「ウクライナ戦争の200日」:「ロシアとの魂の共振」と「非対称戦争」/「うちの小さな女中さん」:昭和初期の「衣替え」/伝説的マンガ編集者たちの面白すぎる対談/「元明詩概説」
Posted at 22/09/21 PermaLink» Tweet
9月21日(水)曇り
今朝はだいぶ気温が下がっていて、まだ早いなとは思いつつ試運転も兼ねて暖房をつけてみたりしている。体の感じもだいぶ変わってきていて、ようやくちゃんと秋になってきたということだろうか。
火曜日は朝は台風の雲がかかっていてかなりの雨だったが、午前中のうちに上がった。あまりよく眠れなかったので午前中は少し寝られたら寝ようと思っていたが、急に用事ができたので出かけ、ついでにクリーニングを出してからツタヤへ行き、「うちの小さな女中さん」2・3巻(2巻が3月に出ていたらしいのだが見落とした)と「モブ子の恋」14巻を買った。それからスーパーへ行ってお昼の買い物をし、帰ろうと思って少し遠回りをした時に図書館に返却する本を持ってきていたのに気が付き、図書館へ行った。
図書館の入り口には「本日休館」とあったのでポストに返そうかと日程を確認するために自動ドアの前に貼ってあるカレンダーを見たら自動ドアが開いたので驚いたのだが、火曜日には時々休館の月曜の表示が残っている時があるので、本を持って中に入ってみたら普通にやっていたので返却して少し書棚を物色した。
目についたところに吉川幸次郎「元明詩概説」(岩波文庫、2006)があったので少し中をパラパラみてみたら「文天祥」という言葉を見つけ、そう言えばこの人は名前は知っていたが読んだことはなかったなと思い、借りることにした。外に出ると、雨は上がっていたけど曇っていて、暑くはないけど少しジメジメ空気を感じた。
「うちの小さな女中さん」は2巻を読了、3巻を読んでいるが「昭和初期の東京の生活」というものが描けれていて面白い。女中さんものは以前「木造迷宮」を読んで面白かったので割と見てみることが多いのだが、最近のでいえば「大正処女御伽噺」などは面白かった。やはり自分が生まれる前、特に戦前の習俗を知るのは興味深いなと思う。私の家は当時から諏訪なのでこんな都会的な生活ではなかったはずだが、同時代的に同じような部分もあっただろうなとは思う。ただ、こんな清潔な空間ではなかっただろうなあとは思う。子供の頃の「ハエ取り紙」がいくつもぶら下がった台所のことを考えると。
一つ面白かったのは「衣替え」のことで、今はずいぶん簡便になっているが、本来の衣替えというのは「異服を夏物/冬物に入れ替える」だけではなく、家具調度の入れ替えまで行われ、襖を簾戸に入れ替えたり(ほとんど見たことない)畳に網代を敷いたりと少し大きな家では一日仕事だったのだという。
私の家でも台所の横に納戸があるのだが、その引き戸のガラス戸を網戸に変えるというくらいの夏支度はあるのだけどそのくらいで、昔の人たちはそういう意味で自分たちの行事というものをきちんとこなして季節を回していたのだなあと思った。そういうメリハリの効いた生活はいいなあと思う。
お昼を食べながらスマホを見ていたら小泉悠「ウクライナ戦争の200日」(文春新書)という本が昨日出たことを知り、食後に買いに行った。
少し読んだのだが、面白い。開戦以来引っ張りだこの小泉さんが、戦争開始後のそれぞれの時点での様々な人と対談したものをまとめたもの。既に読んだのはゲンロンの東浩紀さん、芥川賞作家の砂川文次さんの部分。東さんはロシアを軽視することへの警鐘みたいな感じのことを言っている。ロシア擁護の人もこの程度に止めておけばいいのに、ウクライナ非難・アメリカ非難・プーチンには深い考えがある的な方向にいくから陰謀論めいてくるのだよなと思う。そういう人たちは「アメリカ一極主義への逆張り」みたいなところが感じられることはあるのだが、東さんにはもっと深いところにロシアへの魂の共振みたいな感じがあって、多分そういうプーチニストに傾くことを意志を持って踏みとどまっているんだろうなという気はする。踏みとどまれない人も多いのだろうなと思う。
砂川さんは元自衛隊員の立場からの話が面白い。また、クレフェルト「戦争の変遷」でこれからの戦争は非対称戦になる、というのを引用していて、現実には今回の戦争は国家対国家ではあるのだが、ロシアとウクライナでは戦力的にも非対称で、ウクライナ軍は正規戦の力攻めだけではなく特に開戦当初はゲリラ戦的な遊撃的な戦い方をしているから、この本の価値はなくなっていない、という話が面白かった。
あとはたまたまネットで見た小学館のスピリッツ立ち上げで知られている白井勝也さんと集英社のジャンプ編集長として知られていた鳥嶋和彦さんの対談が面白かった。さまざまな漫画家が実名で出てくる裏話というものはずっとマンガを読んできた身からすると面白くて仕方がない。特に江口寿史さんの話で二人ともなんというかしみじみしているのが大変印象深かった。
これからの時代にどういうふうにマンガを作っていくのか、また漫画家と編集者の関係はどうなっていくのかなど、興味深く読ませていただいた。
蛇足だが、「2.5次元の誘惑」の主人公である奥村は、将来漫画に限らないけどこういう編集者の仕事がいいんじゃないかと最近思うようになっている。このままコスプレのプロデューサーみたいな感じでも面白いとは思うけれども。
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