「2.5次元の誘惑(リリサ)」第124話「ハナツバキ」を読んだ:「倫理の教科書に載せてほしい」コスプレマンガ。

Posted at 22/10/15

10月15日(土)曇り

昨日は午前中に母を病院に連れて行き、なんだか疲れが出てしまって横になったりしていたのだが、まああいかあわらず体のバランスを取るのが難しい感じ。夜はインドにいる友達とチャットでかなり長い時間話したが、今までやってきたことに一つの区切りをつけて次のことに集中して行きたいみたいな話でまあ人生だなと思った。私は私で今までの人生で考えたことをまとめたいという感じではあるので、まあそんな年齢ということなんだろうなと思った。

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「2.5次元の誘惑(リリサ)」第124話「ハナツバキ」を読んだ。第15巻の冒頭、113話から始まった新入生歓迎編がコスストで大団円。今回のラストは最終回感あったが、やはりイベントごとにきちんとまとめて来るところがこの作品の凄さであり読みやすさでもあるなと思う。一回一回もまとまっているし次回への引きもあるがそれよりも回ごとのまとまりが綺麗なのは、最近の少年マンガ(特にジャンプ作品)には珍しいパターンだと思う。だから場面を思い出したときに「これはどの話のどの辺か」というのが思い出しやすく、単行本を調べてもすぐ特定できる。そうなるとまた何度も読んでしまう、ということの繰り返しで、最近では最も中毒性の高い作品ではあるなと思う。

今回はツバキが心からコスプレを楽しめるように檄を飛ばした奥村に対し、作者のキサキ先生が「君の仕事かい?」と尋ねているのがなんともよかった。奥村もツバキが「楽しめるようにするのが俺の仕事かな」と言っていたし、漫研での「自分の仕事=役割」をちゃんと果たしている、いやそれは元々キサキ先生に「あんたの作品が俺を幸せにしたんだ」と訴えた過去があるからこその会話で、ある意味奥村の大器ぶりを表しているのだけど、このマンガに出てくる「男の大人」は校長先生とキサキ先生しかいないのだけど(チカちゃんはどうしたらいいのか)、しっかりと伸びやかに子供達のフォローをしていてこの辺もジャンプマンガらしくて気持ちいい。

名言みたいなのは元々この作品には多いけど、今回のテーマは大天使がリリエルに言ったという「荷物など要らないよ。人生の旅路に持っていくものは愛だけでいい」というセリフで、これは確かにどこかで読んだ覚えがあるのだが、一番大事なことの一つの自分自身を愛することで、それが自分に生えている自由の翼を自覚することなんだ、という形で綺麗に収まっていた。

「天職は天が決めてくれるものではなく、私が持てる「愛」の中から選び抜くものだった」という吹っ切れ方をしたツバキの瞳は今までになく輝いていて、「美人だけど迷いのある少女」と「迷いがなくなった同じ少女」をこんなにはっきりと書き分けられる力というのは本当に才能だと思った。

そして両親に「翼が持てるように」と与えられた高層マンションの一室から眺めていたうつろな景色に対し、ラストシーンの大空を見上げる希望に満ちた後ろ姿の対比は、「与えられたものが全てじゃない、誰でも大空を見上げることはできる」という強いメッセージになていて、本当に素晴らしいなと思った。

この作品は「コスプレ」というある意味「大きな声では「好きだ」と言いにくい題材」を取り上げているのでどんなにファンが素晴らしいと声を上げても一度には広がっていかない作品ではあるのだけど、であるからこそ強い力を持って迫ってくるところがあって、コメント欄にある「倫理の教科書にしてほしい」という言葉もよくわかるし、でも倫理の教科書には多分載らないだろうところもまたいいんだよな、と思ったりするのだった。


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by Luke Peterson

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