「教養」は衰え、「修養」は残った/「北条時政」/「ショーペンハウアー」
Posted at 22/09/27 PermaLink» Tweet
9月27日(火)曇り
一昨日、昨日と出かけていて、本をいろいろ買ったりしていた。買ったのは大澤綾子「「修養」の日本近代 自分磨きの150年をたどる」(NHK出版、2022)、野口実「北条時政 頼朝の妻の父、近世の珍物か」(ミネルヴァ書房、2022)、梅田孝太「今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く」(講談社現代新書、2022)の3冊。
「修養」に関しては、「自分磨き」という現代的な副題がついていることからもわかるが、エリート的な「教養」ではなく、大衆哲学とでもいうか、「大衆としてこの世を生きていく生き方」とでもいうか、そういうものが根強くこの日本に続いていたという視点で、これは非常に大きいテーマだと思うし、こういう本を読みたかったという感じがある。
取り上げられているものたちだけでなく、宮沢賢治の国柱会とかの宗教や静坐法その他の身体修養、面白くてためになるの大日本雄弁会講談社など巨大な広がりを持つが、この観点からの俯瞰した研究書は読んだことがなかった。「教養主義の没落」は教養の没落をうまく描き出していたと思うが、修養はオンラインサロン等の形でしぶとく生き残っているという指摘はなるほどと思った。教養は死すとも修養は死なず。と。
これは別の観点から言うと、ネット上のオープンレターズの無茶な議論はまさに教養の死といびつな思想への巻き取られを象徴的に表していて、反論する人たちの健全な社会人としての経験と実践に基づいた発言の持つ説得力と比べるとその見窄らしさが際立つと言うことにも現れている。
教養は本来天下国家や社会の改良に対する処方箋であり、修養は個人に対する処方箋であったはずなのだが、現代社会と切り離せない経済や政治権力に対する視線を奇妙に欠いた、例えば軍事を論じられず国家活動を一面からしか見られない現代日本の教養の不健全さがこのような没落をもたらした一因だと思う。
修養にはこのような縛りはないので自由闊達に活動を成し得るが、縛りがないことによる危なさはまさにオンラインサロン詐欺のようなものに如実に現れているのだろうと思う。
しかし逆に言えば自分を伸ばしたい高めたい需要はまだ巨大なポテンシャルを持ってると言え、ここにはまだまだ多くの資源がつぎ込まれる価値があるのではないかと考えたりした。
「北条時政」は「鎌倉殿の13人」に関連して野口さんのツイートを読んでいるとよくこの本について書かれているので、一度読んでみようかと思って買ってみた。ちょうど大河では「牧氏の変」のところなので、その辺など少し読んで野口さんの見解を読んでなるほどねえと思ったり。
「ショーペンハウアー」は講談社現代新書の100ページ新書というシリーズの第一弾ということで試しに買ってみたのだが、実際には100ページよりは少し多いようだ。「人生は苦である」という仏教に似た人生観を持つこの哲学者の思考を少し考えることができたらと思う。
昨日はいろいろとフィジカルでもメンタルでも疲れていて、夜は8時半ごろもう寝てしまったのだが、そうしたら2時半に起きてしまった。それでも6時間は寝ているのだが、お茶を飲んだり入浴したりビデオの録画をBDにダビングしたりしてからもう一度床に入ってそんなに眠れたわけではないのだが5時半ごろ起きるという落ち着かない感じになった。その後もいろいろやっていたのだが、フィジカルな不調が何箇所かあるので、今日は休み休み動きたいと思う。
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