エリザベス女王の崩御と立憲君主制
Posted at 22/09/10 PermaLink» Tweet
9月10日(土)晴れ
いろいろ考えていて、書くようなテーマもいくつかなくはない。いろいろ考えていると本を読む時間がなくなるので(それでもマンガは結構読んでるが、こちらも読み切れてない)ブログに書くようなことは減るのだが、その辺をバランスを取りながら進めないと書き続けることは難しい。だいぶ継続して書き続けているので、少しでも毎日書くようにしたいと思っている。
英国女王エリザベス2世の崩御は、自分としてはかなり大きい出来事。これはおそらく、西洋史を専攻し、フランス革命を保守側から見ようとしてきたことと関係があるのだろうと思う。ゴルバチョフの死ももちろん同時代的には大きいけれども、私自身としては立憲君主政体が現代において最も適した政治形態だと思うので、日本ももっと明確な形の立憲君主制にしたほうがいいと思っていることもあって、英国の政体については関心はある。それを実質的に70年の間になってきたエリザベス女王の存在はやはり大きい。
エリザベスという女王はシェークスピアの時代の女王が1558年から1603年まで在位していたので1952年に女王が即位した時は349年ぶりの復活だった。1世も45年の長期在位ではあったが、2世は70年で英国史上最長になった。その間に女王はスチュアート朝の二人の女王とエリザベス2世の高祖母(祖父の祖母)にあたるヴィクトリア女王がいて、ヴィクトリア女王も63年余りの在位だったので、それぞれ19世紀と20世紀を代表する英国君主であったと言えるだろう。
エリザベス女王が各方面に与えた影響はもちろん大きいのだが、一つは競馬に対する貢献があるだろう。女王が競馬の熱心な後援者であったことは、各国に大きな影響を与えていると思う。我が国でもエリザベス女王杯が開催されているが、これは日本だけでなく各国で開催されているのだそうだ。
https://jra.jp/news/202209/090905.html
今の憲法は占領下で制定されているので日本の実情にあっていない部分はあるのだけど、すでに制定後70年以上経ってそこに既得権益のようなものも大きく生じているので改正は容易ではない。女王の崩御のようなことが起こると、君主制というものの持つ巨大な力が思い出されて強く認識されるのだけど、その過激と両極端に走らないためのバランサーとしての役割はもともとかなり大きいと思う。というかそれがうまく働かなかった戦前の日本の体制には問題があったわけだが。
チャールズ3世新国王は73歳、王位を継承し、Prince of Walesの位を長男のケンブリッジ公ウィリアムに継承させた。Prince of Wales(ウェールズ大公)は英国皇太子と訳されているがどんな場合でも継承順位一位の人がつくわけではなく、「王冠をかけた恋」のエドワード8世が皇太子から国王に即位し、退位したためにエリザベス女王の父のジョージ6世は皇太子を経ずに国王になり、また次に継承順位が一位だったエリザベスは公式名称がエディンバラ公夫人であって皇太子にはなっていないので、エドワード8世の次にPrince of Walesになったのは新王チャールズ3世ということになる。今回は男の王と男の皇太子であるため、すんなりと継承されたということのようだ。
https://www.bbc.com/news/uk-wales-62856181https://www.bbc.com/news/uk-wales-62856181
日本でも現時点での継承順位一位は秋篠宮殿下で皇太子ではなく皇嗣殿下と称しているが、生物学的な親子の世襲による君主制というのはそういう意味での脆弱性は持っていて、それがまたさまざまな歴史を作り出しているという側面もあるわけである。
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