたしあわせな最期を送れた時政の描写は、殺伐とした鎌倉の権力闘争との対比で見れば視聴者にとっての救いになっただろう。
恐らくはこの回のためだけに時政の面倒を見る女性・サツキに磯山さやかさんを起用したのも、贅沢な遊びだなと思った。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/movie/cm4203.html
今までの展開の速度で考えると次回の43回と44回で実朝暗殺、45−48の4回で承久の乱と義時の死が描かれる展開になると私は予想するけれども、実際はどうなるか。終盤に来てますます目が離せない感じになってきている。
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